柴 那典の新譜キュレーション 第9回
The xx、The Japanese House、The fin......ロンドンと日本をつなぐ“夢想”の音楽
今月は「ドリームポップ新時代」というテーマで6曲を紹介します。
と言っても、本当はこういう言葉でくくってしまっていいのかどうか、実はよくわからないのだけれど。ともかく、シンセやエレクトロニックな音色を効果的に、浮遊感とメランコリックなテイストを描いているアーティスト、寒くなってきた今の季節にすごく心に染みるようなサウンドを鳴らしている人たちの曲を集めました。
つまりは、今、一番新しい形で「夢想」を鳴らしている人たち。その点と点をつないでいったら、日本とロンドンを結ぶ線が見えてきたーーそんな記事です。
The xx「On Hold」(ロンドン)
まずは新作『I See You』を1月13日にリリースするジ・エックス・エックス。4年半前にリリースされた前作『コエグジスト』が全英1位、全米5位を獲得し、今のシーンをリードする存在になったグループだ。
新作からのリード曲がこの「On Hold」。新境地だと思う。これまでの楽曲に比べても格段に解放感と広がりを感じる。先日の来日公演に行けなかったのはめちゃ残念だったのだけれど、ライブの評判もすごくよかったみたい。新作、とても楽しみです。
雨のパレード「stage」(東京)
そして、2016年3月にアルバム『New generation』でメジャーデビューを果たした雨のパレード。アルバムもすごくよかったのだけど、その後にリリースした「You」という曲には感銘を受けた。きっと、今、バンドとしてどんどん覚醒を果たしているタイミングなのだと思う。さらにそれを実感したのが12月21日にリリースされる新曲「stage」。サウンドの進化と共に、歌うべきこと、伝えたいものに対しての“覚悟”のようなものが生まれているように思う。『NIGHT FISHING』の頃のサカナクションに近い感じもする。
The Japanese House「Swim Against the Tide」(ロンドン)
ザ・ジャパニーズ・ハウスとは、ロンドン在住の21歳の女性アーティスト、アンバー・ベインによるソロプロジェクト。まだデビューアルバムも届いてないくらいのニューカマーだけど、かなりのセンスと才能の持ち主だと思う。とにかくこの「Swim Against the Tide」がいい。繊細に切り刻まれた電子音と幾重にも積み重なるコーラスが、どことなく荘厳な感覚を呼び覚ます。
デビューEPのプロデュースをThe 1975のメンバーが行ったことでも知られる彼女。来年にはThe 1975のツアーに同行するらしい。「BBC Sound Of 2017」の候補にも選ばれている。さらに言えばモデル並みの美女でもある。
来年、人気をどんどん拡大していくような気がする。