あらゆる場所でXRコンテンツが楽しめる基盤作りへ 業界横断25社が集結する「LBEC」発足会見レポート
VRやARといったXR技術を活用した体験型エンターテインメント「LBE(Location-Based Experiences)」の市場形成、流通促進を目的とする「Location-Based Experiences Consortium(LBEC)」が発足し、その記者発表会が2026年7月28日に開催された。
運営は株式会社STYLYとKDDI株式会社が共同で担い、不動産、鉄道、放送、金融など業界横断の25社が参画。会見にはこのうち14社が登壇した。
「体験の配信」という新フォーマットへ
「VR元年」と言われた2016年から現在も続くXR(VR・AR)市場。「Meta Quest」(Meta)、「PICO」(ByteDance)、「VIVE XR Elite」(HTC)などのVRデバイスに加えて、ソニー「PlayStation VR2」、Apple「Apple Vision Pro」など主要プレイヤーは一通り揃いきったという印象だ。最近では「Ray-Ban Metaグラス」が、軽量ARスマートグラスとして、これまでXRデバイスに馴染みのなかった層からも注目を集めている。
そんなXRデバイスを活用したエンターテインメントコンテンツに新たな潮流が生まれている。それが「LBE(Location-Based Experiences)」だ。テーマパークや体験型スタジオなど、特定の場所で楽しめる体験型のエンターテインメントで、昨今はこれにARやVRゴーグルを組み合わせることで、従来のテーマパーク、あるいは自宅で利用するVRゴーグルなどでは実現できない、高度な没入感のコンテンツを実現している。
会見の冒頭、STYLY COOの渡邊信彦氏が登壇。「音声や映像を配信することから、体験を配信するという全く新しいフォーマットに移行しようとしている」と、かつて一度盛り上がりを見せながら姿を消したVRヘッドセットのアトラクションが、技術の成熟とビジネスモデルの確立によって再び動き出していることを話す。また、日本発のコンテンツが海外に届いていない現状にも言及。「フォーマッティングがきちんとしていないこと、技術を外に出していく仕組みができていないことが理由」だとして、映画館が共通フォーマットを確立したことで世界中に同じ体験を届けられるようになった歴史と比較しながら「LBEC」発足の狙いを説明した。
続いて発足の概要を説明したSTYLY執行役員兼CMOの渡邊遼平氏は、自社が提供する屋外・屋内向けLBEコンテンツの実績を紹介。東京ドームで提供したフリーローミング型コンテンツ『THE MOON CRUISE』、KDDIと共同で手がけた次世代シアター『Immersive Zero』、東急不動産と展開する蓼科の森を舞台にしたエデュテイメント型コンテンツ『AnimaLOOK!!』などを挙げた。
そのうえで「LBEコンテンツをさまざまな場所に導入する際の調整コストの高さが、普及・流通の最大のボトルネックになっている」と指摘。最低床面積や天井高、独立した電源の数といったコンテンツ側が要求する条件と、施設側の受け入れ条件の折り合いがつかないまま数ヶ月が過ぎ、結果的に導入に至らないケースが多いと説明した。
また世界のLBE市場が2029年に約153億3000万ドル規模に達すると見込まれていると紹介。アメリカのVRアトラクション「SANDBOX VR」やフランスの没入型体験「Excurio」など海外の成功事例を挙げる。ここ最近では検索ワードとして「VR near me」(「近くで体験できるVR」)の検索数が40〜60%上昇していることも挙げ、一度盛り下がってしまったかに見えたXRコンテンツ業界に確かな追い風が吹いていることを説明した。