『SATANIC CARNIVAL'15』レポート
ライブハウスにいちばん近いフェスーー『SATANIC CARNIVAL'15』が生み出したカルチャーと熱狂
PIZZA OF DEATH RECORDSが主催する音楽フェスティバル『SATANIC CARNIVAL'15』は、世代を超えた盛り上がりを見せ“新しい音楽カルチャー”の誕生を予感させるものだった。快晴に恵まれた6月20日、昨年に引き続き幕張メッセ 国際展示場 9-11にて、およそ10時間以上にわたって行われ、約1万7000人を動員。出演陣には、PIZZA OF DEATH RECORDS主催とあってメロコア勢が目立つが、同レーベルを率いる横山健とかねてより交流のあるロックバンドや、広く“ラウド系”と称される注目バンドが集結し、バラエティに富みながらも統一感のあるラインナップとなった。今回出演したのは、以下の23組(出演順)。
【SATAN STAGE】
OVER ARM THROW、ROTTENGRAFFTY、KEMURI、coldrain、MONGOL800、Fear, and Loathing in Las Vegas、Ken Yokoyama、10-FEET、FACT
【EVIL STAGE】
SHIMA(オープニングアクト)、Crystal Lake、BACK LIFT、BUZZ THE BEARS、WANIMA、HAWAIIAN6、RADIOTS、G-FREAK FACTORY、locofrank、怒髪天、The BONEZ、04 Limited Sazabys、GOOD4NOTHING、SHANK
入場口からホールに降り立つと、向かって左側にメインとなる「SATAN STAGE」、右側に「EVIL STAGE」が配され、中央の空間にはバーカウンターや各スポンサーのアパレルブースのほか、東北復興支援ブースや写真展示、DJコーナー、さらにはスケートランプやボルダリングまで用意されている。奥には数多くのベンチが配置されており、ここでゆっくり休むことも可能だ。ラウドシーンと相性の良いカルチャーがぎゅっと濃縮されたその空間は、単に音楽だけを届けるのではなく、広い意味でのシーンをDIY精神で築いてきたPIZZA OF DEATH RECORDSならではのものだろう。
午後11時、EVIL STAGEのSHIMAからライブがスタート。ハイテンションなパフォーマンスで同イベントの幕開けを告げ、リスナーたちも次第に温まっていく。続くCrystal LakeやBACK LIFTも熱演を披露し、EVIL STAGEもまた見逃せないステージであることを実感させる。そしてこの日、いちばん始めにフロアを爆発させたのはWANIMAだ。PIZZA OF DEATH RECORDS所属で、次世代メロコアバンドの筆頭とも目される彼らのステージを一目観ようと、EVIL STAGEのフロアは後方まで満員に。代表曲のひとつ「1106」を披露すると会場は大合唱に包まれ、ボーカルの松本健太は「いろんなフェスがあるけれど、SATANIC CARNIVALがいちばん好きです!」と、ステージに立ったことへの喜びを語った。
一方、SATAN STAGEではすでにKEMURIが登場し、フロアを湧かせている。「Ato-ichinen」や「PMA(Positive Mental Attitude)」といった、90年代からのファンには懐かしい名曲も披露し、会場をポジティブなパワーで満たしていく。フロアには親子連れからティーンエイジャーまで幅広い年齢層のリスナーがいて、いまこのシーンが成熟期を迎えていることを感じさせる。
続くcoldrainは、WANIMAやKEMURIといったメロコア勢とは異なる、新感覚のラウド系バンドだ。ダンサブルで攻撃的なサウンドでフロアを熱狂させるスタイルは、特に若い世代のリスナーを惹き付けた。その後は、MONGOL800が登場。新鋭とベテランをうまく織り交ぜたステージ構成は見事というほかない。MONGOL800が代表曲「小さな恋のうた」を披露すると、先ほどまでcoldrainで激しく踊っていたリスナーも、後ろでゆっくりと鑑賞していた親子連れのリスナーも、揃って合唱している。ボーカルのキヨサクはオーディエンスの盛り上がりを観て「いちばんライブハウスに近いフェス」と称していたが、この年齢層の幅広さで、この一体感を生み出すフェスはたしかにほかには思い当たらない。そんな『SATANIC CARNIVAL』への敬意を込めて、MONGOL800は最後に、Hi-STANDARDの名曲「NEW LIFE」のカバーを演奏し、ステージを去った。