宇野維正が『The Best Nightmare For Xmas』のサウンドを解説

WHITE ASHが邦ロックに示す“王道”とは? ギターリフが際立つ異色のクリスマスソングを聞く

 一度でもライブを体験すればすぐにわかるように、彼らのサウンドには近年の日本の若手ロックバンドとしてはとても貴重なことに、ブラックミュージック的な横ノリのリズムが息づいている。画一化したビート(それはなにも四つ打ちに限った話ではない)の上でメロディのフックや意外なコードの展開や気の効いた歌詞で個性を競い合っている日本のロックシーンのメインストリームを尻目に、WHITE ASHは(今回の新曲「Xmas Party Rock Anthem」にも顕著なように)ギターのリフとリズムにひたすら磨きをかけている。で、これは言うまでもないことだけど敢えて言いますね。そもそも、ロックっていうのはギターのリフとリズムの音楽なんですよ。別にロックの歴史に忠実であることが正義だとここで主張をするつもりはないけれど、この2014年にWHITE ASHがやってること、それは王道が忘れられた時代の王道ロックと呼ぶべきものなのだ。

 そんなWHITE ASHが来年3月にリリースするニューアルバムのタイトルが『THE DARK BLACK GROOVE』と聞いて、思わず「おぉ」と声が出てしまった。軽くて明るく健やかでまったく「黒さ」のないタテノリのリズムがシーンを支配しているこの時代に、ダークでブラックなグルーヴを打ち出そうという心意気。そう考えると、今回リリースされた『The Best Nightmare For Xmas』が、映像作品ながら「ベスト」と銘打っていることにも合点がいく。彼らは、2015年以降の新たな戦闘態勢を整えるために、これまでの自分たちの歩みをここで一度まとめておきたかったのかもしれない。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

■リリース情報
3rd Full Album
『THE DARK BLACK GROOVE』
発売:2015年3月4日(水)
価格:¥2,800+税

『The Best Nightmare For Xmas』
発売中
価格:¥3,600+税

【収録曲】
DISC1
1. Stranger (Music Videos)
2. Thunderous (Music Videos)
3. Paranoia (Music Videos)
4. Kiddie (Music Videos)
5. Jails (Music Videos)
6. Would You Be My Valentine? (Music Videos)
7. Velocity (Music Videos)
8. Crowds (Music Videos)
9. Casablanca (Music Videos)
10. Hopes Bright (Music Videos)

DISC2
1. Xmas Present For My Sweetheart
2. Xmas Party Rock Anthem

■ライブ情報
『WHITE ASH One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"』
4月4日(土) 札幌PENNY LANE24 Open 17:00 / Start 18:00
4月10日(金) なんばHatch Open 18:00 / Start 19:00
4月17日(金) 新木場STUDIO COAST Open 17:30 / Start 18:30

■イベント情報
12月12日(金)  Boo Xmas 2014@豊洲PIT
12月28日(日)  COUNTDOWN JAPAN 14/15@幕張メッセ
12月30日(火)  LIVE DI:GA JUDGEMENT 2014

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