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Suchmosは音楽のバトンをどう繋ぐ? 好セールス作『THE KIDS』がシーンに残すもの

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 1月25日に2ndアルバム『THE KIDS』をリリースし、発売週のアルバム売上ランキングで2位(参考:http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-02-06/)という好セールスを記録したSuchmos。いくつもの音楽誌、カルチャー誌で表紙を飾り、代表曲「STAY TUNE」はホンダ「VEZEL」のテレビCMにも抜擢。3月より開催する全国ツアー『TOUR THE KIDS』全公演のチケットが即日ソールドアウトにつき、東京・新木場STUDIO COASTで2日間にわたる追加公演が行われる。2013年1月の結成からわずか4年、彼らがここまで受け入れられたのはなぜだろうか。本稿では、彼らの精神性の面からそれを紐解いていく。

 洗練されたサウンドばかりが話題に上り見逃されがちであるが、Suchmosの思想の根底にあるのは泥臭い「反骨精神」だ。それは歌詞に強く表れており、『THE KIDS』収録曲「TABACCO」での<慢心してんじゃない? グルーピーはもう居ない>や、「STAY TUNE」における<頭だけ良いやつ もう Good night 広くて浅いやつ もう Good night>などはその象徴的なラインだ。彼らを突き動かすのはあらゆるものに対しての怒り・憤りであり、それが楽曲に昇華されている。

Suchmos「STAY TUNE」

 これには、彼らが神奈川に基盤を置くバンドであることも関係している。メンバーの多くが住む横浜も、ボーカルのYONCEが住む茅ヶ崎も独自の音楽文化を擁する地域であり、レゲエ、ダブなどが盛んな茅ヶ崎で育ったYONCEは、そのレベルミュージック的な精神性を少なからず吸収してきたのだろう。何にも媚びず、既成の価値観に中指を立て続ける姿勢は、同世代のリスナーとも音楽を通じて共感し合えるポイントであると言える。

 音楽面でも精神面でも、Suchmosのロック要素を担っているのはYONCEである。彼の音楽的ルーツはNirvanaやOasis、The Beatles、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYなどといったロックバンドであり、これはブラックミュージックをルーツとする他のメンバーとは異なる点である。「おれはもともとロックが好きで、リアムやノエルのようにジャージを着るし、カートコバーンのようにボロボロのデニムを履く」(参考:http://www.cinra.net/interview/201507-suchmos)と、偉大なフロントマンであったギャラガー兄弟、カート・コバーンへのリスペクトも口にしており、彼らの影響の下、YONCEのフロントマンとしての美学は形成されたのだろう。「ボーカルって、歌ってないときもかっこよくないとダメなんですよ」「ボーカルがスターじゃない音楽は全般的に好きじゃない」(参考:同上)とはYONCEの発言である。そんな彼によって、Suchmosのマインドは形作られており、そういった意味で、Suchmosはロックバンドなのだ。

 また、彼らが音楽シーンだけに留まらず、ドライブインシアターの開催、Levi’s(R)とのコラボ、BEAMS『TOKYO CULTURE STORY』への出演など、様々なカルチャーとの接点を持っていることも見逃せない。彼らが表紙を飾った『SWITCH』では「2017年のユースカルチャーの旗手」としてSuchmosが取り上げられ、メンバーのインタビューとともに彼らを支えるクリエイターたちに焦点が当てられている。彼らがファッションに強いこだわりを持っていたり、MVやロゴ、ジャケットなどのビジュアル面においても、メンバーと感覚を共有できるアーティストが手掛けていることから窺えるように、彼らはあくまでも音楽をカルチャーの一つとして捉えており、映像、写真、ファッションなど様々な分野の表現者を巻き込みながら、カルチャー全体を盛り立てようとしている。

      

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