きゃりーぱみゅぱみゅと小泉今日子の歌詞の共通点とは? 作詞家・zoppがヒット曲を読み解く

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 修二と彰「青春アミーゴ」や、山下智久「抱いてセニョリータ」など、数々のヒット曲を手掛ける作詞家・zopp。彼は作詞家やコトバライター、小説家として活躍しながら、自ら『作詞クラブ』を主宰し、未来のヒットメイカーを育成している。今回からスタートする連載では、ヒット曲を作詞家目線で切り取り、歌詞の面白さやポップな表現に隠れたテクニックなどを徹底分析してもらう。

zoppのプロフィールなどが分かるインタビューはこちら

きゃりーが現世に焦点を当てた言葉を歌う面白さ

――今回zoppさんが題材に挙げたのは、きゃりーぱみゅぱみゅの「もんだいガール」。なぜこの曲を選ばれたのでしょうか。

zopp:「もんだいガール」は、ドラマ『問題のあるレストラン』の主題歌として起用されていますが、歌詞が「問題」つながりで、ドラマに登場する人々やきゃりーさん自身と重ね合せられることができるというインパクトの大きさが第一にあります。ドラマに出てくる人はいい意味でも悪い意味でもみんな問題があるし、きゃりーさんに関しては、最近はプライベートも取り沙汰されているので、それに対して「私はこうやって生きてるんですよ」ということをテーマに歌った曲と受け取れる。ただ、ここで面白いのが、プロデューサーである中田ヤスタカさんが歌詞や曲を一貫して書いていること。シンガーソングライターなら自分の思いを落とし込んでそのまま表現できますが、中田さんというフィルターを通していることで、「きゃりーが中田さんに伝えて書いた歌詞」という設定があったとしても、どこまでが彼女の本心で、どこまでが中田さんの主観なのかが分からないという濁した感じが魅力的です。

――フィクションとノンフィクションが良い意味で混在しているということですね。彼女はこれまで「もんだいガール」のような路線ではなく、ファンタジーなポップスを展開しています。

zopp:先日、代々木体育館で行われた『musicるTV』のイベントにきゃりーさんが登場したんですが、MCで「これまでの歌詞はメランコリックとかおとぎ話のようなテイストが強かったけど、今回はメッセージ性のあるものなんですよ」と言っていて、本人もこれまでと違ったモードとして発信しているという雰囲気を感じさせました。きゃりーさんは、昔の小倉優子さんの“こりん星”に近い設定がクリエイティブの要所にあり、しっかりと世界観を作って成功例を積み重ねてきたので、そんな彼女が現世に焦点を当てた言葉を歌っているのもまた面白いですよね。

――印象的なフレーズや、表現技法として特に注目した部分はありますか。

zopp:まずは<できないことへの憧れを 造り変えてく勇気もなく 足をひっぱるのには夢中 なんてもったいないやないやい>という部分です。社会やメディアへのメッセージをファジーにせず、あえてストレートに言わせたのは面白いなと。テクニカルな部分だと、<もんだいガール>と<問題がある>という、二つの言葉の意味がある言葉、同音異義語の使い方です。「雨」と「飴」のように、字が違えば、まったく違うものになる。中田さんが良く使うテクニックです。

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