ゆるめるモ!プロデューサー田家大知が明かすアイドル運営術「すごい表現方法だと感じている」

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ニューウェーヴを軸とした音楽性に定評があるゆるめるモ!

 8人組“ニューウェーヴアイドルグループ”のゆるめるモ!は、音楽ライターの田家大知氏が、プロデュース経験もなにもないまま立ち上げ、しかし着実にその知名度を伸ばしているというアイドル界でも異端の存在。今回リアルサウンドでは、大坪ケムタ氏との共著『ゼロからでも始められるアイドル運営』も執筆している田家氏にインタビューを実施。訊き手に音楽評論家の宗像明将氏を迎え、ゆるめるモ!結成の経緯や彼のプロデューサーとしての人間性、そして今後の展望に迫った。(編集部)

 ゆるめるモ!は8人組のアイドルグループだが、同時に「アイドル」の枠内に置いておくにはどこか異物感がある、そんなグループだ。アイドル性の部分は、「個性豊か」と片づけるにはあまりにもバラバラなメンバーのキャラクターにあるのは間違いない。一方で「異物感」のほうは音楽性のカオスさにあるだろうし、それをメンバーに歌わせてしまうプロデューサー・田家大知の狂気に起因するとしか考えられない。それがアイドルファンにも、音楽ファンにも訴求できるようなゆるめるモ!の音楽を生み出している。

 ゆるめるモ!は「ニューウェーヴアイドル」を名乗っているが、実際には「ニューウェーヴ」の一言で片づけられないほど、ニッチな音楽性をもったグループだ。「SWEET ESCAPE」(『New Escape Underground!』収録)での10分に及ぶクラウト・ロック、「あさだ」「アーメン」(『Electric Sukiyaki Girls』収録)におけるESGオマージュのベースライン。そして最新作『Unforgettable Final Odyssey(忘れがたき最期の旅路)』では、ビースティー・ボーイズを連想させるヒップホップの「Majiwaranai CAts」、スカの「ぺけぺけ」、ポップ・グループとアニマル・コレクティヴが融合したかのような「たびのしたく」などを収録している。まさに音楽ファン向けでありながら、メンバーはグループ名の通りに「ゆるい」。まったくもって一筋縄ではいかないのだ。

 8月9日に恵比寿LIQUIDROOMで開催されるワンマンライヴ『2014:A Space Odyssey On Liquid RooMo! ~リキッドルーモ!号で行く、2014年宇宙の旅~』は、この日をもってゆいざらす脱退を迎えるゆるめるモ!が、これまでの活動を総決算するライヴとなることを予感させる。さらに、DJとして掟ポルシェ、ゲストとして非常階段のJOJO広重、張替智広、DOTAMA、箱庭の室内楽、miamiの出演が予定され、ステージ上に20人以上が立つ瞬間があることまでアナウンスされている。どう見ても詰め込みすぎだ。

 メンバーそれぞれのキャラクターを伸ばしつつ、音楽面では鬼神のごとく盛って盛って盛りまくるプロデューサーの田家大知。彼は、質問すると即座に明確なヴィジョンを回答する人物だ。ある種の「奇祭」の予感がするゆるめるモ!のワンマンライヴを前に、ふだんの彼の生活から聞いてみた。

――最近出た大坪ケムタさんとの共著『ゼロからでも始められるアイドル運営』で、初めて田家さんが今年40歳だと知ったんです。しかも奥さんもお子さんもいる。40歳を前にして、どうしてこんな大変なことを始めたんですか?

田家:狂気ですね、普通じゃありえない(笑)。奥さんは高校の同級生で面白がってくれてます。僕と結婚する時点で狂ってますから。奥さんは今は仕事を辞めて専業主婦で、僕もふだんは業務委託のフリーランスなんです。だから1日の半分以上は仕事にもっていかれてしまう。フルタイムで関われたら、もっともっとスピード感を出せる自信はあるんですけど。

――ゆるめるモ!専業じゃないんですか!? ゆるめるモ!のライヴ数の多さは異常ですが、生活は以前とどう変わりました?

田家:まったく寝られなくなりましたね。ワンマンライヴに向けて毎日公開している動画は、いとこがボランティアで作業してくれてます。ほとんどのスタッフが他に仕事していて、その合間にやってくれていますね。

――現場に奥さんやお子さんも連れて行かれるそうですが、奥さんの感想は?

田家:メンバーと僕の家族で、お互い顔が見えてたほうがいいですから。奥さんからは「音楽もいいし、メンバーもいい子だし、彼女たちの人生で楽しい時間を過ごせるように全力を注ぎなさい」って言われてます。

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