細野晴臣が京都精華大学で特別講義 自身の土台を作ったテレビ文化と、音楽史の「特異点」を語る

20150321-seika-03.jpg後進の育成にも熱心な細野晴臣

 前述した『ダニー・ケイ・ショー』で活躍したミュージカル俳優、ダニー・ケイにまつわる思い出として、小田和正とのエピソードも明かされた。細野は昨年末、小田がゲストを招いて歌を披露する番組『クリスマスの約束』に出演。その打ち上げで小田と話していた際、子どもの頃に観ていたテレビ番組が一緒であることが判明したという。さらに、一番好きな音楽映画が、二人ともダニー・ケイ主演の『5つの銅貨』(1959年)だという共通点もあった。実在するコルネット奏者、レッド・ニコルズの半生を描いた作品で、アカデミー歌曲賞、作曲賞にもノミネートされた名作だ。

 同作には“コード進行が同じ3曲を3人が同時に歌う”というシーンがある。美しい対旋律が楽しめるこの場面は小田のお気に入りで、2011年の京都音楽博覧会で細野と「風をあつめて」をセッションした際も、原曲とは異なる旋律で歌っていたという。細野は「当時は『つられて歌えなくなってしまう』なんて思っていたけど(笑)、その話を聞いて『対旋律が好きだったからなのか』と謎が解けました」と話した。小田も細野と同様、子どもの頃に触れた文化が自らの土台になっているのかもしれない。

 広く知られているわけではないが、おもしろい音楽を作っていたミュージシャンも紹介された。映画『ファニー・ボーン/骨まで笑って』(1996年)の音楽を手がけたピアニスト、レイモンド・スコットだ。細野は映画を観て、「聴いたことが、あるようでない音楽」だと衝撃を受け、サントラを購入したことで存在を知ったという。映画で流れる「The Penguin」は、タイトル通りペンギンが歩いているかのような楽曲だ。

Raymond Scott – The Penguin

 レイモンド・スコットは作曲やアレンジも行うピアニストで、電子音楽も研究。ワーナー・ブラザーズ関係の音楽やコマーシャルをよく手がけていたという。“音楽史に名を刻んだミュージシャン”として語られることは少ないが、細野は「そういう音楽のなかに、素晴らしい楽曲がある」と熱弁。レイモンド・スコットも一般的な知名度は高くないものの、近年その鬼才ぶりが掘り起こされ、岡田崇が監修をつとめる作品集『レイモンド・スコット・ソングブック』も日本で発売された。細野によると、レイモンド・スコットの楽曲は「民族的な土台があり、ユダヤ音楽に近い」といい、彼に影響を受けたミュージシャンは多いだろうと推測。また、「金管楽器など生で表現していた時代は、即興で作ることもあり、予想できないような音楽が生まれていた。当時のミュージシャンは、そうした音楽に刺激されることも多かった」と話した。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる