岡島紳士が語る「ポスト戦国時代のアイドル」(中編)
モーニング娘。の逆襲が始まった ハロプロ勢が再評価される理由
モーニング娘。唯一の成功例とも謳われた矢口真里が不倫騒動を起こし、初期モー娘。メンバーのパブリックイメージは、とうとう地に落ちたかのように思える昨今。
しかし、ここにきて現役のモーニング娘。が再び注目を集め始めている。スキャンダルや奇をてらった演出ではなく、正統派のアイドルグループとして、だ。
AKB48とももいろクローバーZの躍進に、元メンバーのマイナスイメージが重なり、かつてのナンバーワンアイドルグループの影もなかったモーニング娘。が、なぜ今、再評価され始めたのか。
『グループアイドル進化論』(マイコミ新書)の共同著者であり、アイドル専門ライターとして活躍する岡島紳士氏が、アイドルカルチャーの"今"を語る集中連載。中編ではモーニング娘。に代表されるハロープロジェクト系グループが再評価され始めた理由を尋ねた。
前編:「アイドル戦国時代はすでに終了 BABYMETALら次世代の新たな戦略とは?」
――モーニング娘。が完全に復活した、と言われています。なぜ再評価されたのでしょう?
岡島紳士(以下、岡島) 売れている、売れていないの感覚って、世間一般の感覚で言えばテレビに出ているか、出ていないかだと思うんですね。でも、実はテレビに出ていなくてもアイドルグループとしてちゃんと機能しているケースがあるんです。
モーニング娘。の場合は、人気がピークの時はアリーナクラスでのコンサートも多かったですよね。その後人気が落ち着いて来て以降も、1000人、2000人規模のコンサートをずっと続けてきたんです。このくらいの規模でコンスタントに活動を続けられるアイドルグループって、実は数えるほどしかありません。そしてハロプロは、Berryz工房、℃-uteと、このクラスの実力派アイドルグループが何組もあります。だから例え世間で消えたと思われても、アイドル業界という視点から見れば、全然消えていなかったんですよ。そして、曲が良いとか、パフォーマンスが優れているとか、そういうハロプロの根幹に関わる要素って、一朝一夕に真似できるものではないんですよね。つんくプロデュースの楽曲もエレクトロサウンドなど流行を取り入れ、現代的に進化しています。今はアイドルブームでたくさんのグループが乱立し、「アイドル」というジャンルの市場が拡大しました。それが大きな1つの要因ではありますが、モーニング娘。が再評価され始めたのは、ブレないことをずっと続けてきたハロプロの凄さが浮き彫りになり、そこに世間があらためて気づいただけ、ということなんだと思います。