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TWICE『Candy Pop』リリース記念企画

TWICE「Candy Pop」アニメMV制作秘話を京極尚彦監督が語る 「彼女たちに“ないもの”をあえて表現した」

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 アジア発の9人組ガールズグループ、TWICEの最新シングル『Candy Pop』がリリースされた。この楽曲は、大切な人への気持ちを歌った、バレンタインの季節にぴったりのラブソングだ。そしてMVでは、『ラブライブ!』を筆頭にした人気アニメの監督として知られる京極尚彦監督と韓国の実写撮影チームが集結。アニメ表現と実写表現を巧みに融合させた映像の中で、TWICEメンバーがTVのスクリーンに映されたアニメの世界から現実へと飛び出して、落ち込んでいる女の子を励ましにいく様子が描かれている。日本を含むアジアの3つの国と地域から選抜されたTWICEというグループの成り立ち同様、各国のクリエイターによる魅力的なコラボレーションの場となった今回のMV制作について、京極尚彦監督に聞いた。(杉山 仁)

TWICE「Candy Pop」Music Video

「TWICEは“みんなに元気を与える存在”」

――「Candy Pop」のMVはTWICEチームから京極さんにオファーがあって実現したそうですが、京極さん自身も、実はMV監督になりたいと思っていた時期があったそうですね?

京極尚彦(以下、京極):そうですね。僕の世代は初めてデジタルで映像を編集できるようになった世代で、大学ではCGもやっていたので、学生時代は好きな音楽に自分で作った映像をつけて編集したりしていました。当時は宇多田ヒカルさんのMVを撮っていた紀里谷和明さんがいたりと、映像として新しいことをしていた人たちがMVの世界にたくさん集まっているイメージがあったんです。それに加えて僕自身もCGをやっていたことが、MVへの興味に結びついていたんだと思います。でも、もっとさかのぼれば小さい頃はマンガ家になりたいとも思っていて、そういうものが全部混ざって、最終的にアニメ業界に入った形でした。それもあって、今回MVのお話をいただいたときは嬉しかったですし、純粋に驚きました。最初は「僕でいいのかな」とも思っていましたね。とにかく「未知の世界だな」という感覚で、その時点では僕はTWICEのこともまだ知らなかったんですよ。そういう意味でも今回のお話をもらえたことは本当に嬉しかったです。色んなことを知るきっかけになったので。

――お話をもらって、まずは昨年2月に韓国でのライブを観に行ったそうですね。

京極:実際にライブを観させていただいて、僕が『ラブライブ!』で描いていたのと同じように、TWICEも「みんなに元気を与える存在」を体現しているグループなんだな、と感じました。最初は「自分が参加して何かできるんだろうか?」と若干不安もあったんですけど、そのライブを観て、自分の中でもイメージが湧いてきた感覚がありました。何かの縁だと思うんですが、『ラブライブ!』のμ’s(ミューズ)もちょうど9人なんですよね。『ラブライブ!』を監督していく中で、9人のバランスを考えるのがすごく難しかったんですが、TWICEはすでに9人それぞれに個性があって、お互いがお互いを引き立てあっているようにも感じられて、「ユニットとしてすごく魅力のある方たちだな」と思ったのを覚えていますね。

――そういえば、『ラブライブ!』のときはイベント登壇時に京極監督が「『何でこんなに人数が多いんだ……!』と思ったこともある」と話されていたと思います(笑)。

京極:言いましたね(笑)。というのも、仮に3~4分の曲があるとして、その中で9人平等に、ひとりひとりに見せ場を作ってあげる作業はとても大変なんですよ。サッカーや野球のように「ひとりも欠けちゃいけない」という映像を作るのが、なかなか難しい作業でした。でも、『ラブライブ!』でそれをやれた経験が、今回のMVにも活きたんだと思います。

――今回のMVのストーリーや大まかなアイデアは、韓国チームが用意したものですか?

京極:最初は曲もない状態だったので、徐々に全体像を作っていく形でした。ただ、ストーリーについて一番アイデアを出してくださったのはTWICEのプロデューサーのJ.Y. Parkさんですね。J.Y. Parkさんがある程度アイデアを出してくださって、それを受けて僕ら日本のアニメーションチームと、韓国の実写の撮影チームとで話をしていきました。そこからは、海の向こうの人たちとキャッチボールをする日々が続いたという感じです。たとえるなら、こっちでギターで何となくメロディを弾いて送ったものに対して、向こうが編曲をして返してくれて、それを聴いてみたら作った要素がなくなっていて新しいギターソロが入っていたりとか、そういうイメージです(笑)。でも、向こうのチームも僕と同い年だったので、使っているソフトがほぼ同じで、感覚もお互いに共有できるものが多かったので、そういう意味ではストレスも少なく作業させていただきました。「ここはもうちょっとこうしてみる?」と提案しようと思ったら、向こうのチームも「こうしてみない?」と提案してくれて、「それそれ!」となったりもして。それはやはり、これまで同じようにCGを触ってきたからだと思いますね。

――キャラクターデザインはどんな風に考えていったんでしょう? 

京極:『ラブライブ!』だと等身が高く、ぽっちゃりとしたリアルな感じにしていましたけど、TWICEの場合はまず、実際のメンバーがとても魅力的で、あの9人に何かが足りないからアニメ化するわけではないと思ったんです。そこで、彼女たちにないものをあえて表現して、観てくれる方に楽しんでもらおうと思いました。セクシーな要素や大人びていて綺麗な魅力はすでに本人たちが持っているので、日曜の朝にやっているアニメのようなキュートさや幼さを加えることで、TWICEのファンの人たちより小さな女の子に興味を持ってもらえるようなものにもしようと考えていたと思います。コラボレーションするからには、何か別の魅力を加えることが重要だと思ったので。

――MVは物理的に尺が短いこともあって、その中で9人のメンバーの個性を出していく作業には、かなり大変な部分もあったのではないかと想像しました。

京極:そうですね。今回はアニメーターの方も何十人もかかわってくれているんですが、実際にメンバーに会っているのは僕を含めて数人しかいなかったんですよ。それに会えば会うほど、それぞれのメンバーの性格や魅力が分かってきて印象が変わりますし、本人たちもどんどん髪型が変わっていくので、僕は変わるたびに「ワッ!」と思っていました(笑)。もちろん、それはメンバーやファンの方々にとってはいいことですが、アニメは情報をデフォルメしてシンプルにしていく作業なので、キャラクターの個性が「目」や「髪形」に依存するところが大きいんですよ。そういう意味では、実写とすり合わせるのは難しい作業でした。あと、アニメは「可愛い」「幼い」という風に記号化しやすいですけど、記号化し過ぎると型にはめてしまうことになるので、そうならないようにも気をつけました。たとえば、ツウィさんだと、すごく美人でパーフェクトな感じですが、その中にも素の雰囲気が感じられるように意識してみたりと、何とか重層的なものにできないかと考えていました。メンバーのみなさんと会う回数が増えるたびに「こんな一面があるんだ」と発見がありました。もちろん、今でも全部は分かりきれていないと思いますけどね。

――それぞれのメンバーのことを「分かりたい!」と考えていくような作業だったんですね。

京極:やっぱり、写真だと分からないこともありますし、「話してみたら意外と元気だな」とか、「逆にクールだな」とか、そういうものがすべてキャラクターの奥行きに繋がっていくんですよ。たとえばダンスパートで奥にモモさんがいて、手前にダヒョンさんがいる場面では、手前のダヒョンさんを元気に、奥のモモさんをちょっとセクシーな表情にすることで、「甘い/辛い」じゃないですが、奥/手前のコントラストで個性を出すよう工夫しました。

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