6年前の来日時とはステータスが激変
フジロック出演アーケイド・ファイア 「インディーの良心」はいかにして世界的ビッグネームとなったか
そして、昨年10月にリリースされた通算4枚目となる2枚組アルバム『リフレクター』は、発売初週にアメリカ、イギリスともに首位を獲得。つまり、前回来日を果たした08年から現在に至るまでの「約6年」という歳月の中で、彼らは“インディーロックの良心”から、“現在の音楽シーンを代表する”ビッグネームのひとつと化してしまったのだ。もはや、かつてのような小さなライヴハウスでは、決して観ることはできないだろう――誰もがそう思っていた矢先の「FUJI ROCK」出演の報。ここ数年、何度も噂されながら実現には至らなかった、フェスのヘッドライナーとしての出演。これは盛り上がらないわけがない。
折りしも、現在アメリカ、カリフォルニア州で開催中の野外フェス、コーチュラでのライヴ・パフォーマンスの模様が、先週末13日(日本時間14日)にライヴ・キャスティングされ――往年の人気バンド、ブロンディーのデボラ・ハリーがゲストで参加するなど、その堂々たるヘッドライナーぶりと祝祭感に満ちた圧倒的なステージを見せつけられたばかりという、またとないタイミングでの発表。それだけに、ファンの喜びもひとしおという次第なのである。
パーカッションなどのサポートメンバーを加えた、よりプリミティヴなリズムを響かせながら、エモーショナルな高揚感の溢れる音楽を響かせるアーケイド・ファイアのステージ。世界中で熱狂的なファンを獲得しているそのステージは、極上の自然と広大なスケール感を誇る苗場の地で、果たしてどんなふうに響くのだろうか? 当初ヘッドライナーとして発表されていたカニエ・ウェストが突如出演をキャンセルするなど、残念なニュースもあった今年の「FUJI ROCK」だけれど、今回のアーケイド・ファイア出演の発表によって、俄然注目と期待を集めるようになったのは、どうやら間違いないことのようである。
(文=麦倉正樹)