にじさんじ随一の文学女子・栞葉るりが見せる多彩な知識 古今東西をリスナーに届け続ける活動を追う

にじさんじ随一の文学女子・栞葉るりの魅力

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む「歌ってみた」などの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし、現在150名を超えるメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さでシーンに大きな影響を与えている。

 本連載では数カ月に渡って、2023年11月下旬にデビューし、Idios、Oriens、Dyticaと続いた“2023年期”のライバーを紹介してきた。今回は立伝都々、ミラン・ケストレル、2人の同期であり、“文系”センス/タレントを活かした活動で異彩を放っている栞葉るりにフォーカスを置いてみよう。

平安から現代まで、オタクとインターネットと文化を網羅する“文系VTuber”

 栞葉は、2023年11月24日に、立伝とミランのあいだの2番手として初配信をおこなった。デビュー当初は3人をまとめるようなグループ名はなかったが、1週間ほど経過した初の同期コラボ配信にて「みたらし団」という同期ユニット名が発表された。ユニット名はリスナーから募ったものであり、ミランの「み」、立伝都々の「た」、栞葉るりの「し」からとられている。

 彼女のファーストインプレッションとして多くの人が注目するのは、物腰の柔らかさとお淑やかさ、どことなく品のある空気感ではないだろうか。笑い方は控えめで軽く笑う程度、声のトーンは高めであるが落ち着いたままで会話を進めていく。

 荒っぽい言葉遣いはあまりせず、敬語を含みつつ会話しており、にじさんじの先輩でいうなれば、月ノ美兎やリゼ・ヘルエスタのような淡々とした口調に近い。

 月ノとリゼがそれぞれ偏愛の対象や得意分野の話題になると高まった気持ちが自然と口調にあらわれるように、栞葉にもそういった様子が見られる。彼女の場合は、文芸や古典作品などがその対象となる。

 小学生時代に小倉百人一首を習ったのち、地元の雪景色を見て「現在の自分と平安時代の人たちの気持ちがつながる」ことにロマンを抱いたことがキッカケだと、配信のなかで明かしている。

 後に進学した際に専攻として選んだのは「近現代文学」だというが、配信では平安時代の古典なども含めた日本文学の知識をリスナーにとどけている。

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 そんな栞葉は、趣味として読書をあげており、自身で小説を執筆していた経験もある。物語のネタやアイデアを得るため、また社会経験をつむためにさまざまなアルバイトをしていたそうで、ラーメン屋、イベントスタッフ、クリーニング店、ウエディングスタッフ、ゲーム開発(シナリオのデバック)、お菓子屋やカフェ、学童の先生やホテルなど、多種多様な職場を経験したことを明かしている。

 またVTuberのボイス台本をアルバイトとして執筆していた経験(!)もあり、その経歴を見込まれて、現在でも依頼されることがある。2026年8月時点では、夜見れな×鷹宮リオンのいたずらASMRボイス妹編や、2026年に発売された獅子堂あかりの誕生日ボイスなどが、栞葉が担当したものである。

 にじさんじ外のVTuberと共演する際にも、この文系・文芸というフックが大きく寄与しており、いわゆる“学術系VTuber”のひとりとして数えられることもある。

 学術系VTuberには博士号などしっかりとした学位を持った者から、趣味が高じて非常にコアかつマニアな部分まで知識を得た者までさまざまなタレントがいる。ロケットの打ち上げ実況や宇宙開発の解説を中心に活動している宇推くりあ、天体や惑星など宇宙関係の情報発信をしている星見まどか、民俗学にあかるく書店員VTuberとして活躍する諸星めぐる、美術全般について厚い知識をもつhololive DEV_ISのReGLOSSに所属する儒烏風亭らでんなど、さまざまな領域を専門とするVTuberのひとりとして、栞葉も交流を持っている。

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 さらにはこういった活動が実を結び、栞葉は2025年7月25日にはKADOKAWAから書籍『ゆるゆる古典教室 オタクは実質、平安貴族』を上梓した。古典文学の難しさやややこしさをできるだけ排しながら、“現代に生きるオタク”と“昔の人々”の共通点を彼女らしい視点でひと繋ぎにした一冊となった。

 そんな栞葉は「むかしはド陰キャだった」と自身の過去を振り返っているが、文芸への偏愛をみせるなかで、もう一つ熱心に追いかけていたのが、にじさんじやVTuberカルチャーだ。

 .LIVE所属のカルロ・ピノを推しと公言しており、2018年とかなり初期の頃から熱心にライブ配信を追いかけていたようだ。そのためか、にじさんじの先輩たちの話題になると普段よりも饒舌になり、本人たちも忘れていたであろう話題やエピソードをぶつけることもしばしば。にじさんじの知識やネタを問うファンメイドゲームやテストではパーフェクトな解答をみせており、逆にファン側の気持ちや熱量を想像しておもわず涙することもある。

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 そんな彼女にとってあこがれの人であり「原点」と言える存在は、月ノ美兎。また推しは、リゼ・ヘルエスタであるという。またネットミームをうまく操りつつネットカルチャー好きという親和性でいえば、周央サンゴや鏑木ろこ、石神のぞみとも親しくしているようだ。

 にじさんじの女性ライバーたちに受け継がれてきた“インターネット育ちの女”としてのDNAを、栞葉るりもまたしっかりと受け継いでいるのだ。ある種の正統派にじさんじ女性ライバーといえる。

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