嵐の5人はどう信頼関係を築いたか 『ARASHI BLAST in Hawaii』で明かされた“本音”
個人的にもっとも興味深かったのは、公演後のメンバーのインタビューだ。それぞれに15年を振り返って、嵐というグループへの思いやかつての悩みを語っているのだが、それはかなり本心に近いのではないかと思う。たとえば大野智は、「別に大したことはしてないっていう感覚が常に自分の中にあるから、やらせていただいてありがとうございますって感じ。常にファンのひとに持ち上げられて、支えられてきた。歳食えば食うほど、そう思うし、正直テレビ出るのも恥ずかしいもん。ワーキャー言われるのも『いやオッサンだし』と思うし。気を使ってくれてありがとうって思う」と、自らがアイドルであることをどこか客観視しながらも、ファンへの感謝を語っている。
また、櫻井翔は「仲良い一点張りが嫌だったから、僕は個人的にそこを離れてみたんですけど、やっぱりあんまりそぐわなかった。(中略)いろいろクリエイティブなことを5人でやっていく中で、肩をいっしょに組んでいる感じが良いなって思っている」と、仲の良さを評価されることへの本音を明かしている。あるいは松本潤は「あの4人が同級生でいたら俺、仲良くなっていないと思うんですよね。でも嵐っていうグループでやってくださいって言われたわけで、だからこそバラバラな人たちがどうやったらひとつになれるかってすごく考えるし、それぞれで仕事していても、嵐に還元できるようにって思う」と、仕事として知り合ったからこそ培えた関係性について語っている。
嵐というグループはもちろん、単なる仲良し集団ではないし、いつも一緒にいて遊んでいるわけでもない。厳しい芸能界の中で生き残るために、それぞれにプロフェッショナルな意識を持って仕事に臨んできたグループで、だからこそ理想的な関係性を築くことができたということが、このドキュメンタリーからは存分に伝わってくる。性別や世代を問わず、ぜひ一度は鑑賞することをお勧めしたい。彼らの深みのある言葉や潔い姿勢に、きっと背中を押されるはずだ。
(文=松下博夫)