乃木坂46の象徴はやはり生駒里奈であるーー12th選抜のメンバー構成とその可能性を読む

 乃木坂46の中心に生駒里奈が戻ってきた。7月22日発売となる乃木坂46の12thシングル選抜メンバーが発表されたが、そのセンターポジションには2013年3月の5thシングル『君の名は希望』以来、およそ2年ぶりに生駒が選出された。12thシングルのメンバーに関してまず特筆すべきは彼女の立ち位置である。

 選抜発表が行なわれた5月10日放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で生駒自身が「乃木坂46を作っていく段階でのセンターしか経験していない」と述べていたように、グループの知名度が急上昇していく時期にセンターを務めていたのは生駒ではなく、白石麻衣、堀未央奈、西野七瀬、生田絵梨花といったメンバーだった。認知度にともなってCDセールスも上昇していくが、シングル売上が毎回50万枚を超えるようになって以降の時期に生駒がセンターに立ったことはなかった。かつて彼女がシングル表題曲のセンターに立っていた頃とは規模の違うグループになった今、周囲に「教えてもらいながら」センターを務めていくと述べた言葉は謙遜ではないのだろう。

 しかし、6thシングル『ガールズルール』以降、センターを経験しなかったおよそ2年の間、生駒は決して単に中心から周縁へと立場を移していたわけではない。むしろ、ライブにせよマスメディア露出にせよ、中央から外れながらも、端々で見せるその絶対的な存在感の強さは変わることがなかった。この約2年間は、ポジションの如何にかかわらず、彼女がどこまでも乃木坂46の象徴として在るのだということを浮き彫りにした期間でもあったように思う。生駒里奈という人は、自分自身の立場だけでなく、常に乃木坂46というグループのポジションや世間的な見え方に自覚的なメンバーである。その彼女の視野は、センターから一歩引いてグループを見渡すことでさらに深まったであろうし、そうした人物だからこそ、ここ一年ほどに経験したAKB48との兼任も、グループにとって大きなフィードバックをもたらすはずだ。先述の『乃木坂工事中』では、今回の選抜発表でなかなか自分の名前が呼ばれなかったことについて、一旦アンダーに行くのかと思ったと吐露したが、その発言の意図は自身のポジションの上下そのものよりも、ライブ中心の活動が強みになっているアンダーにAKB48で培ったパフォーマンスを伝える役割になるのではという予測からのものだった。もちろん生駒里奈個人としての野望がないはずはないが、己よりもグループ全体の現状を見通して必要な役割を考えるような彼女の姿勢は、どこのポジションに立とうとも頼もしい。

 その生駒が、名実ともに乃木坂46のセンターに返り咲いた。彼女自身がグループの象徴としての足場を固め、また外部活動を含めた経験で視野を広げたのと同様に、彼女の脇を固める福神メンバーたちもまた、かつて生駒がセンターだった頃とはその見栄えが大きく変わっている。白石、西野、生田らセンター経験者はそれぞれにいつでも中央に立てる強さを持っているし、他の十福神もそれぞれにソロ仕事等で活躍の場を広げている。そうしたメンバーで周囲を固めた生駒が、久しぶりに立つ表題曲のセンターでどのような姿を見せるのかに注目したい。

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