「ミスチルやスピッツのような国民的バンドを目指せる」ダイノジ大谷が語る、back numberの可能性

 ライブバンドとしても、彼らは独特のポジションを築いていると思います。いまのロックバンドにとって、フェスというのは主戦場で、そこでどのように新規のリスナーを獲得していくかは大きな課題です。また、フェスのブームにともない、ライブにおける身体性が高いバンドーーダンサブルな楽曲や派手なパフォーマンスを得意とするバンドが人気を集める傾向にあると思います。そうした状況の中でback numberがステージに出ると、リスナーたちが比較的静かになるので、一見するとそれほど支持を獲得していないように思える。しかし、後からアンケートなどを見ると「back numberがすごく良かった」という声が非常に多い。もしかしたら、身体性の高いバンドが多いからこそ、じっくりと聴かせるタイプのback numberの魅力がいっそう映えているんじゃないかな。その浸透の仕方は、最近のバンドと違っていて面白いです。それと、back numberはライブハウス上がりだから、実はロックバンドとしてのグルーヴをちゃんと持っていて、リズム隊がしっかりしているのもポイント。清水くんの歌詞やメロディに注目が集まりがちだけど、アルバムを通して聴くと、ボトムがあってこそそれが魅力的に響いているということがわかると思います。

 音楽的な系譜でいうと、彼らはMr.Childrenやスピッツといった王道の歌ものロックバンドを志向しながら、「高嶺の花子さん」や「青い春」「スーパースターになったら」といった楽曲では、TRICERATOPSやサカナクションにも通じる4つ打ちダンスロックにも挑戦していて、まさにこれまでの日本のロック/ポップスの“バックナンバー”を継承しつつ、それをちゃんと更新している感じがある。小林武史さんがプロデュースした今回の新曲「ヒロイン」で、彼ら自身も文字通り、今後の日本のシーンにおける“バックナンバー”と呼べる存在になったんじゃないかな。次のアルバムは間違いなく大きなブレイクポイントになるはずで、このタイミングで小林武史さんがプロデュースを手がけたというのはすごく大きいと思います。

 僕は常々、ロックバンドこそディズニーランドのような広く愛されるエンターテイメントと闘うべきで、「ディズニーランドに行って楽しかった」というのと同じ感覚を、ロックバンドも提供するべきだと思っています。そうじゃなければ、地方の中高生の世界を変えることはできない。back numberは、より多くのリスナーに届く音楽性を持っていて、ゆくゆくはMr.Childrenやスピッツのようなバンドを目指せるポテンシャルを秘めていると思うので、大いに期待しています。

(取材・文=編集部)

■リリース情報
『ヒロイン』
発売:2015 年1 月21 日(水)

初回限定盤(CD+DVD):¥1,500(税抜)
DVD「ヒロイン」MV、love stories tour 2014~横浜ラブストーリー2~ダイジェストを収録

通常盤(CD):¥1,000(税抜)
2015年春のライブハウスツアー「アーバンライブツアー2015」チケット先行シリアルナンバー封入

〈収録曲〉
1. ヒロイン
2.アーバンライフ
3.アップルパイ
+各曲のinstrumental 収録

back number公式サイト

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