海外におけるミュージシャン/セレブのセキュリティ問題 トラブルの事例と回避方法は?

 岩手県滝沢市で行われたアイドルグループAKB48の握手会で、メンバーの川栄李奈と入山杏奈、そして男性スタッフ1人がのこぎりのような刃物を持った男に襲われた事件の波紋が広がっている。今回の事件では犯人が「AKBには興味がなかった」という旨の供述していると伝えられており、アイドルとファンのトラブルというよりも、有名人をめぐるセキュリティ管理の問題と捉えたほうが適切であろう。実際、アーティストを取り巻くトラブルはいま世界的な問題となりつつある。本稿では海外で発生した事例に目を向けながら、トラブルの回避方法について探っていく。

 いま海外のミュージシャンを悩ませる問題のひとつに「コンサートにおける観客のマナーの悪さ」がある。近年では会場を有効活用しパフォーマーと観客の距離が近いアリーナ席を設けるのがトレンドだが、一部の観客が設置された柵を乗り越えミュージシャンを「触る」「掴む」「引っ張る」等の行為に及ぶことが問題視されている。歌手のビヨンセは昨年セルビアで行われたコンサートで髪を引っ張られたり額を叩かれるといった被害に遭遇。またデンマークで行われたコンサートでは男性客のひとりが彼女のおしりを触るという行為に及んだため、ビヨンセはパフォーマンスを中断するなりその男を指さし一言「アンタをここから退場させるからね。分かる?」。会場は一時騒然となったという。

 同様の被害に見舞われたのは同じく歌姫のリアーナ。昨年イギリスのバーミンガムで行われたコンサートで、興奮した観客に衣装や腕を掴まれた彼女は、持っていたマイクで相手をゴツン。思い切り殴りつけた後も怒りは収まらなかったそうだ。少女時代のテヨンに至っては公演中に乱入した男性客に連れ去られそうになり、警備員にかろうじて助けられたこともある。このようなトラブルが後を絶たないため、現在では警備を強化したり花道と客席の間に距離を取るようにしているミュージシャンも多いようだ。

 また有名人ならではのトラブルにストーカー被害がある。韓国の人気グループJYJは記者会見で「ファンが僕たちの身分証を盗用して通話履歴を流出させ、車に位置を追跡するGPSをこっそり取り付け、追いかけてきた。頻繁に無断侵入して私物を撮影し、寝ている僕に近づきキスしようとしてきたこともある」と打ち明け、デビュー以来10年近くもストーカー被害に悩まされてきたことを吐露した。また女優のアシュレイ・ティスデイルは配達員を装っては自宅に侵入し、執拗にツイートしてくるストーカーに悩まされていた。「僕以外の男と交際するようなら君を撃つよ。君は僕だけのもの」といったアシュレイへの異常な執着が感じられるツイートの数は、驚くことに1万8千以上にも上ったという。また俳優アレック・ボールドウィンをストーカーした女は「愛しているの」「赤ちゃんが産みたい」「お金が必要なの」などとアレックにメールを送りつけ、時に自宅まで押しかけることもあったという。このようなストーカー行為は海外では厳罰によって処されるため、アシュレイのストーカー男は罰金と接近禁止命令、アレックのストーカー女には禁固刑が下されている。

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