VERBALが目指す、理想のパフォーマンス「“思い出作りマスター”がオーディエンスをロックできる」

VERBALが目指す“パフォーマンス”

 EXILE HIRO、DJ MAKIDAI、VERBAL(m-flo)、DJ DARUMAによるクリエイティヴ・ユニット“PKCZ®”が8月2日、1stフルアルバム『360°ChamberZ』をリリースした。デジタルシングル「PLAY THAT feat.登坂広臣,Crystal Kay,CRAZYBOY」のほか、「X-RAY feat 三代目J Soul Brothers」、GENERATIONSとのコラボ曲「ROAM AROUND」、EXILE THE SECONDとのコラボ曲「INTO THE CIRCLE」などを含む本作には、ニューヨークの伝説的なラッパーMETHOD MAN、世界的トラックメイカーAfrojackが参加。その他、国内外のシーンで活躍するラッパー、DJ、トラックメイカーなども加わった、まさに世界標準の作品に仕上がっている。

 PKCZ®連続インタビュー企画の3回目は、VERBAL。10代の頃から本場のヒップホップ・ムーブメントを体感し、その後、m-floのメンバーとしてメジャーシーンを席捲。現在はプロデューサー、ジュエリーブランドの運営など、多方面で才能を発揮している彼に、音楽的なルーツ、PKCZ®の展望、日本のシーンに対する思いなどについて語ってもらった。(森朋之)

「聴いてるうちに『僕だったら、こういうふうに書くな』って」

ーーVERBALさんは幼少の頃から日本とアメリカを行き来していたそうですが、やはりアメリカで体験したヒップホップのムーブメントが音楽の原体験なのでしょうか?

VERBAL:そうですね。小学校5年のときにボストンに行ったんですけど、キャンプに参加してみたら、同い年くらいの子がブレイクダンスをやってたり、ラジカセを担いで踊ってたり、ラップでやり合ったりしていて。ファッションもすごかったんですよ。僕はおかっぱ頭でポロシャツと短パンだったのに、まわりの子たちはナイキのトラックスーツで、金のチェーンをしていたり。髪型もキマってたし、宇宙人を見てるような感じでしたね(笑)。音楽だけじゃなくて、ダンスやファッションも含めて、そういうカルチャーが一気に入ってきて。それが1985年くらいかな。すごい昔の話です(笑)。

ーー当時はどんなアーティストが聴かれていたんですか?

VERBAL:まずはRUN DMCですね。ちょうど『Raising Hell』のアルバムが出た頃で、すごく流行っていて。あとはKool Moe Deeとか。m-floの「How You Like Me Now?」という曲があるんですけど、それはKool Moe Deeの「How Ya Like Me Now」をそのまま持ってきたんですよ。それくらい影響されてましたね。

ーー自分で音楽を始めたのはいつ頃ですか?

VERBAL:中学生くらいですね。90年代になってからN.W.A、De La Soulなどを聴いてたんですけど、そういうアーティストの歌詞の内容は、西海岸と東海岸のバトルとか、差別の問題、「黒人がアメリカで生きていくためには」といったものが多かったんです。それもすごく理解できたんですけど、聴いてるうちに「僕だったら、こういうふうに書くな」って思い始めて。曲を聴きながら自分で言葉を入れ替えたり、フロウを変えたりしているうちに、自分で歌詞を書くようになったんです。ラップもやってましたね。誰かに披露するわけではなくて、ただ趣味でやってただけですけど。

ーーどんな内容の歌詞を書いていたんですか?

VERBAL:両極端でしたね。ちょっと政治的というか「みんなでがんばってピース」みたいなよくわからない歌詞も書いていたし、もっとチャラい感じで「俺はベンツに乗っててモテモテで」という感じの空想の歌詞も書いていて。モテたいと思ってましたからね。「レイダースのキャップがほしい」と思って、渋谷のワールドスポーツプラザで注文したりとか(笑)。

ーー日本のヒップホップ・アーティストも聴いてました?

VERBAL:日本語のラップがあることすら知らなかったんですよ、その頃は。m-floのTaku Takahashiと知り合って、彼の家に行ったときにB-FRESHのアナログを見て「これ何? え、日本にもラップしている人いるんだ?」って初めて知ったくらいなので。あと、僕が通っていた高校にZeebraさんがちょっとだけ通っていたことがあって、そのときに彼が作っていたデモテープを聴いたことがあって。「日本にもこんなにカッコイイことやってる人がいるんだ!?」と思ったことは覚えてますね。ただ、まだまだヒップホップは浸透してなかったし、「ヒップホップが好き」って人に話すと「黒人ぶってる」みたいなことを言われてたましたから。「いや、音楽が好きなんだけど」って思っていたけど、あまり理解はされませんでしたね。

ーーなるほど。VERBALさんはどんなふうに音楽活動を始めたんですか?

VERBAL:きっかけはtakuですね。彼とは小学校の頃からの同級生なんですけど、かなり早い時期からシンセを使って音楽を作ってたんですよ。僕らは男子校だったんですけど、ときどき系列校の生徒と一緒にパーティをやっていて、そこでもtakuはターンテーブル2台でDJをやったりしていて。そこで「リリック書いてるんだったら、ラップしてくれない?」って言われて、飛び入りしたのが最初です。練習もしてないし、声のバランスもわかってなくて、その場のノリでラップして。初めて人前でラップしたのは、そのときが初めてですね。「これでモテるかな」って思ったんだけど、ポカーンとされちゃいました(笑)。

ーー(笑)。キーパーソンはやっぱりtakuさんなんですね。

VERBAL:そうですね。takuはその頃からアナログも集めてましたから。「何で同じレコードが2枚あるの? 1枚ちょうだいよ」「いや、そういうことじゃなくて……」「あ、そうなんだ。予備に買ってるわけじゃないんだね」みたいな話から始まって(笑)。当時はtakuもラップをやってたんです。「俺は日本のパフ・ダフィになる」なんて言っていて、「いいねえ」と思って一緒にやるようになって。それが後々、m-floになっていくんですけどね。当初はバンドだったんですよ。takuがDJ&ドラムで、他にギタリストとベーシストがいて。そういうつもりじゃなかったんですけど、デフォルトでミクスチャー・バンドっぽくなってましたね。

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