YouTubeが今夏にも有料音楽サービス開始へ レーベルとの新契約急ぐも、一部からは不満も

 YouTubeが新サービスの開始を急ぐ背景に昨今の「音楽聴き放題ストリーミングサービス」の流行があると指摘するのはイギリスのガーディアン紙。アメリカでは先行して「Pandora」「iHeartRadio」「Spotify」といったサービスが人気を集め、アップル社も昨年の9月から「iTunes Radio」を開始。先月にはBeatsの買収も決めている(参照記事:Appleが30億ドルでBeatsを買収した背景とは? 音楽業界との関係強化が狙いとの見方)。さらにアマゾンも先週から「Prime Music」をアメリカで開始。そういった流れのなか、遅れをとらないよう急ピッチでサービスの立ち上げが進められたため、このような強引な形でのスタートに至ったのだという。

 インディーズレーベルの中にはこうしたYouTubeの進め方に異を唱える声が多く挙がっている。インディーズレーベル協会A2IM会長のリッチ・ベングロフ氏はBillboardのインタビューで「Rdio、Spotify、Rhapsodyをはじめとする約20のサービスはわれわれを大手レーベルと公平に扱ってくれるが、YouTubeは明らかに違う。この件について私はFTC(米連邦取引委員会)に申し立てた」とコメント。同記事は新契約を拒否した複数のレーベル関係者の話として、YouTubeは中小レーベルに対して3大レーベルとは異なる条件を提示していたことも明らかにされている。

 ある音楽関係者はこう語る。「これまでYouTubeはプロモーションの場として、ミュージシャンの認知や販促に一定の成果を上げてきた。しかし今回のような一方的な契約と(契約に至らなかった)動画の削除は寝耳に水。プラットフォーム事業者の発言力が強まるにつれ、このような事態が起こるケースは今後も増えるかもしれない」。
(文=北濱信哉)

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