新作『Konjac-tion(コニャクション)』インタビュー
バッファロー・ドーターが到達した新たなモードとは?「自分たちなりの『パーティー観』を表した」
「『コンニャク』にも『コニャック』にも聴こえる。それが面白い」(ムーグ)
ーー前作は非常にロック的なサウンドでしたが、今回音楽的にはエレクトロ色が強まってますね。
シュガー:そういう意識はなかったけど、前回に比べるとね。
大野:別にそれを目指したわけではないけど。最後の2週間でがらっと変わったのね。それまではわりとロックっぽい雰囲気かなって、私は思ってたのね。だけどあんまりピンとこないねって言って、いろいろ試行錯誤して、コードを変えてみたりとか。いろいろチャレンジして考えてたら、だんだんエレクトロっぽい…ロックだけじゃない部分がいろいろ出てきたような気がする。
ーー最後の2週間って、完パケの2週間前ってことですか。
大野:そうです。みんなから「まだやってるんですか」って言われて(笑)。
ーー何がピンとこなかったんですか。
シュガー:なんでしょうねえ…曲は悪くないのにアルバムとして面白くないって、自分たちで思っちゃって。
大野:何回聞いてもいいと思えなくて。
シュガー:悪くはないんだけど。
大野:うん、悪くはないんだけど、どうもしっくりこなくて、「ウーン」と悩んじゃうところがあって。
シュガー:悪かったらさっさと捨てるんだけど、悪くないんだけどどうしてかなあ、というのが多くて。なんか方法あるんじゃないのって試行錯誤して。そのままで出せなくもなかったけど、それだと自分たちの満足度が低いから。
ーーそもそも設計図を描いてその通りにやっていく、という作り方ではないですよね。
シュガー:ないですね。どう見てもね。
大野:最初はほんとにディスコってイメージがあったから、それに対して何曲か作っていって。ベーシックはそれでできてたんだけど、これは無理だなと思うようになってから、一個一個取り出していって、全部全然違うものに作り替えていったから。
ーー(笑)。ベーシックの意味がない。
大野:まあね。ほんとにないんだけど(笑)。でもちゃんと使ってるのよ、音は(笑)。
シュガー:ドラム全差し替えとかね(笑)。平気でありますよ。
大野:コード全部取っ替えたとかね。鳴ってる音は同じだけど、違うコードをかぶせて。
シュガー:テンポを変えるとかね。最近そういうことができるからいいですよね。
ーーポスト・プロダクションに手間をかけたってことですね。しっくりこなかった原因ってなんだったんですか。
大野:(制作開始から)時間が経ちすぎたんじゃないですかね(笑)。
シュガー:ピーターとやって、その時にすぐできていればもっと違うものができたと思うんだけど。
大野:たぶん「Oui Oui」だけがあんまり変わってない。
ーー「Oui Oui」のPVが先行公開されたでしょう。ああ、こういうポップな可愛い感じになるのかと思ってたら、アルバム聴いたらこの曲だけが違ってたっていう(笑)。
大野:あはははは!
ーーリード・シングルって普通アルバムの内容を代表するような曲を選ぶでしょう(笑)。
大野:あははは! でも最初はその予定だったんですよ。あの時点では。でも最後の2週間で全部変わっちゃったの。
シュガー:でも大丈夫。全部こじつけられるから(笑)。ちゃんと自分たちの中では納得できてるから。自分たちなりの「パーティー観」を表したものになってるからね。一曲めの「Hit-it-go-round : Party is about to beginーー」は、ブロックパーティーが始まる感をよく表してるでしょう。それ以外の曲だって、いろんな音楽がかかるじゃないですか、ディスコって。ダンス・チューンばかりじゃないし。そういう意味では「ディスコ」にしても「ブロック・パーティー」にしても「音楽ジャンル」じゃないのかなっていうね。
ーーなんでもアリで。
シュガー:なんでもアリですよ。
ーー今回ゲストがたくさん参加してるのも、なんでもアリな雑多な感じを表してますね。
シュガー:それがまさにアルバム・タイトル(「コニャクション」)ですよ。
ーー人と人とのつながり、ですね。
ムーグ:シュガーがアルバム・タイトルをつけたんですけど、「コンニャク」にも聞こえるし、フランス語だと「コニャック」。それがすごい面白いなあと思って。響きもいいし。
ーーポップですよね。
ムーグ:うん。でも受け止める人はさ、いろいろなタイプの人がいるので、そういうのも含めて、このタイトルがあってるんじゃないかなと。
ーー弾力性のある。
ムーグ:うん、そうそうそう。そういうアルバムなんです。
大野:でもそのタイトルも最後の2週間で決まったっていう(笑)。
シュガー:タイトルも先行シングルを出した時に決めなきゃいけなかったから決めたんだけど、その時はあまりゲストは入ってなくて。自分たちだけで完結しようとか、逆にゲストをたくさん入れようとか、そういう決まったアイディアがなかったからね。作りながら思いつきでどんどん頼んでいって、最終的にこうなったっていう。
ーーアルバム制作中にアメリカやヨーロッパをツアーして回ってたんですよね。それはなにか影響してますか。
シュガー:今回のアルバムが最終的に暗くなったのは、ちょっと影響してます。今作はフランスのレーベルからも出るんですけど、そのレーベルの人と話してる時に、「Oui Oui」みたいな曲を聴いて、「これも素晴らしい曲だけど、もっと違うバッファローが聞きたいな」って言われたのね。ライヴの感じのバッファローが聞きたいらしい。もっとサイケデリックだったりロックだったりね。「まだ聞いてないけど、そういう曲もあるんだよね?」って言われて。そうかあ、と思って。どうせうまくいってないんだし、そっちにシフトしますか!ってことで舵を切ったら、こうなったっていう(笑)。