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宇野維正のチャート一刀両断!

E-girls、最新アルバムがチャート1位に 「元日リリース」が持つ戦略性とは?

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宇野維正
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参考:2014年12月29日~2015年1月4日のCDアルバム週間ランキング(2015年1月12日付)(ORICON STYLE)

 2015年最初のアルバムチャートを制したのは、1月1日発売のE-girls『E.G.TIME』。正直、昨年夏に「おどるポンポコリン」のカバーをシングルでリリースした時は「ちょっと迷走してるのかなぁ」と思ったものですが(結果的にそのシングルは初登場5位と、E-girlsの近年のシングルでは最も低い順位に終わりました)、アルバムではデビューアルバムから3作連続1位と、しっかりと結果を出してきました。作品の内容は、中田ヤスタカ・プロデュース曲から山口百恵のカバーまで、曲ごとの振れ幅が非常に大きな仕上がり。最近の日本のポップスのメインストリームにおいては、特に女性シンガー/グループの場合、アルバム単位では音楽的に統一感のある作品が主流となってますが、そんな時流に逆らうような全方位的なごった煮感がきっと彼女たちの良さなんでしょうね。

 ところで、たまたま昨年も年始一発目のタイミングでアルバムチャートのコラムを書いたのですが、その時の1位は2014年のやはり1月1日発売の三代目J Soul Brothersのアルバム。で、そのコラムでも触れたようにその前年の年始初週の1位も2013年1月1日発売の三代目J Soul Brothersのアルバム。でもって、2012年の年始初週の1位は2012年1月1日発売のEXILEのアルバム。つまり、これで2012年から4年連続でLDH関連のグループが元日発売のアルバムで1位を獲っているということになります。

 この日本の物流業界の常識を無視した元日リリースという手段。一体そのルーツはどこにあるかと言えば、(自分が鮮明に記憶をしている限りでは)同じエイベックスの浜崎あゆみのデビューアルバム『A Song for xx』がリリースされた16年前の1999年1月1日に行き当たります。握手権&複数枚商法が当たり前となった「AKB48以降」の今となっては忘れられがちですが、浜崎あゆみは90年代末〜00年代初頭にかけてチャート戦略において様々な先駆的方法を成功させてきたアーティスト。この『A Song for xx』が画期的だったのは、「元日リリース」をイベント化して、それに向けてとんでもない物量のプロモーションをテレビ、ラジオ、街の看板で仕掛けて、それまでシングルを出してもトップ10ギリギリに入るのがやっとだった(デビューアルバムまでにシングルを5枚も出してました)浜崎あゆみに初の1位をもたらしたことです。それ以降10年近く続いた「浜崎あゆみブーム」の発火点は、まさに1999年の元日だったのです。

 当時のプロモーションにおいて今も語り草になっているのは、1998年12月28日深夜に放送されたオールナイトニッポン特別番組「浜崎あゆみはバカじゃない」のこと。その放送前にはニッポン放送内のCMだけでなく、街の看板などのいたるところでその刺激的なコピーが躍り、番組の翌日には『A Song for xx』が飛ぶように売れたという、CDバブル&AMラジオにまだ強い影響力があった時代ならではの今にしてみれば夢のような話。興味深いのは、そのコピーを作り、宣伝キャンペーン全体のプロデュースをしていたのが、後に「AKB48時代」を築くことになる秋元康だったということ。90年代後半にはあまりヒットに恵まれなかった印象もある秋元康ですが、その当時もいろんな局面で暗躍していたというわけです。この『A Song for xx』は浜崎あゆみ/エイベックスにとって大きな成功体験として刻まれて、その後も『I am…』(2002年)、『(miss)understood』(2006年)、『GUILTY』(2008年)と、ここぞの時には伝家の宝刀のように元日のアルバムリリースを仕掛けるようになりました。

     
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