あらゆる場所でXRコンテンツが楽しめる基盤作りへ 業界横断25社が集結する「LBEC」発足会見レポート

ガイドライン策定から流通基盤構築へ LBECが掲げる“3段階”のロードマップ

 LBECの取り組みは3段階で構成される。第一に、コンテンツの類型化とロケーションの環境条件を整理した「ガイドライン」の策定。第二に、ガイドラインをもとにした施設とLBEコンテンツの「マッチング」。そして第三に、これらを統合した「流通基盤」の構築だ。渡邊遼平氏は「まずはガイドライン作りに着手する」としたうえで、短期的にガイドラインのバージョン1を公開し、9〜10月頃から議論を再開してバージョン2の策定に向かうロードマップを明らかにした。目標として、2030年までにLBEC経由の流通総額150億円規模を掲げている。

 登壇企業を代表し、KDDI株式会社の川本大功氏は「共通理解を作っていくことが大事」と述べ、参画企業とともに議論を重ねながらLBE市場を盛り上げていきたいとの意気込みを語った。

 LBECには東急、東急不動産ホールディングス、森ビル、日鉄興和不動産、ルミネ、L-COMPLEX、トヨタ・コニック、ひろしまモビリティワールドといった自社で施設や土地などの「場所」を持つ企業を中心に参加している点も興味深い。他にもハシラス、palan、ライノスタジオ、ダイナモアミューズメントなどのXR制作企業や、モータースポーツ事業、自動車用品事業などを手掛けるTOM’Sも参加。また金融からは、みずほ銀行と三菱UFJ銀行の2社が参画している。

 その後に続く質疑応答では、法人形態について問われた渡邊氏が「将来的には法人化を目指したいが、現段階では任意組合」と回答。市場拡大のタイミングについては「コロナ禍の間にVRゴーグルのハードが進化し、複数人・大人数での同時体験提供が可能になったことが大きい」とし、家庭用ではなくロケーションベースでのビジネスモデルが成立し始めたことが背景にあると説明した。

 金融機関の役割について問われた三菱UFJ銀行の中川啓太氏は、「配給会社や興行会社の信用力に依拠する形で、制作社やクリエイターにファイナンスを提供していく」構想があることを明かした。映画産業における企画制作・配給・興行というビジネスフローを参考に、資金面での支援を行っていく役割となりそうだ。

 コンテンツの受け皿となる施設の広がりについては、J.フロントリテイリンググループ・大丸松坂屋百貨店の林直孝氏が、限られたスペースでの体験設計に加え、日本ならではの概念である「借景」を活かした屋外連携型のLBE展開の可能性にも言及。L-COMPLEX代表取締役の荒木茂徳氏は、大阪・心斎橋で複数規模のLBEコンプレックスを展開する構想を明らかにした。

今後の課題は「コンテンツの充実」になるか

 会見を通じて語られたのは、施設側の受け入れ環境を整理するガイドラインの策定が主だ。質疑応答では、LBE向きのコンテンツ傾向として、例えば欧州ではアート・歴史もの、米国では銃による戦闘、ホラーや脱出ゲームなどが人気であるという点に触れられた。

 日本発コンテンツの可能性についても言及があったものの、すでに公開されている情報の通り、具体的なIPホルダーやコンテンツスタジオの参画については、現時点で名前は挙がっていない。渡邊氏は「コンソーシアムそのものは、まず流通基盤を作るところに集中する」としつつ、出版社などコンテンツを持つ企業の参加も「あり得る」と回答している。

 たとえ受け皿となる箱やマッチングの体制、全体を貫く流通基盤が整備されたとしても、コンテンツを量産する体制が構築できないことには市場は広がっていかない。また世にLBEコンテンツの存在を広く知らしめるキラーコンテンツもまだ存在しないのが正直なところだろう。今後どれだけのプレイヤーがコンテンツの制作に乗り出すのかが、XR系のLBEの未来を左右する分水嶺になりそうだ。

 ガイドラインの公開、そして9〜10月に予定される次フェーズの議論で、コンテンツの供給やIPホルダーとの連携がどこまで具体化されるか、引き続き注視していきたい。

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