>  > 山崎まさよしの音楽はなぜ心を揺さぶる?

樋口靖幸(音楽と人)×柴 那典

山崎まさよしの曲はなぜリスナーの心を揺さぶるのか 音楽ジャーナリスト2氏が語り合う

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 デビュー20周年を迎える山崎まさよしが、2015年の第1弾作品として『HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~』を4月22日にリリースした。同作は、2014年4月に東京・かつしかシンフォニーヒルズにて行われたアコースティックスペシャルライブ「SEED FOLKS Special」を収録したライブ音源で、山崎自身のギター/ピアノの弾き語りと、弦楽四重奏のみによるシンプルな編成が特徴。「One more time, One more chance」や「僕はここにいる」といった楽曲の新たな魅力を引き出している。そこで今回は、山崎まさよしを98年より取材する『音楽と人』編集者の樋口靖幸氏と、学生時代よりその楽曲に親しんできた音楽ジャーナリストの柴 那典氏を招き、彼のキャリアを振り返りつつ、その人柄や深い音楽性について、じっくりと語り合ってもらった。(編集部)

樋口「思いっきりブルースに振った『SHEEP』は印象的だった」

樋口:山崎まさよしさんは、97年の「One more time, One more chance」や、98年に彼が出演した『奇跡の人』というドラマの主題歌「僕はここにいる」といった作品がよく知られていて、広く愛されるヒットチューンを作っているイメージが強いですが、実は日本人離れしたギターテクニックと奥深い音楽性をかね揃えたミュージシャンでもあります。僕が出会った98年頃は、彼はドラマをやりながら『ド ミ ノ』というアルバムを作っていて、とにかく忙しい時期でした。だから取材のときは気難しかった印象ですね(笑)。その後、彼はNHKの『山崎まさよし ミシシッピを行く~ブルースの伝説を訪ねて』というドキュメンタリー番組でハービー・山口さんと一緒にアメリカへ行き、ハニーボーイ・エドワーズやR.L.バーンサイドといったブルースマンとセッションするんです。そこで彼は自分の音楽のルーツを確かめて、次のアルバム『SHEEP』では思いっきりブルースに振りました。その前の『ド ミ ノ』は、ドラマ主題歌があって「One more time, One more chance」もあって……と、ヒットチューンが並んだアルバムだったけれど、対する『SHEEP』はジャケットもハービー・山口さんが手がけたモノクロ写真で、演奏もスライドギターが目立つものでした。そのギャップはすごく印象的でしたね。

柴:一昨年に僕がインタビューした時には、山崎さんは当時のことを、それまでのドラマなどの活動に対する反動から、音楽的な造詣の深さを見せつけてやろうという気概があったと言っていました。

樋口:ドラマとそれに関連する作品が、彼の認知度を上げたのは間違いないでしょう。だけど本人は、あくまでも市井の人でありたいタイプで、スター扱いされるのをすごく嫌う。だから当時は、相当ストレスがあったんじゃないかな。その反動として、マイペースに音楽をやりたいという気持ちが募って、『アトリエ』のようなセルフプロデュース作品に繋がっていったと思います。

柴:デビュー時から『ONE KNIGHT STAND』と銘打った弾き語りのツアーを行ってきたことも大きかったんじゃないでしょうか。特に『SHEEP』を経ての99年から00年にかけてのツアーでは、たった一人で武道館のステージに立っている。その経験も、彼の方向性をさらに推し進めていったように思います。そして、その頃からだんだん寡作になっていきました。

樋口:00年頃は曲が書けなかったというより、90年代の反動で、主体的に音楽をやりたいと意識した結果として、寡作になったんじゃないかと思います。

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