栗本斉の「温故知新 聴き倒しの旅」
レオタード姿で80年代を駆け抜けた実力派シンガー 麻倉未稀の『Hip City』を聴く
突然ですが、レオタードはお好きですか? 水着や各種制服といったコスチュームは、男性諸氏にとっては永遠の憧れというか、ドキドキするアイテムであるのですが、一時期大人気だったレオタードというものを最近見かけませんね。少し前は、ビヨンセやレディー・ガガなんかもレオタード衣装を身に付けて、80'sセクシー・ファッション復活の兆しもあったのですが、さすがに日本ではそれほど広がらず……。もちろんまったくなくなったわけではないのでしょうが、その地位はかなり失墜してしまったかのように思います。
レオタードといえばエアロビクス。80年代頭に女優のジェーン・フォンダが『ワークアウト』というエアロビクスのビデオを発表して大ヒットし、その影響で日本にもエアロビ・ブームがやってきました。音楽シーンでいえば、清純派の印象だったオリビア・ニュートン・ジョンが、1981年に発表した「Physical」で大胆なレオタード姿を披露し、見事イメージチェンジを図りました。その後、映画『フラッシュダンス』(1983年)などの影響もあって、レオタードは市民権を得るようになります。80年代のアイドルのグラビアでも定番アイテムだったし、アニメ『キャッツ・アイ』の三姉妹もレオタードがユニフォームでした。
さて、そんなレオタードの似合うシンガーといえば、僕にとってはなんといっても麻倉未稀です。『フラッシュダンス』の主題歌である「フラッシュダンス~What A Feeling」を日本語でカヴァーし、ドラマ『スチュワーデス物語』の主題歌として大ヒットしたのは、当時リアルタイムで観ていなくても知っている方は多いはず。他にも、ボニー・タイラーが映画『フットルース』で歌った「Hero」(1984年)を、これまたドラマ『スクール☆ウォーズ』の主題歌に抜擢されたりして、とにかく熱唱ソングをしっかり歌える美人シンガーとして人気を博したわけですが、テレビ出演の際にもレオタードを着ていたような記憶があります(かなり曖昧な記憶ですが、間違っていたらすみません)。