矢野利裕のジャニーズ批評

いまV6を聴かなくてどうするーーデビュー20周年を前にした音楽的充実期

 そんなV6の音楽が勢いを取り戻したと思えたのは、2011年のシングル「Sexy, Honey, Bunny!」を聴いたときである。corin/西寺郷太のいわゆる(?)「にしこり体制」だ。自身が熱狂的なジャニーズファンでもある西寺は、この時期にメンバーに入念なヴォーカル指導をおこなっている。この西寺のメンバーの持ち味を活かしたヴォーカル指導が、のちのアルバム『Oh! My! Goodness!』の名盤化に大きく貢献している。そして、その到達点こそ、怪作にして傑作「kEEP oN.」だろう。「Sunday Monday 朝まで~♪」と始まる坂本のオペラパートを聴いたときの衝撃は忘れられない(というか、あらためて聴き直してもいまだ冷静ではいられない!)。

 各メンバーがタレントとして飛躍したV6は、現在音楽的にも充実期である。いまV6を聴かなくてどうする、という感じだ。しかも現在の音楽シーンは、80年代的なバキバキしたシンセサイザーとローランド系のドラムマシンを新鮮に再利用する流れにある。つまり、V6の十八番であるユーロビートを再解釈するにはうってつけの時期なのだ。もう一度、言おう。いまV6を聴かなくてどうする!

 まずは、バキバキのシンセサイザーに彩られた最新作『Sky's The Limit』を聴いて欲しい。これが、2014年版「MUSIC FOR THE PEOPLE」だ!

■矢野利裕(やの・としひろ)
批評、ライター、DJ、イラスト。共著に、大谷能生・速水健朗・矢野利裕『ジャニ研!』(原書房)、宇佐美毅・千田洋幸『村上春樹と一九九〇年代』(おうふう)などがある。

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