『Mステ』その強さの秘密とは? チャレンジングな番組制作の姿勢を探る

 かつての名物番組が次々と終了するなど、厳しい戦いを強いられている音楽番組。そんななか、ひとり気を吐く番組がある。誰もが知る長寿番組の『ミュージックステーション』である。

 このところの『ミュージックステーション』の存在感には眼を見張るものがある。稲葉浩志の10年ぶりソロ出演や椎名林檎とaikoの同期共演、レディー・ガガやファレル・ウィリアムスなど海外大物ミュージシャンの来日出演など、毎週のようになにがしかのビッグトピックスが話題をさらっている。もちろんジャニーズの新曲はどこよりも早く放送をするし、KANA-BOONのような実力派若手ミュージシャンのピックアップにも抜かりがない。かつて「音楽番組の教科書」と呼ばれ、良くも悪くも色のない番組の象徴だったこの王道の長寿番組が、いまや他のどの番組よりもチャレンジングで音楽ファンにとっては目の離せない番組となっているのだ。

 『ミュージックステーション』について「どの媒体よりもまず取り上げてもらいたい番組」と語るのはあるレコード会社のプロモーターだ。「媒体力という意味では他のどの番組とも比べ物にならないくらいの影響力があり、CDの売上にも直結するいまでは稀有な存在のひとつ。生ライブパフォーマンスで視聴者に存在をアピールできるのも大きい。ほとんどのミュージシャンにとって、ミュージックステーションに出演するということは大きな目標になっています」。

 また別の音楽関係者は出演者や制作スタッフへ強い信頼を寄せる。「司会のタモリさんをはじめ、この番組のスタッフになら任せられるなという安心感がある。生放送なので曲の歌詞をどう削るかなど番組スタッフとせめぎ合いになることも多いが、最終的にはお互いにとって納得できる形に収まることが多い。プロデューサーからカメラマンまで音楽を愛してやまないスタッフばかりなので、そうやって長年築かれた信頼関係が番組を支えているのではないでしょうか」。

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