小野島大の「この洋楽を聴け!」第9回:ローリング・ストーンズ
祝日本公演! 小野島大が選ぶ、ローリング・ストーンズのジャンル別ベスト55曲
邦題は「黒くぬれ」。これも全米1位を記録した初期の代表曲。現実をすべて黒く塗りつぶしてしまえという歌詞が、実に「10代の反抗」的で、禍々しく扇情的です。シタールを入れたアレンジが秀逸。
60年代ストーンズの到達点であり、70年代以降のストーンズの大飛躍のきっかけとなった名盤『レット・イット・ブリード』のオープニングを飾る曲。メリー・クレイトンとミック・ジャガーの掛け合いのヴォーカルが最高に興奮を煽ります。
『メイン・ストリートのならず者』収録で、ブギ〜ロカビリー・タイプの速いテンポのパンキッシュなロックンロール。ボビー・キーズのサックスが最高です。
キース・リチャーズのヴォーカル曲のなかでも代表曲とされる実にごきげんなロックンロール。これはリリースされてまもないころのライヴで、後年と違い、ミックとヴォーカルを分けあっているのが見どころ。
レコードでは「Star Star」というタイトルになっていますが、当然ここではボツにされた元タイトルで。グルーピーのことを歌ったスキャンダラスな歌詞もさることながら、チャック・ベリー・スタイルのオールドスクールなロックンロールをここまで白熱したロックにするミック・ジャガーのヴォーカルがすごい。
ストーンズなりのパンクへの返答と言われたアルバム『女たち』を代表する曲。ミックのヴォーカルはほとんどラップですが、スピード感のあるリフと相まって、終始緊張感を失わない迫力と説得力はさすがです。
解散寸前だったストーンズが、この曲の入ったアルバム『スティール・ホィールズ』で劇的に大復活、おまけに夢にまで見た初来日が実現してしまったということで、日本のファンには絶対忘れられない名曲。修復不可能と言われたミックとキースの和解を歌った浪花節的な歌詞、ストーンズらしい色気に満ちたコーラスが素晴らしい。
バンド初期の名曲で、スタジオ・ヴァージョンでは、マリンバを導入したアレンジと、モータウン的なアレンジで、ひとひねりしたロックンロールに仕上がっています。映像は映画「ギミー・シェルター」のいち場面。1969年オルタモントのフリー・コンサートでストーンズがこの曲を演奏している目の前で、黒人青年メレディス・ハンターがヘルス・エンジェルスに撲殺されるという事件を捉えた瞬間です。ウッドストックに象徴される楽観的な60年代幻想の幕をひいた悲劇のBGMでもあったのです。
邦題は「19回目の神経衰弱」。リフとリズムのスピード感、ラップのような起伏のないメロディ、そしてどポップなサビ部分と、60年代ストーンズの最良の部分が集まった痛快な曲。タイトルもキャッチーで最高です。
ストーンズ中期の最高傑作『メインストリートのならず者』の冒頭を飾る痛快なロックンロール。最初からぐいぐいと加速していくドライヴ感が最高です。
それまでシングルA面曲はすべてカヴァーだったストーンズが、この曲で始めてジャガー/リチャードのオリジナルをA面にした記念碑的な曲。延々と繰り返される単調ななギターリフが頭にこびりついて離れない、これぞストーンズな個性がすでにできあがっています。
キースとミック・ジャガーが全編でWリード・ヴォーカルをとるバンド初期の隠れたポップ・ロックの名曲。
邦題は「魔王のお城」。失敗作と言われることの多い怪作『サタニック・マジェスティーズ・リクエスト』は、言われるほどひどい出来ではなく、このようにストーンズらしいリフ主体のハードなロックでも秀逸な作品が聴けます。ディテールのアレンジがサイケっぽいですね。
「今や俺たちゃ世間で尊敬されてる 大統領とヘロインの話だってできるぜ」という歌詞といい、性急な曲調といい、パンク全盛期の英国シーンに対応した痛快なロックンロールが聴けます。
「墓場でD (DEVILとDYLANのダブルミーニング?)と踊る」という歌詞、怪しげで退廃的なムード、PVでの危険なグラム・ロッカーとしてのヴィジュアルなど、ストーンズのデモーニッシュな面を打ち出したヘヴィ・ファンク曲。
「誰が昨日の新聞を欲しがる 誰が昨日の女を欲しがる そんな奴あ誰もいない」という歌詞はなかなか過激ですが、何十種類というドラムを試したというイントロといい、全体にはモダンでスタイリッシュなストーンズの一面が聴ける、この時期の隠れた名曲です。