きゃりーぱみゅぱみゅ、Suchmos、平井堅ら出演 スペシャ主宰アワードに見る、音楽シーン充実の理由

スペシャ主宰音楽アワードへの期待

 昨年よりスペースシャワーTVが立ち上げたカルチャーの祭典『TOKYO MUSIC ODYSSEY』。“都市と音楽の未来”をテーマに掲げた同イベントは、3月3日〜7日にかけて渋谷を拠点に行われる。

 その『TOKYO MUSIC ODYSSEY』の中心を担うのが『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』だ。スペースシャワーTVの視点で音楽シーンを総括し、音楽カルチャーの分野で功績をあげたアーティストとクリエイターを表彰するアワードである。その受賞結果は、3月7日に東京国際フォーラム ホールAで開催される授賞式にて発表され、司会進行には、ユースケ・サンタマリアと清水富美加が名を連ねる。そして、ライブアクトとして、きゃりーぱみゅぱみゅ、クリープハイプ、Suchmos、高橋優、レキシ、平井堅の6組がパフォーマンスを披露。開催を目前に控えた今、ライブアクト出演者たちの2016年の活躍を改めて振り返ってみたい。

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 まずは、デビュー5周年を迎えたきゃりーぱみゅぱみゅ。初のベストアルバム発売、ワールドツアーなどこれまで以上に精力的な活動を見せた一年だった。5周年記念ソング曲「最&高」は、自身も出演するコカ・コーラのテレビCMソングとしてお茶の間に浸透し、デビュー曲「PONPONPON」から一切ブレないキャッチーな彼女の音楽像を示した。一方で、最新曲「原宿いやほい」の<あの交差点からはじまった>のフレーズでは、「PONPONPON」にもあった<交差点>というワードで原点回帰をイメージさせながら、海外のミュージックシーンで主流となりつつあるトロピカルハウスを取り入れ、最新型のきゃりーぱみゅぱみゅを提示している。

 前作より約1年半ぶりのアルバム『世界観』をリリースしたクリープハイプは、ボーカル・尾崎世界観の“文学”と“音楽”の才能がさらに多くの人々の注目を集めた。クリープハイプの楽曲の歌詞は、かねてから高く評価されていたが、2016年は初の小説『祐介』を発表。売れないバンドマンの生活を描いた半自伝的内容の同作は、自らの本名が題名となり、物語の主人公と尾崎世界観の姿には重なるものがあった。さらに、アルバム『世界観』のラストを飾る楽曲「バンド」には、バンドメンバー、そして自分自身と向き合った、尾崎の真っ直ぐな思いが綴られている。音楽やバンドを始めたスタート地点に立ち返り、そこからこれからの未来を見渡すような1年になったのではないだろうか。

 平井堅にとっての2016年は、前作より約5年ぶりとなるアルバム『THE STILL LIFE』のリリースが大きい。リードシングル曲となった「魔法って言っていいかな?」は、ペトロールズの長岡亮介を編曲に迎えシンプルなアコースティックギターのみで構成。一方、ピエール中野(凛として時雨)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)が参加した「驚異の凡才」は遊び心溢れる楽曲だ。ジャンルを超えた様々なミュージシャンが参加した同アルバムは平井の5年間の活動の軌跡を刻みながら、自分自身の新たな顔を見せ、次へのステップに挑戦した意欲作と言える。

 また、2016年から2017年にかけ、現在飛ぶ鳥を落とす勢いを見せているSuchmos。『FUJI ROCK FESTIVAL ’14』においての新人アーティストの登竜門「ROOKIE A GO-GO」への出演など、耳が早い音楽ファンから口コミで人気は広がっていき、2年後の同イベントではホワイトステージでパフォーマンス。そして今現在のブレイクの火付け役となったのは、代表曲「STAY TUNE」がホンダ「VEZEL」CMソングとしてお茶の間に浸透していったことが大きいだろう。さらに、2ndアルバム『THE KIDS』のリリースタイミングでは、『SWITCH』、『warp MAGAZINE JAPAN』、『Ollie』などクリエイター・ストリート向け雑誌の表紙を多く飾っている。Suchmosがユースカルチャーの先駆者から、J-POPシーンへと駆け上がる日は近い。

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