10月22日にミニアルバム『イェーイ』発表
SEBASTIAN X、メジャーデビューの意義とは? 柴 那典が今後の可能性を読む
SEBASTIAN Xが、10月22日にリリースするミニアルバム『イェーイ』でメジャーデビューを果たす。
ボーカル永原真夏の類まれなる存在感と躍動感あふれるカラフルな曲調で、着実に支持の輪を広げてきた4人。ギターレスの編成ながらパワフルな迫力に満ちたサウンド、ピュアな生命力のようなものを感じさせる歌声と、他のバンドにはない独特な魅力を放ってきた。
結成から6年、これまでDIYなスタンスで活動を繰り広げてきたSEBASTIAN X。果たしてこのタイミングでのメジャー進出の意義はどこにあるのか? バンドはこの先どう変わっていくのか? この記事ではそのあたりを読み解いていこう。
筆者が初めてSEBASTIAN Xのライブを観たのは、2011年12月。1stアルバム『FUTURES』を引っさげてのリリースツアーのファイナル公演、渋谷クラブクアトロでのことだ。満員の観客を前に、純白のドレスを身にまとった永原真夏ら4人が見せたのは、お客さん全員を笑顔にするようなハイテンションなステージだった。
そして、その時に初めて開催を告知した野外イベント「TOKYO春告ジャンボリー」は、バンドのアイデンティティを改めて広く伝える大きなきっかけとなった。その名の通り春の東京を舞台に、2012年・2013年には上野・水上野外音楽堂で、2014年には日比谷野外大音楽堂で開催されたこの自主企画イベント。メンバー自らがブッキングや会場の装飾を手掛けるDIYのスタイルの運営も大きな特徴になった。バンドはもちろん、弾き語り、ブラスバンド、スティールパンまで、その年その年でジャンルやスタイルの枠組みを超えた個性的なラインナップが実現し、そして、カラフルな装飾の中、お客さんがお酒を飲んだり踊ったりしながら思い思いに音楽を楽しんでいた。その陽気でチアフルなムードが、そのままSEBASTIAN Xの自由で開放的な音楽性とリンクして伝わっていったのだ。
2014年の「TOKYO春告ジャンボリー」では、SEBASTIAN Xはイベントのテーマソングとしてシングル『スーダラ節 / 春になったら会いにきて』をリリースしている。ミニアルバム『イェーイ』にも収録されているこの“スーダラ節”はBLACK BOTTOM BRASS BANDのホーン隊とのコラボによるもの。両者の交流も春告ジャンボリーをきっかけに生まれたものだ。