前シーズンのヒロイン榮倉奈々との違いとは? 木村文乃、『99.9』ヒロイン抜擢の背景を探る

木村文乃、『99.9』ヒロイン抜擢の背景

 女優・木村文乃が、映画やドラマで大活躍を見せている。現在公開中の錦戸亮主演映画『羊の木』にはヒロインとして登場しているが、シーズン1に出演していた榮倉奈々のバトンを引き継ぎ、同じくヒロイン役を演じている現在放送中のドラマ『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)での存在感が話題だ。

 そんな木村の本作での役割について、ドラマ鑑賞に半生を捧げてきた完熟ライターの麦倉正樹氏は榮倉との違いを胸を熱くさせながら次のように語った。

「木村さん演じる尾崎舞子は、シーズン1の榮倉さんが演じた立花彩乃とはまた違って、深山大翔(松本潤)の同僚の弁護士でありながらも、元裁判官という変わった経歴を持っています。当初は、深山と対立するのではないかと思われた彼女ですが、案外そういう感じでもなく、深山に振り回されながらも、結局彼に協力するという面白い収まりをしている役どころです。しかし、“日本の司法システムはこれでいいのか?”というシーズン2の重要なテーマは、実は彼女が担っているといっても過言ではないでしょう。彼女が裁判官として見てきた司法制度の矛盾が、深山との関わりを通して浮き彫りになる。立花の代わりに登場したようなイメージが強い尾崎ですが、2人の役割には大きな違いがあります」

木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第6話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第5話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第4話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第4話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第3話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第1話より (c)TBS
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木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第6話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第5話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第4話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第4話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第3話より (c)TBS
木村文乃/『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』第1話より (c)TBS
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 『ボク、運命の人です。』(2017年、日本テレビ系)、『A LIFE〜愛しき人〜』(2017年、TBS系)、『神の舌を持つ男』(2016年、TBS系)、『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(関西テレビ・フジテレビ系、2015年)とドラマ出演が続いている木村。近年の彼女の女優としての魅力について、麦倉氏はそのキャリアを振り返りつつ、目をこすりながら呟く。

「木村さんは、役柄の“バックグラウンド”を感じさせる女優という印象があります。10代でデビューした彼女ですが、1987年生まれの同世代の長澤まさみさんや井上真央さんと違い、メジャー作品のメインキャラに起用されるようになったのは、ここ5年くらいでしょう。若い頃は役柄に恵まれず、役者の仕事を辞めようと思ったこともあったそうです。しかし、20代前半に苦労を経験したからこそ、同世代の他の女優にくらべて、ある種の生活感、等身大のリアリティを漂わせることができるのではないでしょうか。そのようなキャリアはもちろん、自身の公式Instagramで料理上手な一面を見せたり、視聴者と同じような一般の生活を感じさせるリアリティがある。30歳になった今になって、そのような要素が芝居にも活きているのではないかと思います」

 さらに麦倉氏は、木村が『99.9』のヒロインとして抜擢された理由について、身を乗り出しながらここぞと熱弁をふるった。

「主演の松本潤さんをはじめ、多くの役者がシーズン1から続投するなど、視聴者も含めて関係性ができあがっているなか、新たなメインキャラクターとして登場するのは、とても難易度の高い役どころであると言えるでしょう。芝居の実力が問われる役どころでもあります。しかし、他のメインキャストたちが知り得ない尾崎の過去……家族の問題も含めて、彼女が裁判官として経験してきたことや、その苦悩こそが、シーズン2の物語に奥行きを与えているように思います。そう、木村さんが映画『羊の木』演じた石田文というキャラクターは、上京後に地元に戻ったという設定でしたが、東京にいるあいだに、いろいろなことがあったんだろうなという背景を漂わせたキャラクターでした。それと同じように“影のある女性”“過去のある女性”と言ったら少し言葉が強いですが、劇中で語られなくても、ひとりの女性として、それまでにいろいろなことを体験してきたんだろうなと視聴者に感じさせる、役柄の“深み”のようなものが、今の木村さんには出せているのではないでしょうか」

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