AIスマートグラス『Ray-Ban Meta』を2カ月使って分かったリアルな使用感 意外にも毎日使うのはカメラとスピーカー、AIは今後に期待

AIグラス『Ray-Ban Meta』毎日使える?

 2026年夏、MetaとエシロールルックスオティカはAIスマートグラス『Ray-Ban Meta』と『Oakley Meta』の日本国内での販売を開始した。このうち『Ray-Ban Meta』については、日本で初めて投入されたのは初代モデルではなく、海外で4月に発売していた第2世代(Gen 2)モデルとなっており、最大3Kでの動画撮影や最大約8時間のバッテリー持続時間に対応する。

発表会では色々なモデルに触れることができ、最終的にSkylerモデルを選択

 筆者は発売時に『Ray-Ban Meta Skyler (Gen 2)』の実機を入手。6月初旬に「COMPUTEX TAIPEI 2026」の取材のために台湾出張に行ったり、度付きレンズへの交換に手間取った関係で、本格的に使い始めることができたのが7月になってしまったのだが、そこから約2カ月、ほぼ毎日のようにかけ続けてきた。

 スペックや発表内容を見ると『Ray-Ban Meta』は「メガネにカメラとAIが入った」という未来感に目が向きやすい製品だが、毎日の生活で使い続けてみると、印象は少し変わってくる。本稿では、筆者が日常的に『Ray-Ban Meta』を使ってみて、よく使う機能や日々感じていることについて紹介する。

スマホを取り出さずに撮れるカメラが、思った以上に使える

テンプルのボタンを押して写真や動画を撮影(画像提供:Meta)

 2カ月使って、一番便利だと感じる機能がカメラだ。約1,200万画素の超広角カメラを搭載しており、テンプルのボタンを押すか、「Hey Meta、写真撮って」と声をかけるだけで撮影できる。

 スマートフォンで撮影する場合、ポケットやバッグから本体を取り出して、カメラを起動して、被写体に向けるという手順が必要だが、『Ray-Ban Meta』なら、メガネからそのまま撮影できる。しかも自分の目線で撮影するため、そのときの体験をよりリアルな感覚で残しておくことができる。

 たとえば、周囲の人物やペットがふと面白いことをした瞬間など、「今撮りたい」と思ったときにわざわざスマートフォンを探す必要がない。飲み会で乾杯する瞬間も手をふさがずに撮影できるし、自転車や散歩中の風景を、自分が見ている方向からそのまま残せるのも面白い。

『Ray-Ban Meta』で撮影した写真(昼)
『Ray-Ban Meta』で撮影した写真(夜)

 ただし、スマートフォンのカメラと同じ感覚で使えるというわけではない。ファインダーがないので、撮影時の構図はほぼ感覚頼りになる。写真は基本的に縦長で、明るい屋外なら気軽な日常スナップとして十分楽しめるが、室内や暗い場所では画質も落ちてしまう。

 あくまで撮影したい瞬間を逃さないようにしたり、手を塞がずに撮影する機能という感覚で使うのに向いていて、風景など一瞬で変わらない場面をキレイに撮影するにはやはりスマートフォンを使ったほうがいい。

 撮影中はメガネ前面のLEDが点灯する。周囲に撮影していることを知らせるための仕組みだが、このLEDを見て「いま撮影している」と理解できる人がどれくらいいるのかは、少し気になるところでもある。全く面識のない人をいきなり撮影するというシチュエーションはほとんどないとは思うが、スマートフォンなどでの撮影と同様に、「撮ってもいいですか?」と一声かけるなどの撮影マナーは徹底するようにしたい。

毎日使ったのは音楽と通話 Meta AIは意外と出番が少なかった

 もうひとつ、2カ月使って便利だと感じるのがスピーカーだ。『Ray-Ban Meta』は耳をふさがないオープンタイプのスピーカーを搭載しており、散歩や家事をしながらBGM感覚で音楽やポッドキャスト、ラジオを楽しめる。

 筆者の自宅は最寄駅から徒歩15〜20分ほどの少し遠い場所にあり、ただ歩くのも暇なのでいつも音楽やラジオ、ポッドキャストを聞いている。以前は家を出る前にイヤホンを装着してから出発していたが、『Ray-Ban Meta』なら装着するだけでスマートフォンと連携するため、あとはミュージックアプリやradikoから聞きたい音楽や番組をタップするだけですぐに再生を始められるようになった。

 周囲の音がそのまま聞こえるので、外を歩いているときにも使いやすい。ハンズフリー通話にも対応しており、そのまま通話できるのも便利だ。音質についても、開放型のスピーカーとしてはよくできているのでボーカルや話し声も聞き取りやすい。

 難点としては、オープン型ゆえに音漏れが多少あること。静かな電車内などでは、少し音量を下げるなど周囲に配慮して使うようにしている。また、渋谷などの混雑している場所や車通りの多い道路で通話すると、相手から「ちょっと音声が聞き取りづらい」と言われることが多少あったことから、そういった場面ではスマートフォンやイヤホンなどで通話した方が良さそうだ。

 一方で、期待していたほど出番が多くなかったのが、MetaのAIアシスタント「Meta AI」だ。「Hey Meta」と呼びかけて質問したり、本体のカメラを使って目の前にあるものについて尋ねたりできるのは面白い。名前を知らない花を見つけたとき、「この花は何?」と聞けば、すぐに答えが返ってくる。こうした使い方は、いかにもAIスマートグラスらしい。

 ただ、2カ月ほど使っていると、毎日の生活に欠かせない機能とまでは感じにくい。というのも、日本では海外で提供されている機能の一部が利用できないからだ。例えばカメラがずっとオンになり、「Hey Meta」というウェイクワードを言わずとも目の前のものについて何度も質問したり、続けて会話できる「Live AI」は現時点では日本で提供されていない。

 通知の読み上げもMessenger、WhatsApp、Facebookなどが中心で、日本のユーザーが多用するLINEとの連携は発売時点で「準備中」とされており、現在でもまだ非対応だ。ChatGPTやGeminiを直接呼び出して使うこともできない。

 また、マイクで相手の話した内容を認識し、その場で翻訳した音声をスピーカーから再生する「ライブ翻訳」も6月に日本語に対応したのだが、アプリの操作が必要になるケースがあり、筆者も今のところスムーズに使えたことがほとんどない。そのため、『Ray-Ban Meta』を「AIアシスタントを搭載したメガネ」として購入すると、少し肩透かしを感じる可能性がある。

ちょっとクセはある?毎日使って分かった装着感とバッテリー

筆者は市販のノーズパッドでフィット感を調整している

 『Ray-Ban Meta』を毎日のように使っていると、機能面の便利さだけでなく、長く使うからこそ気づくポイントも出てくる。

 ひとつは装着感だ。重量は約49g前後で、一般的なサングラスやメガネと比べるとやや重め。カメラやスピーカーなどの機能をフレームに詰め込んでいるため、普通のメガネとは少し違った感覚がある。とはいえ、慣れてくると日常的に着けていられる程度で、筆者の場合は外出時の定番アイテムとして使うようになった。ただ、歩いたり長時間着けたりすると、前側の重さによって少しズレやすいと感じることはある。

 毎日使うことを考えているなら、購入前に店頭で試着しておくと安心だ。ノーズパッドを調整できるOptics系のモデルを選んだり、市販のノーズパッドを使ったりすることで、フィット感を調整する方法もある。

 もうひとつはバッテリーだ。公称では最大8時間の連続使用が可能だが、実際に動画を撮影したり音楽を聴いたりする時間が長いと、午後には残量が気になってくることがある。一方で、使い方を覚えると充電のタイミングはそれほど難しくない。使わないときに専用ケースへ戻す習慣をつけておけば、外出中に突然バッテリーが切れる場面も減らせる。

 『Ray-Ban Meta』は本体だけで充電する方式ではなく、専用ケースに戻して充電する仕組み。そのため、ケースを持ち歩くことがひとつの習慣になる。ケースを忘れた日は少し不安になるものの、逆に言えば「使ったらケースに戻す」というルーティンさえできれば、日常利用で大きく困ることはなかった。

 こうした部分は、短期間の試用では気づきにくいところだろう。2カ月ほど毎日使ってみると、『Ray-Ban Meta』は普通のメガネのように完全に意識せず使える製品というより、少しクセはあるものの、そのクセを理解すると日常生活に自然に組み込めるガジェットだと感じるようになった。

2カ月使って分かった、現時点での『Ray-Ban Meta』の本当の使いどころ

 ここ2カ月、ほぼ毎日のように『Ray-Ban Meta』を使ってみて感じたことを述べてきたが、もともと超軽量なメガネを普段から装着していることもあって、今回は少し辛口のレビューになったかもしれない。とはいえ、『Ray-Ban Meta』そのものに不満があるわけではない。むしろ、毎日使い続けているからこそ「ここがもう少し良ければ」と感じる部分が見えてきた、というのが正直なところだ。

 まず、Ray-Banというだけあってデザインはかなり良い。周囲の人からも「普通のおしゃれなメガネだと思った」と言われることが多く、いかにも「スマートグラスをかけています」という雰囲気がない。カメラやスピーカー、バッテリーなどを内蔵しながら、普段のメガネとして自然に使えるのは大きな魅力だ。

 一方で、個人的に気になっているのが装着感。筆者が使っているSkylerモデルにはOptics系のようなノーズパッドがなく、ズレやすさを感じたため、市販のノーズパッドを購入して取り付けている。ただ、Optics系を使っている知り合いからも「付属のノーズパッドを使っていてもズレやすい」という話を聞いているので、購入を考えているなら、やはり一度店頭で試着してみることをオススメしたい。

Ray-Banデザインにこだわらないなら、より安価な『Meta Glasses』もオススメ

 そして、価格も無視できない。本体価格は税込7万円台からで、度付きレンズを入れればさらに高くなる。現在は、税込5万円台から購入できる『Meta Glasses』も用意されているため、Ray-Banのデザインにこだわりがなければ、そちらを選ぶという手もある。

 では、7万円台からという価格に納得できるのはどんな人なのか。2カ月使ってみた感覚では、「カメラとスピーカーを毎日使うかどうか」で、その答えはかなり変わってくると思う。子どもやペット、旅行中の風景などを自分の目線で残したい。散歩や家事をしながら音楽やラジオを聴きたい。メガネをかけたまま電話したい。そうした用途がある人なら、『Ray-Ban Meta』は意外なほど自然に毎日の生活へ入り込んでくる。

 逆にAIアシスタントを一番の目的にする人や、暗い場所での撮影・横向き動画を重視する人、充電ケースを持ち歩かずに1日中使いたい人は、購入前に少し慎重に考えたほうがいいだろう。2カ月使って分かったのは、『Ray-Ban Meta』は「AIで未来を感じるメガネ」というより、「目線のカメラ」と「ながら聴き」が思った以上に日常へ残るメガネだということだ。

 もちろん、AIやLINE連携など、日本で利用できる機能が今後さらに増えていけば、評価が変わる余地は大きい。むしろ、そこには期待している。現状ではAI機能を目当てに購入すると物足りなさを感じる可能性があるが、将来的にできることが増えていけば、「あのとき買っておいてよかった」と思える製品になるかもしれない。

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