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映画『アート・オブ・ラップ』公開記念インタビュー(前編)

K DUB SHINEが語る、ヒップホップの歴史と今のシーンに足りないもの

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『アート・オブ・ラップ』2012(c)The Art Of Rap Films Ltd

 過去から現在に至るまでのラップ界のトップアーティストたちに、ギャングスタ・ラップの"ゴッドファーザー"ICE-Tがインタビューしたドキュメント映画『アート・オブ・ラップ』が7月27日に公開される。

 それに先立ち、「JamesBrownから聞け」(「公開処刑」/ KING GIDDRA)と、先人たちの歴史を知るべきだと投げかけてきたK DUB SHINE(K DUB)氏に、『アート・オブ・ラップ』の魅力、そして日本の音楽シーンの現状について訊いた。

――『アート・オブ・ラップ』には、K DUBさんがヒップホップにのめり込むきっかけとなったアーティストが多数出演していますが、見どころはどこでしょう?

K DUB あらゆる世代のMCが出てきて、自分の作品に対する取り組み方とか、こだわりについて、自分の口から発するっていうのが一番の見どころじゃないかな。たとえば、Naughty by NatureのTREACHが言ったような「その場のフリースタイルで曲を作ると、ろくなものができない」っていうのは共感したし、DANA DANEがアメリカの学校で習う作文の書き方、「イントロダクション→ボディ→コンクルージョン」っていう"起承転結"で曲を作るのもそう。そうしないと、理路整然としなくなるから。あとは、Rakimがそれまでのドラムやパーカッションのようなラップを、譜割にして、より音楽的にサックスのように変えたこと。俺もRakimのファンだから、彼がどうやって曲を作っているのかというのは、ガキの頃から研究しながら聞いて、だんだんと身につけた。

――K DUBさんの二拍で韻を踏んだり、一小節ごとに合わせたりというスタイルは、KING GIDDRAやBUDDHA BRANDやMICROPHONE PAGERがデビューするまで日本にはなかった。試行錯誤されましたか?

K DUB というよりも、アメリカのラップの基本中の基本、Run-DMCを聞いてた頃から、それが醍醐味だと思ってた。なのに、俺らより前に日本でヒップホップをやっていた人たちは、そこを薄めちゃってて。誰のどの部分を盗んだとかではなく、アメリカの全体的なラップを見て、こういうルールでやっているんだなというのを頭に入れて、それを日本語に置き換えただけ。あとは、アティチュード、気合いの入り方にも物足りなさを感じた。「俺を見ろ!」くらいに強気でラップしている感じがしなかった。

――気合いの入り方っていうのが、当時のポイントなのかなと思います。というのも、"さんぴんcamp"以降、街の不良っぽい、格好いい若い子が、ヒップホップに流れていった。それまでの日本のヒップホップに、ストリートが好むような要素はなかったと思います。K DUBさんの言う「気合いの入り方」「強気で」って、どういう部分なのでしょうか?

K DUB ヒップホップは、MC同士が自分のほうが上だと競い合う文化で、自分のラップやスキルを、自信を持って聞かせるという強気さも必要。ストリートで強がったこと言うんだから、舐められないような考え方を持たなければいけないし、タフさとかもだな。そういう部分に、ストリートにいる奴らが惹かれたんじゃないかな。

――なるほど。それって、まさに『アート・オブ・ラップ』で語られているようなことですね。日本にも、"さんぴんcamp"以降、『アート・オブ・ラップ』的な世界観が入ってきた。

K DUB それ以前のラッパーたちは、どこまでヒップホップをわかっているのかが疑問だった。いまいちヒップホップらしさがもの足りない、と感じてた。細かい話をすると、向こうのラッパーが聞いてもヤバイと思うサンプルネタだったり、アルバム作りをちゃんとした上で、ヒップホップのオーソドックスなスタイルを、日本語に変換できているラッパーが少なかった。

     
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