市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第9回
嵐が<崖っぷち>アイドルだった頃(後篇) モラトリアム期間に培われた「嵐らしさ」とは?
モラトリアム期間のメンバーたちの様子
にしても嵐がのちに大成したからいいようなものの、崖っぷち当時はそれはそれで大変だったんだろうとは思う。
この当時、リーダーは松潤に「昔はヤメることばっか考えてたじゃん(苦笑)」と蒸し返されてたし、相葉ちゃんに至っては『恋のから騒ぎ』にゲスト出演した際、本番終了後に明石家さんまがスタッフに「あの子は司会者やった方が絶対おもろいぞ」と言ってたのを聞いて以来、しばらくずーっと「俺は将来、司会者になる!」と言い続けていた。
「『さんまさんが言ったんだから、間違いないんだ!!』って言ってました(二宮・密告談)。
その二宮は「いつか演劇のプロデュースをしたい」と私に夢を明かしただけではなく、舞台台本の自作原稿を見せてくれた。
いまやジャニーズアイドルの新活動領域<キャスター>を最初に開拓した櫻井は、この頃から早くも単発の教養番組に出演し始めていたし。
「本当はアホなのに、知的に見せてるんですよ?」(相葉・談)。
「興味を持つ対象が知的なの。そこが凄いよね」(松潤・談)。
「たまにわけわかんない雑誌、読んでるでしょ?」(二宮・談)。
「最近買ったのは、『月刊亀井静香』」(櫻井・談)。
人間、モラトリアム期間は大切である。
すいませんもう1回だけ、完結扁に続きます(失笑)。
■市川哲史(音楽評論家)
1961年岡山生まれ。大学在学中より現在まで「ロッキング・オン」「ロッキング・オンJAPAN」「音楽と人」「オリコンスタイル」「日経エンタテインメント」などの雑誌を主戦場に文筆活動を展開。最新刊は『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』(シンコーミュージック刊)