フォーリミ、ビーバー、妄キャリ、直太朗、櫻子…6月1日発売新譜から注目作をピックアップ

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する新連載「本日、フラゲ日!」。6月1日リリースからは、04 Limited Sazabys、SUPER BEAVER、妄想キャリブレーション、森山直太朗、大原櫻子の作品をピックアップ。ライターの森朋之氏が、各アーティストの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)

04 Limited Sazabys『AIM』(SG)

 今年4月に念願だった地元・愛知での野外フェス『YON FES 2016』を開催(クリープハイプ、WANIMA、KEYTALK、キュウソネコカミ、BLUE ENCOUNT、SUPER BEAVERなどを招き、2日間で2万人を動員)、バンドシーンにおける知名度と影響力の高さを改めて示したフォーリミ。メジャー2ndシングル『AIMからも現在の彼らの勢いがリアルに伝わってくる。印象的なのは、収録された4曲それぞれの“狙い(AIM)”がはっきりしていること。メロコア直系の高速2ビートとポップなメロディという自らの武器を強調した「climb」、陰のあるメロディラインとともに別れに伴う喪失感を描いた「fog」、めまぐるしく展開する楽曲構成のなかでメンバー個々のプレイヤビリティの高さが感じられる「cubic」、穏やかな幸せが伝わってくるウェディングソング「Give me」。自分たちの出自(メロコアシーンからスタート)、現在置かれている場所(本格的ブレイクのチャンス)、これからの展望(ロックシーンを超え、メインストリームへ進出)を過不足なく伝える、本当にバランスの取れたシングルだと思う。メインソングライターにしてフロントマンのGENは本当にクレバーでしたたかだ。

04 Limited Sazabys「climb」

SUPER BEAVER『27』(AL)

 “みんなで声を合わせて歌い、踊る”というフォーマットが主流になって久しいバンドシーンにおいて、あくまでも“1対1”のコミュニケーションを追求してきたSUPER BEAVER。彼らのライブ動員が上がり続けているのは(今年春のツアーでZepp DiverCity TOKYO公演をソールドアウトさせた)、安易なトレンドには乗らず、しっかりと自分たちのスタイルを貫いているからだと思うが、その姿勢はニューアルバム『27』にも強く反映されている。“僕らは大人になったんだ”という宣言(「27」)から始まる本作で彼らは“自分が好きなもの、正しいと思うことを貫き、人としてカッコよく生きよう”ということだけを何度も何度も主張している。それがまったく鬱陶しくないのは、その生き方を彼ら自身が体現していること、そして、そのことをオーディエンスのひとりひとりに本気で伝えようとしているからだろう。1対1の関係性を強く結びながら、そのまま大きなムーブメントへとつなげていくーー『27』が目指すところは、バンドシーンの在り方に大きな風穴を開ける可能性を持っている。

SUPER BEAVER「秘密」

妄想キャリブレーション『ちちんぷいぷい♪』(SG)

 秋葉原ディアステージでデビュー、アニメ、アイドル、コスプレなどに精通するメンバーが揃う、でんぱ組.incの妹分的グループ「妄想キャリブレーション」による1stメジャーシングル。和テイストのメロディとスカビートが共存する「幻想恋花火」、トランス的シンセとギターロックが絡み合うサウンドが印象的な「悲しみキャリブレーション」など、これまでにも音楽的なトライアルを重ねてきた“妄キャリ”だが、メジャー進出第1弾となる「ちちんぷいぷい♪」はバッキバキのエレクトロ・サウンドと超キュートなアイドルポップを見事に融合させたナンバーに仕上がっている。作曲・編曲はDJ’TEKINA//SOMETHING(ボカロPとして活動を開始、アイドル、ボカロ、EDMなど幅広いジャンルで活躍する“ゆよゆっぺ”の別名義)。BABYMETAL、バンドじゃないもん!などの楽曲を手がける彼の鋭利なクリエイティビティと“妄キャリ”メンバーの濃密なキャラクターが合致した本作は、特異な進化を続けているアイドル文化の新たな到達点と言えるだろう。夏祭りを舞台にした胸キュン恋愛を妄想交じりで描いたリリックも秀逸。

妄想キャリブレーション「ちちんぷいぷい♪」Short Ver.

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