海外の「聴き放題サービス」最新事情

Appleがオンデマンド型サービスを準備中か 海外の音楽ストリーミングは大競争時代へ

 東洋経済オンラインは複数の大手音楽会社の幹部からの話として、音楽聴き放題ストリーミングサービスのSpotifyが今年6月にも日本でのサービスを開始する見通しだと報じた。日本法人の代表を務めるハネス・グレー氏は「現段階では詳細を話せない」とした上で「日本は世界2位の市場。そこで普及させるための強いチームも用意した」と日本でのサービス開始に意欲を見せている。(参考:東洋経済オンライン

 これまで当サイトでも幾度となく取り上げてきた音楽聴き放題ストリーミングサービスの隆盛。Spotify日本上陸の報道と時同じくして、BillboardはAppleがオンデマンドの音楽ストリーミングサービスの提供開始に向け、音楽レーベル数社の上級幹部らと交渉中だと報じている。AppleはすでにiTunes Radioというストリーミングサービスをアメリカ及びオーストラリアで展開しているが、Billboardの報じるところによると新しいサービスはSpotifyやBeats Musicと競合するサービスになるといい、よりユーザーの聴きたい曲をコントロールできるストリーミングサービスになるものと予想される。また同記事によるとAppleはAndroid向けのiTunes Storeアプリを開発し、自社サービスを敵陣に向けて提供することも検討しているという。これまでAppleといえば垂直統合型のプラットフォームでデバイスからサービスまで一貫した提供を行ってきたが、米国におけるiTunes Music Storeのダウンロード販売数が2桁もの減少に陥っているとして、急速に普及しているAndroidのユーザーにiTunesを開放することで販売数の減少を改善しようと考えているのだという。(参考:bilboardbiz

 新興サービス台頭のなかアメリカにおけるストリーミング最大手のPandoraは10年在籍したCTOのトム・コンラッドの退任を発表。その理由は明らかにされていないが、以前、筆者のコラムでも報じた通り、Pandoraはユーザー数と楽曲数の増加がコスト負担となり2013年は赤字決算(参照記事:iTunes Radioが驚異の急成長 アメリカ音楽ストリーミングサービスの最新シェア動向)。その責任をとったと考えるのが自然だろう。なお後任にはエンジニアリング担当副社長クリス・マーティンが19日から就任。同時に有料プランの料金を月額3.99ドルから4.99ドルへ1ドル値上げすることを発表した。(参考:TechCrunch

 海外では他にもGoogleの提供するGoogle Play All Accessやサムスンの発表したMilkMusicなど音楽ストリーミングサービスへの参入が相次いでいる。これらがどこまで普及するかはサービスをカバーする端末数と楽曲の品揃えが鍵となるだろう。GooglePlay All AccessはiTunesに先行してiOSでもサービスを提供、また現状GALAXY端末に利用が限られるMilk Musicも他社端末へのサービス提供を検討中という。楽曲の豊富さで言うとPandoraやSpotifyが今のところ群を抜くが、ビヨンセやファレル・ウィリアムスの新譜などメジャーどころは各社とも揃えており、旧譜やインディーズミュージシャンをどれだけカバーできるかが今後の勝負どころの一つになるだろう。
(文=北濱信哉)

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