天才バンドが考える、“即興演奏”の醍醐味 「バンドはどうやって生きてきたのかを発表する場所」

天才バンドが考える、“即興演奏”の醍醐味

 天才バンドが6月21日に3rdアルバム『ロミオとジュリエット』をリリースする。あわせて、天才バンド初の試みとして、6月11日までの間、CAMPFIREにてクラウドファンディングを実施している。

 サイン入りCDとライブDVDのコース。その2枚にMC集が付いたコース。さらにそれに、同日リリースの、Sundayカミデのバンド、ワンダフルボーイズのニューアルバムが付いたコース。ツアー会場でメンバーと記念撮影ができるコース。Tシャツやプロマイドといったグッズが付くコース。はぶテシはることテシマコージと将棋で対決できるコース。ツアー会場で奇妙礼太郎が、あなたのためにオリジナル即興ソングを歌ってくれるコース。スポーツジムのインストラクターでもあるSundayカミデがトレーニングを指導してくれる「サンデートレーニング」を受けられるコースーー。

 下は6,000円から上は100万円まで、ちょっとどうかと思うほどさまざまなコースが設けられた、CAMPFIREの「天才バンド、3rdアルバムをあの番場秀一監督と、応援してくれる皆とで作りたい!」クラウドファンディングは大きな支持を集め、5月16日に目標金額300万円でスタートしたが、募集終了まで10日を残す6月2日の段階でそれを軽く上回る350万円以上に達している。

 ロックバンドというもののありかたを根本から問い直すような、生演奏というものの可能性を「即興の才能がダダ漏れしてる3人が集まる」という極端な形で実現するようなSundayカミデ・奇妙礼太郎・テシマコージの集合体、天才バンドの3人に、このたびのこのクラウドファンディングについて、新しいアルバム『ロミオとジュリエット』について、そもそものこのバンドのありかたや音楽の作り方の何が画期的なのかについて(本人たちはそれを話しているつもりはないが、こちらはそれを訊いているつもりです)、じっくり話していただいた。(兵庫慎司)

「みんなのやる気を集めたら、予算をオーバーしてた」(Sundayカミデ)

ーーまず、天才バンド以前にクラウドファンディングをやったことのある方はいます?

テシマコージ(以下、テシマ):やろうとはしましたけどね。

Sundayカミデ(以下、Sunday):え?

テシマ:2年ぐらい前に登録だけはしました、CAMPFIREに。チャレンジはしてないんですけど。

Sunday:動機は?

テシマ:いや、fugacity(テシマが参加しているバンド)でアルバム出したいけど、カネないから。

奇妙礼太郎(以下、奇妙):取調べみたいや(笑)。

ーー今回は、どういう経緯でやることを決められたんですか?

Sunday:マネージャーと一緒に決めたっていう感じですね。「予算、大幅に振り切っちゃってますけど、どうしましょうか?」っていう話から。ツアーでライブの映像を押さえようっていうところで、リキッドルーム(2月に同会場にて行われた『諸君!ロックの秘密文書をこのクソみたいな世界から奪取せよ!ツアー2017」ファイナル公演)で番場(秀一)監督のスタッフの人数をリハーサル中に数えてると、「いくね、これ」って(笑)。

奇妙:僕は全然気づいてなかったんですけど。

Sunday:監督も、地方はひとりでカメラ持って来たりしてたんですけど、リキッドはーー前からミュージックビデオも作ってもらってて、僕たちがどんなライブをするかはわかってくれているので。本気で押さえるんだったらこれぐらいのカメラが要る、っていうことだったと思うんですけど。カメラ10台くらい入ってましたね。みんなのやる気を集めたら、予算をオーバーしてたという。

奇妙:元気玉みたいな(笑)。

Sundayカミデ

Sunday:で、マネージャーが「クラウドファンディングっていう方法がひとつあるんですけど」っておそるおそる僕たちに訊いてみたのが、最初のきっかけだと思います。僕は、とにかく今のこの映像を出したかったので。お蔵入りがいちばんさみしいので。

奇妙:で、やるならなるべく楽しもうって、アイデアとか出して。だいぶ却下されましたけどね。

Sunday:リターンのアイデアがね。

奇妙:4000万円出したら一緒に宇宙旅行に行ける、とか。

Sunday:タイムスリップできるとかね。奇妙さん、いろいろ出してくれたんやけども。

奇妙:わりと長めのメールを送ったら、返事がひとこと「嘘は無理なんですよね」と(笑)。ジョークも入れたかったんですけど。

ーーでも、ジョーク以外にも、ほんとにいろんなコースを作っておられますよね。

Sunday:そこをすごくしっかりできたから、自信があるというか。「協力してくれてありがとう、感謝いっぱいです」っていうだけではなく、「どうですか?」って自信を持って言えるリターンにはなったと思います。「ああしよう、こうしよう」ってーーこういう時は奇妙くんが中心になって、おもしろアイデアを出して。テシマと将棋を指せるっていうのは、テシマが言い出したんやっけ?

テシマ:いや、勝手に決まってました。

Sunday:あ、そうや、グループメールで話し合ってたらテシマから返信が来なくて、あとで「すみません、寝てました」ってメールが来た時。寝てる間に考えたんや。「はぶテシはる誤段と対局できる」って。それもマネージャーは「羽生さんのお名前の権利もあるんで」って言ってましたけど(笑)。

ーーワンダフルボーイズのアルバムが付くコースがあるのにびっくりしたんですけど。

Sunday:あれは問答無用で、マネージャーが「付けていいすか?」「いいよ!」って(笑)。

奇妙:逆の考えもできますけどね。ワンダフルボーイズのアルバムに、こっちが付いてるような気もするし。

Sunday:まあ、音源自体は同じ日にリリースされるので。

ーーワンダフルボーイズのメンバーは?

Sunday:メンバーは、天才バンドがクラウドファンディングをやってるのを最近ようやく嗅ぎつけて、「あれ? 俺らのCD付いてる!」ってなってましたけどね(笑)。でもそれはいい方の「付いてる!」でした、楽屋で遠目で見てましたけど。

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