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『Music Factory Tokyo』スペシャルインタビュー

kz(livetune)が明かす、プロの道に進んだ理由「オレより強いヤツに会いに行こう、と」

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「僕が参加したことによる変化は足すべき」

――プロになったときに、同人との違いは感じましたか?

kz:2008年に『Re:package』でメジャーデビューして、そこから色々と仕事をいただいていたのですが、当時はほかのメジャークリエイターと会うことがほぼなかった。家で作業して、マスタリングやトラックダウンでスタジオに行き、リリースしたらネットでなんとなく反応を見る、ということのくり返しで、自分と同じような立ち位置や、同じ年頃でメジャーで活躍している人にぜんぜん会う機会がなかったので、違いはぜんぜんなかったですね(笑)。それと、2008年、09年あたりまでは、ファッションカルチャーの人が手掛けるアニメ・エレクトロのイベント「電刃/DENPA!!!」界隈の人と一番仲が良かったですね。プロになった実感がわいてきたのはもう少し後で、いろんな声優さんやアニメ関係の人と話しはじめて、プロとしてのマインドの高さを意識しはじめた2011年、12年くらいです。このころ、鬼龍院翔くん(ゴールデンボンバー)のラジオに出たり、深瀬くん(慧・SEKAI NO OWARI)と友達になったり、数千人、数万人のお客さんを相手にしている人と話しはじめて、ようやく同世代の友達ができました。仕事では年上の方とばかり話すことが多くて、同世代の友達もあまりいなかったんです。

――環境が大きく変わったわけではなかったと。仕組み的な意味合いでの違いはありましたか。

kz:同人イベントって、けっこう閉塞的なんですよね。コミケ(『コミックマーケット』)で完結していて、作り手もそこに向けて作品を作って売ることである程度まとまったお金を手に入れて、それを資本としてまた次回作を作るというループを繰り返している。そうすると、クリエイターの友人とも話していたんですが、本来は曲ができたからコミケで発表するはずなのに、コミケが近いから曲を作らなきゃという、逆転現象に陥りがちなんですよ。それを少数の人に向けてずっとくり返していて、限りなく惰性に近いという人も多いと思うんです。コミケ前のTwitterを見ると、「締め切りが……」っていうツイートがすごく多いし、「じゃあ、なんのためにやってるんだ?」という話になる。僕はほぼ1発目に作った作品で参加したんですけど、数年たって冷静に見ると「みんなはなんのために曲を作っているんだろう」という気持ちになりました。コミケというコミュニティで満足するのがぼくはあまり好きじゃなかったんです。なので、プロになったのは「オレより強いヤツに会いに行く」という気持ちもありました(笑)

――kzさんがその時、想像していた「強いヤツ」とは?

kz:特定の人というわけではないですが、メジャーシーンって、山下達郎さんとか菅野よう子さんとか、ラスボスのような人がいっぱいいるし、そういうレジェンドみたいな人がゴロゴロいるところで戦いたかった。なので、プロとして仕事するのはゲームのようで楽しいなと思うし、ハードルがないとどこかでぼんやりしてしまう瞬間があるのかなと。正直、なにをもって山下達郎さんに「勝った」と判断できるかはわからないんですけど(笑)、例えばセールスで山下達郎さんに勝った曲ができたとしても、そこがゴールではないという部分も音楽の面白さですよね。それに、先に大学時代の友人がメジャーで活躍していて、プロになった時にぶち当たる壁があることを教えてくれていたので、十分に準備できました。

――プロの「壁」というのはどういうものでしょう。

kz:メジャーのフィールドでは頻繁に困難が訪れるということですね。僕の場合は音大で学んだことを活かして、受け身の体勢を整えたうえでいろんな仕事に取り掛かれました。

――自身の曲とほかのアーティストに提供する曲で、作り方に違いはありますか?

kz:基本的にはないですね。ただ、提供する相手に対して、その人に一番フィットしたものを作らなきゃいけないという気持ちはあります。例えば、深瀬くんがビジュアル系のような歌を歌い、逆に鬼龍院くんが深瀬くんのような歌を歌ったら、ファンとしては「そういうことじゃない」となると思うんです。いくら曲がカッコ良くても、彼らに求めているのはそこじゃないと。ただ、彼らには彼らのファンがいて、僕の曲をいいと言ってくれる人もいるので、自分の曲とプロデュースとでは個性をどこまで出すかという比重のバランスは変えますね。あと、プロデュース仕事だと、たとえばClariSはタイアップものが多かったりするので、曲作りの際には、アーティストに比重を置きつつ、まわりにあるファクターを見て比重を考えることもあります。

――交流の無いアーティストへ楽曲を提供する際は、アプローチ方法は異なりますか。

kz:あまり知らない人にあたったことがないのですが、とりあえず前の作品を聴いて、ある程度、「ダンスっぽいものが多い」「ロックが多い」という傾向を調べます。そのアーティストの曲の延長線上なのに、あまりに曲調が変わるのはファンにとっても良くないのかなという目線で。僕が参加したことによる変化は足すべきなんですけど、その人が持つアーティスト性を保ちつつ作るというやり方がいちばんしっくりきますね。

後編【「『イチから自分で作らなければ』というこだわりはない」 kz(livetune)が語るクリエイター論】へ続く

(取材・文=中村拓海/写真=竹内洋平)

      

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