Winkはアイドルシーンでどんな存在だったか? 再結成報道を機に中森明夫氏に聞く

 8月末、一部メディアにて伝えられた「Winkがデビュー30周年を迎える来春に再結成するのでは」との報が世間を騒がせた。実現の可否や詳細など現時点では明らかになっていないものの、6月28日には元メンバーの相田翔子が大井競馬場を23年ぶりに訪れ、1994年に東京シティ競馬のCMに起用されたWink「トゥインクルトゥインクル」をセルフカバーしたことで話題に。翌日には『ノンストップ!』(フジテレビ系)にて、Wink復活を匂わせるコメントを残すなど、再結成への機運の高まりを感じさせる状況での出来事でもあった。今回の報を機に、アイドルシーンにおいてWinkがどのような存在であったのかを今一度振り返ってみたい。アイドル評論家の中森明夫氏に話を聞いた。

「70年代終盤以降、キャンディーズが解散、山口百恵が引退、ピンクレディーが解散と立て続けに人気アイドルが辞めていき、ブームにかげりが見えた『第一次アイドル冬の時代』と呼ばれる期間がありました。しかし、松田聖子の登場とブレイクでアイドルシーンが復活。小泉今日子や松本伊代、中森明菜など“82年組”のブームにつながります。さらに85年にはフジテレビの生放送番組『夕やけニャンニャン』からおニャン子クラブが登場し、80年代アイドルブームがピークを迎えました。おニャン子クラブは一世を風靡したものの、2年半で解散。そして俗に言う『第二次アイドル冬の時代』と呼ばれる期間が1988年から90年半ばにかけてやってくる。Winkはその1988年に結成し、1996年に活動休止したユニット。つまり、活動期間が冬の時代とドンピシャなんです。そして、1997年秋にテレビ番組『ASAYAN』から誕生したモーニング娘。で再びアイドルシーンが盛り上がることになる。年表的に言うと、1987年におニャン子が解散。1988年にWinkが結成しブレイク、1996年に活動停止を宣言。1997年にモー娘。結成。つまり、Winkは2つのアイドル全盛期の間を埋めた存在であるということなんですよね」

 Winkがアイドルブームの谷間とも言える期間に人気を獲得することができた大きな理由として、ドラマ主題歌でのブレイクがあると中森氏は続ける。

「昭和の終わりから90年代前半までがなぜ『アイドル冬の時代』だったかというと、おニャン子ブームが終わったと同時に、アイドルが出られる歌番組『夜のヒットスタジオ』『ザ・ベストテン』などがなくなっていったということがある。そういった状況でアイドルは生き抜くためにどうしたか。一つはWinkと同時代にデビューしたSMAPのように、バラエティで活躍する方向性を見出す。一方、Winkはトレンディドラマ全盛期、『愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜』がフジテレビ系のドラマ『追いかけたいの!』の主題歌に起用されてヒットしました。『夕やけニャンニャン』を終えて、『夜のヒットスタジオ』を終えて、ドラマ主題歌から人気アイドルが出てきたということです。『ラブ・ストーリーは突然に』がヒットした小田和正など、90年代前半にはフジテレビのトレンディドラマ主題歌からのメガヒットが続きますが、その先駆けとしてWinkが起用され、大ヒットしたことは彼女たちを語る上で大きなトピックと言えるでしょう」

 さらに中森氏は、「忘れられがちではあるが」と前置きをしつつ、Winkが平成で初めて日本レコード大賞をとった歌手であり、アイドルとしても数少ない受賞者であると語る。

「『淋しい熱帯魚』で日本レコード大賞を取ったことは大きい。それが1989年のことなので、Winkが平成初の受賞者なんです。全体の歴史でも大賞をとったアイドルグループやユニットはあまりおらず、昭和だとピンク・レディー『UFO』と光GENJI『パラダイス銀河』、平成に入ってからはWinkの後にはAKB48だけです。つまり女性グループでは、ピンクレディーとWinkとAKB48だけ。さらにWinkは『淋しい熱帯魚』で全日本有線放送大賞にもなりましたね。彼女たちの曲は圧倒的に街で流れていたし、アイドルファンを超えてヒットしていた印象です。つまり、アイドル冬の時代、Winkがほとんど一人勝ち状態で人気を得ていたという感があるかもしれません。彼女たちが解散した1996年はSPEEDが結成された年でもある。WinkはSPEEDやモー娘。が出てくるまでの女性アイドルシーンを繋いだ存在なんです。さらに、60年代のザ・ピーナッツ、70年代のピンクレディーと2人組のアイドルユニットは各年代に登場してきましたが、みんなが知っているオリジナルユニットでいうと、Winkが最後であると言えるのかもしれません」

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