>  > 劇団PU-PU-JUICE、戦争作品に取り組む理由

『兵隊日記 タドル /兵隊日記 ツムグ』インタビュー

劇団PU-PU-JUICE・山本浩貴 & AJIGULが語る、戦争作品に向き合う理由「自分たちの言葉で戦争を語りたかった」

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 毎公演の動員観客数が2000人を超える人気劇団、劇団PU-PU-JUICEによる第22,23回本公演『兵隊日記 タドル /兵隊日記 ツムグ』が、12月17日(木)から27日(日)にかけて中目黒 キンケロシアターにて開催される。『兵隊日記 タドル』は、ある戦争映画を撮影していた役者たちが、1945年に池田甚八という兵隊が書いた日記をもとに、戦争の時代と向き合おうと必死にあがく物語で、キャストには俳優の山下徹大や文音、三浦力らを迎えている。連作となる『兵隊日記 ツムグ』は、1945年当時の池田甚八の一家が、戦時中にありながら、日々訪れる珍客たちが巻き起こす事件を解決しようと、明るく奮闘する物語。キャストには元・アイドリング!!!のメンバーだった外岡えりかも名を連ねている。戦後70年の節目を迎えた今年、劇団PU-PU-JUICEはなぜ戦争を題材にした作品に挑んだのか。脚本を務めた劇団PU-PU-JUICE・山本浩貴と、劇伴を担当するAJIGUL・砂川彩乃と辻本好美の3人に、インタビューを行った。

山本「下の世代に戦争を伝えるときに、自分の言葉で語る必要があるんじゃないか」

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『兵隊日記 タドル /兵隊日記 ツムグ』チラシ

ーー『兵隊日記タドル』と『兵隊日記ツムグ』は、一冊の日記を通じて、過去と現在というふたつの時代から戦争というテーマに向き合った連作となっています。こうした作品に挑戦しようと思ったきっかけは?

山本:僕自身、これまで戦争についてしっかりと向き合って考えたことがなかったので、一度、ちゃんと自分の言葉で戦争というものがどういうものなのかを語ってみたいと考えたのがきっかけです。僕らの世代は戦争を体験していないけれど、自分の下の世代に戦争のことを伝えるときには、やはり自ら調べて、納得した言葉で語る必要があるんじゃないかと思うんです。戦後70年という節目でもありますし、劇団としてもこれまでに触れてこなかったテーマだったので、メンバーと話し合った結果、今回の題材にすることにしました。

ーーAJIGULの二人は、「劇団PU-PU-JUICE」の舞台に劇伴を付けるのは二回目ですね。前回の『竜馬が生きる』『竜馬を殺す』とは、時代背景や世界観が大きく異なりますが、それについてはどう捉えていますか?

砂川:私たちは尺八とピアノのユニットで日本的なサウンドを追求していて、前回は演出に和太鼓なども入っていたので、本当にドンピシャだったのですけれど、今回は戦争がテーマの作品とのことで、正直なところ、私たちになにができるのか心配な面もあります。それこそ、映画などにも戦争を描いた名作はたくさんあるので。だから今回は、自分たちのコンセプトと作品自体をどう擦り合わせていくかというより、できる限りお芝居の世界に寄り添うことを、まずは意識していますね。

辻本:ただ、美しさにはさまざまな形態があると思うので、そこをうまく表現していきたいとは考えています。戦争をテーマにした作品となると、なかなか美しいイメージは抱きにくいですけれど、当時を生きていた人々の心境にもある種の美しさは宿っていたはずだし、それを表現することは私たちにとってもプラスになると思うんです。

ーー劇伴は芝居を見て、それに合わせて制作していくんですか?

砂川:そうですね、お芝居の稽古を見て、そのシーンに合わせて即興的に作っていく感じです。多分、こういうやり方は珍しいんじゃないかと思います。

山本:ウチの場合は、脚本が全部できてから稽古が始まるということはまず無いですからね。

砂川:本当にキャッチボールみたいな感じで、あっそう来たか、じゃあこれならどうだ、これならどうだ、という。稽古中から本番まで常に“生もの”という感じで、お芝居も演奏も日々変わっていきます。

山本:そういう作り方をするのが、一緒にやっていて一番楽しいんですよ。役者さんと音楽家さんが、芝居と音で会話する感じで、そうすると予定調和ではないものができあがってきます。もちろん、彼らはその分、大変な面も多いとは思うけれど。脚本も、ある程度のプロットはできているものの、稽古の中でどんどん変わっていきます。僕の場合、結構バラバラにいろんなシーンを書いてきてしまうので、演者さんたちは余計に大変かも(笑)。

砂川:なんか最近、稽古を見ているとパズルみたいだなって思います。「あー、ここが繋がってたんだ」って感じで。

ーーそうした手法は山本さんのこだわりですか?

山本:演出家としてこういうのもなんですけれど、僕がすべてを指示するより、演者さんたちが色々と提案してくれたほうが、結果として面白い作品になるんですよね。僕自身、稽古場に来るときは、お客さんとして来るような気持ちで、「今日の稽古は何をみせてくれるんだろう」って楽しみにしたいですし、毎日なにが起こるかわからない、昨日作ったものを今日は壊すっていうほうが、エキサイティングじゃないですか。

ーー「劇団PU-PU-JUICE」は“映像と舞台の垣根を取り払う”というテーマを掲げています。これはどういうことでしょう。

山本:この仕事をやっていると、よく舞台と映像の違いが話題に上がることが多いんですよね。たとえば演技ひとつ取っても、舞台的なものと映画的なものは違うとされています。でも、両者は見せ方が違うだけで、通じる部分はたくさんあるし、だからこそお互いの良いところをうまく組み合わせれば、その垣根を取り払った新しいものが生まれるんじゃないかと考えたんです。具体的にいうと、「劇団PU-PU-JUICE」は舞台をメインにやっているけれど、お客さんには映画を観るような感覚で気軽に来て欲しいと思っています。そのためにどんな工夫をすれば良いか、というのは常に考えているところですね。

ーー舞台を観に行くのは、映画を観に行くのと比べると、たしかに少しハードルが高く感じられるかもしれません。

山本:もちろん、シェイクスピアなどの舞台芸術もあって然るべきですが、もっと日常的に楽しめる舞台もあって良いと思うんです。理想を言えば、お客さんに「面白かったから、もう一度観てみよう」と思ってもらえるくらい、僕らの舞台はカジュアルに受け止めてほしいですね。舞台の演技というと、「あー、ロミオ!」みたいなものを想像するひとも多いと思うんですけれど、そうではない芝居のやり方もありますし、逆に映画やテレビドラマでも、大きな芝居をする作品はあります。それから、舞台の劇中で映像を使ったりすることでも両者の融和は図ることができると思いますし、舞台原作の映画もたくさんあります。実際、「劇団PU-PU-JUICE」の舞台で行った『女子高』という作品は、来年にAKB48の峯岸みなみさん主演で映画化することも決定しています。舞台にしろ映画にしろ、本質的な部分は同じだというのが、僕の考え方なんです。

     
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