いま、アイドルの恋愛禁止をどう考える? 評論家が「落としどころ」を探る

 「近年では峯岸みなみが坊主頭にしたり、指原莉乃がHKT48に移籍したりと、ここ数年のAKB48が取った処置により、卒業や脱退をしないで何らかの形で“禊”をするという文化が定着しました。世間に対して“事の次第がどうなるか”ということを含めてのエンターテインメントとして成り立ってしまった感もあり、運営は日々落としどころを探っています。なので、アイドル側はある種の虚構を成り立たせていることを大前提にして、スキャンダラスな部分を絶対に見せないことをパフォーマンスの一部として提唱する。そして、ファンがそれを信じてあげることは、信頼関係を成り立たせる上で大事だと思います。それが万が一壊れたときには、その推移を楽しむのが健全なのかもしれません。といっても、『ガチ恋』の人にそうしろというのは難しいですし、近年はその層がビジネスを支えている印象も持っています。なので、箱推し・DD(誰でも大好き)の人がそこまで深刻な事態にならないように、ファン同士の助け合いが重要になるのではないでしょうか。今は女の子同士の人間関係を楽しんでいる層もかなり大きいですし、そうすることでファンコミュニティが上手く回って欲しいですね」

 最後に、同誌は週刊誌だけでなく、ファンの誰もがスクープ写真を撮影できる時代になったことで、より運営の手腕が問われるようになったとした。

「2000年代以降のアイドルは、ファンによる情報発信が良くも悪くも重要なものになっていて、それを取り払うことは難しくなってきています。運営側が『アイドルの私生活をファンが暴くことは許されない』という姿勢で臨むことは法律的にも間違っていませんが、ファンを利用しつつ、都合の悪いところは『私生活に干渉するな』と提示すると、ファン側の不満が溜まってくるのは当然です。だからこそ運営には、アイドルの私生活をうまくカモフラージュし、ファンに見せないように工夫する必要があり、一番手腕を問われる部分だと思います」

 グループ運営上、避けては通れない問題であり、最も難しいものとされる“恋愛問題”。ファンと運営の双方が納得できる落としどころを探る試みは続きそうだ。

(文=松下博夫)

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