嵐『THE DIGITALIAN』を青井サンマが全曲レビュー「もう今日から私達はアラシアンです!」

 愛に溢れつつも時に辛口な、熱心なファンならではの語り口で嵐を評したTogetterのまとめ「嵐の聴き方」が話題となり、2013年10月には『嵐ヲタ絶好調超!!!!』を刊行した青井サンマ氏が、約1年ぶりとなる嵐の新アルバム『THE DIGITALIAN』を全曲レビュー。

 発売初日に約33.7万枚を売り上げ、嵐にとって過去最高の初日売り上げ記録を達成した同作には、どんな聴きどころがあるのか。“嵐ヲタ”ならではの視点から、各楽曲の魅力や聴き所を解説してもらった。(編集部)

『THE DIGITALIAN』全曲レビュー

 嵐のニューアルバム『THE DIGITALIAN』が10月22日にリリースされました! デジタリアンというタイトルに小室世代が反応するもそこは無関係とのこと。命名者の櫻井くんいわくエイリアンを基にデジタル人間、ベジタリアンを基にデジタル主義者的な意味の造語だそうです。そして初回限定盤のジャケットはアルチンボルドのような野菜人間をデジタル処理したもの。アルバムコンセプトが見えてこないと不安になったのは私だけでしょうか……。

 とにかく聴いてみなきゃわからないということで、全曲レビュー行きます!

01「Zero-G」

 アルバムのリードナンバー。初回限定盤に付属するMVのコンセプトは「デジタルとヒューマンの融合」だそうで、CADで引いたような線画的なインテリアの中で嵐メンバーがあやとりで体のパーツを作ります。ヒューマンな部分を担わされたあやとりの重責を労いたいところですね。作るパーツは、櫻井:口、松本:目、相葉:手、大野:脳、二宮:心臓(ハート)で、それぞれのキャラに合わせたところがニクイです。

 この曲の振付は大野くんが担当。ファンもコンサートで踊ってとのことでしたが、会場の5万人を超すファンが「shake your body」の歌詞に合わせて腰を前後左右にぐいぐい動かすのを想像すると……冗談ですよね……。

02「Wonderful」

 こういうのをリキッドファンクというのでしょうか(自信ありません)。これまで嵐がアルバム曲で続けてきた大人曲路線を今っぽくアレンジしたかっこいい曲です。しかし今っぽさを意識しすぎたのか、サビがファレル・ウィリアムスの「ハッピー」に似すぎていませんか……?
歌詞は1曲めのZero-Gに続き「今夜は別世界に行こうよ」的なもの。大人ですね。

03「Tell me why」

 別れた未練を歌うバラード。歌詞が反省モードながら自分に酔ってる感満載で、「“why”じゃねーよ1曲め2曲めでチャラいことしてるからフラれたんだよ!」とツッコみながら聴くと楽しいです。デジタル処理された現代の歌謡曲とでも呼べばいいのかなとぼんやり聴いていると、唐突にサクラップが入りこんでくるので油断できません。ドスの効いた声で「please back again!」と凄まれる恐怖。

04「Asterisk」

 サカナクションやPerfumeを想起させる攻めの1曲。宇宙関連のワードを散りばめて近未来感を醸しています。ボーカル全体にエフェクトをかけているのですが、それに負けない櫻井・相葉・松本の個性の強い声がいい味わいになっていますね。疾走感のあるアレンジに高速サクラップが心地よく、嵐ファンではない方にも自信を持ってオススメできる曲だと思います!

05「Imaging Crazy」

 大野くんのソロ曲。音域が広くコーラスも全て大野くんが担当しているため色々な声がきけます。歌うのが難しそうな曲なのに完成度が高いのはいつものことですが、それ故にやや苦しそうな低音パートが気になるところ。

 詞は大人の片想いを歌ってるのかなと思いますが、タイトルどおりちょっとイッちゃってる感がありストーカーの気配も漂います。

06「GUTS!」

 高校野球ドラマの主題歌だったシングル曲。アルバム曲と並べるとやはりどっしりとした存在感がありますね。転調の多い凝ったメロディですが、応援歌というテーマならもっと素直な明るい曲調でもよかったような気がします。 嵐が自身を鼓舞する曲と捉えれば、物悲しさが漂うのも30代のリアリティというところなのかも。

07「Disco Star」

 相葉くんのソロ曲。今回のアルバム曲は雑にくくれば「宇宙まで走るぜ」「朝まで踊(ヤ)らない?」「離れたところから君を想うよ」というテーマに分けられると思うのですが、この曲は「朝まで〜」組です。ただ、歌詞のテーマはそこにあるものの、曲自体はコンサートで観客と盛り上がることを目指したように思えます。会場全体がアゲアゲで楽しくなりそう!しかし歌詞がやはりチャラいですね(いいぞもっとやれ)。

 相葉ソロ曲はなぜいつもキーが高いのでしょう。相葉くんの無理のない低音もじっくり聞きたいです。味のあるとてもいい声ですし。

08「誰も知らない」

 死神ドラマの主題歌だったシングル曲。8曲目にしてやっと日本語のタイトルがきました。生と死に向き合う歌詞と厚みのあるストリングスアレンジで大げさなほどドラマティック。「truth」から続くシリアス路線の集大成とも言える曲ですし、そりゃアルバムの真ん中にどーんと置くしかないですよね。正座して聴きましょう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる