TRICERATOPS和田唱×GRAPEVINE田中和将 特別対談

トライセラ和田×バイン田中が語る、ロックバンドの美学(前編)「お互い違う場所で切磋琢磨してきた」

 

「ライブバンドって言われることに関してジレンマもある」(和田)

――TRICERATOPSとGRAPEVINEは、デビューから10年以上経った2008年に新宿LOFTで初めて対バン形式でのライブが実現しています。これはどういう体験でした?

田中:これはね、正直、ほんまに感慨深かった。「Bravo NIGHT!」の頃は7〜8バンドいる中で、みんな頑張って頭角を現すぞっていうムードがあって。そういうのはイヤだなと思う俺らみたいなヤツもいて。でも、そこから僕ら同士は、なぜかこんなに近しい世代のバンドなのにあんまり会わなかったのよね。

和田:そうだね。フェスでたまに一緒になるぐらいで。

田中:フェスでも基本的にはニアミスが多かったしね。なので、2008年の新宿LOFTのガチンコ2マンはすごい感慨深いものがありましたね。よくぞこれを組んでくれたなと思いましたし。デビューから10年以上経て、お互い違う場所で切磋琢磨してきたんだなっていうことをすごく感じましたね。

和田:初の2マンというのも意外でしたね。デビュー当時から何かと比較されて、ライバルみたいな言われ方をして。僕は比較されることに関してイヤだななんて思ったことは一度たりともないですけど。

田中:俺もないな。

和田:それこそビートルズ対ストーンズみたいな憧れに自分たちを当てはめられたので、バインとそういう見られ方をしてることに関してはすごく嬉しかったんですよ。でも2マンは意外に初めてで。で、お客さんが何しろ喜んでましたね。

田中:お客さんの顔を見た時にそれを感じましたね。そりゃそうですよ、それだけデビュー時期が近くて同期で比較されて、お客さんもきっと相当数かぶってるでしょうし。そんな人らが実は観れてなかった2マンをやっと観れるっていう顔で来てるわけじゃないですか。「あ、そうよな!」と。お客さんの立場になってグッときましたね(笑)。

和田:あと、やっぱりいい相乗効果があるんですよ。2マンのときは、なぜかたまたまいつもバインが先で僕らが後っていうスタイルで今のところやらせてもらってるんです。で、バインがやっぱり熱のあるいい感じのライブをするわけですよ。そうすると当然火がつきますよね。あからさまに劣るライブをやってしまったらその後の評価に繋がってくるんで。だからとにかく一生懸命やる。

田中:あははは。熱いなぁ(笑)。

和田:バインとの2マンはそういう意味で緊張感が走るというか、ムード的にはリラックスしてますけど、「やるぞ!」っていう感じはやっぱりありますね。

――トライセラもバインもライブバンドとしての評価は高いですからね。

和田:ただ、俺らとしてはライブバンドって言われることに関してジレンマもあるんですよ。ロックバンドたるもの、やっぱりライブが良くなきゃダメだと思う。でも、アルバムだって時間かけて一生懸命作るわけでしょ? なのに「トライセラのあの曲、ライヴのほうが全然良かった」みたいな評価をされると切なくなるところもある。

田中:わかるわかる、それはもちろんそうやな。でもそればっかりはしょうがないかな。だって「CDのがいいよね」って言われてもちょっとイヤでしょ?

和田:いや、俺は今回、そうやって言われようと思ってアルバム作った。

田中:ああ、なるほど。確かにアルバム聴いて思った。ライブでどうやんの?って曲、多いもんね。

――00年代からの10数年というのは、CDが一番売れていた時代からだんだんライブに価値が入れ替わっていたようにも思うんですが、そのあたりはどうでしょう?

田中:でもね、たぶんそれは単純に入れ替わってるという図式ではないと思いますけどね。ライブに人が入るようになったというのはまやかしで、それはフェスだったりの動員が増えたっていうことなんですよ。バンドが単独でツアーをまわっても、みんなひいひい言ってますよ。平日のライブも減りましたからね。

――フェス偏重の時代になっている。

田中 そう。単にフェスの動員が増えたからそう見えてるだけなんです。僕らはすごく狭間の世代でね。CDも売れなくなってきてるから、CD以外の発信の仕方も増えてきている。正直、僕らは狭間の世代だと思ってるんですよね。(後編【トライセラ和田×バイン田中が語る、ロックバンドの美学(後編)「音楽にはセクシーさがすごく大事」】に続く)

 

(取材・文=柴那典/撮影=下屋敷和文)

■リリース情報
TRICERATOPS
『SONGS FOR THE STARLIGHT』
発売:2014年12月10日
TTLC-1005 ¥2,593(税抜)
01. GRRR! GRRR! GRRR!
02. HOLLYWOOD
03. スターライト スターライト
04. ポスターフレーム
05. GOOD ENOUGH
06. PUMPKIN
07. 僕はゴースト
08. 虹色のレコード
09. FLASH!!!
10. 恋するギターとガーベラの花
11. ふたつの窓
※別DISC (TTLC-1006)                                                    特典音源CD付き(内容事前情報公開無し)

GRAPEVINE
『Burning tree』
発売:2015年1月28日
通常盤 VICL-64266 ¥3,000(税抜)
初回限定盤 VIZL-756 ¥3,700(税抜)

収録曲
01.Big tree song
02.KOL(キックアウト ラヴァー)
03.死番虫
04.Weight
05.Empty song
06.MAWATA
07.IPA
08.流転
09.アルファビル
10.Esq.
11.サクリファイス

初回限定盤DVD
01.「Empty song」Music Video
02.VIDEOVINE Vol.2

■TRICERATOPS HP
http://triceratops.net/

■GRAPEVINE HP
http://www.grapevineonline.jp/

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