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アルバム『風の果てまで』リリースインタビュー

斉藤和義が語る、表舞台に立ち続ける理由 「ビートルズやストーンズが好きだから、売れてなきゃいけないって思う」

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斉藤和義
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ROCK
シンガーソングライター
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 斉藤和義が、10月28日にアルバム『風の果てまで』をリリースする。2年ぶりのアルバムとなる同作は、自身初となるロサンゼルスレコーディング作。盟友でもあるドラマー、チャーリー・ドレイトンを中心に、ローリング・ストーンズのサポートベーシスト、ダリル・ジョーンズ、ビースティ・ボーイズやジャック・ジョンソンのサポート等で活躍するキーボーディスト、マニー・マーク、LAを拠点に活動するMY HAWAIIの鹿野洋平といったミュージシャンたちが参加し、ダイナミックな音像と歌心が同居した快作に仕上がっている。リアルサウンドでは今回、同作について斉藤和義本人を直撃。聞き手にはライター・石井恵梨子氏を迎え、アルバム制作時の出来事や海外レコーディングで生まれた楽曲の手ごたえ、表舞台に立ち続ける自身の活動論などについて、じっくりと話を訊いた。

「ロックンロールの“ロール”には、スイートスポットがある」

――ここ数年はMANNISH BOYSでも活動が続いていますが、斉藤和義作品へのフィードバックって、何かありますか。

斉藤和義(以下:斉藤):具体的に何ってわけじゃないけど、あると思いますよ。MANNISH BOYSの曲作りは二人の即興ジャム・セッションでやることが多いんです。バーッとスタジオで演奏しながら録音して、その中から「ここ良かったね」とか「これ曲にしよう」とか。そういうジャム・セッションは昔から好きだし、それで曲を作ることもあったけど、ここ数年はMANNISH BOYSで全部やれてますからね。まぁそれをやりたくて始めたようなバンドだし。だから、むしろ斉藤のほうはジャム・セッションじゃない、歌ものを作るっていう感じに、より、なっている気はしますかね。

――今回は確かにそうですね。歌がしっかり聴こえる作りというのは、青写真としてあったことですか。

斉藤:いや、そうでもないんですけど。ただ今回はロスで、チャーリー・ドレイトンとやることが決まってて。今までだいたいはゼロの状態でスタジオに入ってたんです。まぁちょっとだけモチーフがある場合もあるけど、スタジオに入ってからそれをまとめてそのまま録っていくパターンが多かったんですよ。でも今回は先にチャーリーに「こんな感じのを録るよ」っていうのを渡さなきゃいけなかったんで、先に曲を作って久々にデモテープを録ったんですね。ほんと久々……デビューした1、2枚目以来ですかね。原型でいえば30~40曲くらい作って、その中で、これがチャーリーとやったら面白いなっていうものを18曲くらい送ってみて。その中でまとまっていったのがアルバムになった感じですかね。

――チャーリー・ドレイトンとは昨年も一緒にツアーしていますけど、彼のドラムは、和義さんに何を与えてくれるんでしょうか。

斉藤:あの、ドラムには“前ノリ”と“後ノリ”と、あとは“ジャスト”、大まかにいうと3パターンあるんですよね。でもロックンロールの“ロール”っていう部分に関していうと、前も後もジャストも関係なく、いわゆるスイートスポットっていうものがあって、そこさえ外さなければ、どんどんロールしていける。そういうポイントがあると思うんです。日本人でももちろんドラムが上手い人はいるけど、それができてる人はあんまりいないんですね。で、チャーリーのドラムはそれを肌で感じるんです。相性がいいっていうのもあるけど、演奏してても歌ってても、もう延々、気持ち良さがずっと続くんですね。

――スイートスポット……。素人には理解しにくいですけど、演奏すれば如実にわかるんですかね。

斉藤:そうですね。絶対に曲がグルーヴするポイントっていうかね。もちろんドラムだけじゃなくバンドが合わさってのことですけど、チャーリーはそのポイントを絶対に外さない人ですね。だから、とにかくやってて心地いい。あの人はマルチプレイヤーでベースもギターも歌も自分でやれる人なんで、ドラムだけをやっているドラマーとは違うグルーヴになるんですね。やりながら一緒にアレンジもできるし、ドラム自体が歌ってる感じだから、少ない楽器でも成立できるとか。そういう人を作品を通じて紹介できる嬉しさっていうのも自分にはありますし。

――ちなみに、完成したものをチャーリーはなんて言ってましたか。

斉藤:えーとね、「ストロングだ」って言ってました(笑)。LINEでそんなのが来てましたね。

――力強いロックンロールもあり、せつないメロディも際立っていて。ディープに聴けるんだけど、ただ、歌ものとしても非常にポップで聴きやすい。そこはずっと一貫してますよね。

斉藤:そうですね。もちろん似たような手癖の曲ばっかになるのは嫌だけど、最近は手癖上等っていう気分もあって。そんなにマニアックなものは血にないし、わかりづらいものをやりたい願望もないし。

――ただ、わかりやすきゃOKだっていう作り方ではないですよね。

斉藤:そこが自分ではよくわからないんですよね。もろちん自分なりのこだわりはあるけど、「ここはこんなに苦労したんだ」とか言っても仕方ないことで(笑)。わかりやすいと思って出したものが「あれ、そんなに届いてないっぽいぞ?」と思ったり「これはけっこう冒険してるんだけど……」っていうものが届いたりもするし。だから、何がわかりやすいのか、どうすれば届くのかっていうのは、結局よくわからないですね(笑)。

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