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市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第22回

急逝したクリス・スクワイア、イエスを支えた“大人ぶり”とは? 市川哲史が取材エピソードを回想

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 握手会に総選挙にハイタッチ会にミュージックカードに公演チケット。

 AKB48グループにせよK-POPにせよEXILEにせよ各種アイドルにせよ、昨今の音楽市場は本日も〈CD同一タイトル複数買い〉地獄に、ユーザーを誘い続ける。

 ま、それを承知で各自積極的に乗っちゃってるのだから、自己責任の範疇の話だ。

 しかしマグロですら漁獲高が制限されつつある現代において、CDなどのパッケージ・メディア――いわゆる〈フィジカル〉にお金を遣ってくれる特定の人々を、次から次へと酷使し過ぎではないのか。いくら気前よく払ってくれても、ぼったくりが過ぎるとある日突然動かなくなってしまう。貴重な資源を乱獲してはならない。

 と対岸の火事を客観的に眺める我々エルダー洋楽リスナー群も、実はいつの間にか尻が炎上していたりする。

 世界初CD化にボーナストラック追加に紙ジャケ化に初販時帯復元に、K2HDマスタリングやらBlu-specやらSHMやらプラチナSHMやらの高音質CD、そしてハイレゾ。

 我々は我々で、洋楽ロックの旧譜がその仕様を変えて再リリースされる度に、魅入られたかのように何度も何度も購入する羽目に陥ってるのだ。

 例えばツェッペリンを愛する友人は、1975年2月発表の名盤『フィジカル・グラフィティ』をとうとう計8アイテムも所有しちゃっている。

①1975年発売のLP。
②1980年代発売のCD。
③1990年発売の4CD『リマスターBOX』。
④1993年発売の9CD『コンプリート・スタジオ・レコーディングス』&その分売。
⑤1997年発売の初回紙ジャケCD。
⑥2003年発売の改良紙ジャケCD。
⑦2008年発売のほぼ完璧紙ジャケCD(+初回帯再現)。
⑧2015年発売の3CD+3LP『スーパー・デラックス・エディション』。

 どうだまいったか。と勝ち誇ってもなんか哀しいぞ。

 中でも最近特に目立つ乱獲は、《スーパー・デラックス・エディション》的な呼称で高額リリースされる、歴史的名盤の大増量アイテム――要するに⑧のパターンだ。

 とにかくお馴染みの名盤のデラックス化が絶賛進行中である。

 ジャケットのアートワークを圧倒的なヴォリュームで再現した、豪華な装丁の箱や書籍並みのブックレット。発表当時のオリジナルアルバム未収録曲や制作途中の別テイクを集めたボーナスCDや、未発表ライブCD。資料映像や別マスタリング音源を収録したDVDやBlu-ray。そしてCDと同内容のLPレコードにシングルレコードまで合体したパターンも、もはや珍しくない。

 に加えて、シリーズ化されたポール・マッカートニーやレッド・ツェッペリンなんか、ハイレゾ音源をダウンロードできるカードまで同梱されている。音質に重きを置かない身にとっては、なんともありがた迷惑な標準装備ではないか。

 しかも価格帯は1万~2万円台だし、デラックス化祭りがこのまま続くと、さすがの〈大人買い〉族も息絶える日は近い。さよなら。

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