モナキ、サカナクション、M!LKが体現 『TikTok上半期トレンド大賞2026』からみる、“共創型トレンド”の方程式
TikTokは国内月間利用者数4200万人を超え、今や日本の約3人に1人が使用する巨大なプラットフォームへと成長している。TikTokは新たなトレンドとカルチャーを生む場所――その認識はユーザーのみならず、世間的にも広く知られているはずだ。
特に音楽シーンにおいては、バイラルチャートを左右する重要なSNSとなっていることは言うまでもない。2026年上半期にTikTokで話題を集め広がったさまざまなトレンドを表彰する祭典『TikTok上半期トレンド大賞2026』。大賞を受賞したモナキを筆頭に、サカナクションの楽曲「夜の踊り子」がインパクト・ソング部門賞、M!LKがミュージック部門賞を受賞した。
モナキ、サカナクション、M!LK……UGCにより加速した熱量
- 大賞を受賞したモナキ
- 「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」も披露
モナキはデビューに先駆けて公開された「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」の振付“ほんまやでダンス”が話題となり、関連動画は7億回再生を突破。“ほんまやでダンス”を踊ってくれたアーティストの楽曲をモナキ側が感謝を込めて踊る“お返しダンス”、さらにリリースイベントで“モナカマ”(ファンの呼称)が撮影した動画、特にメンバー・おヨネのタイトルコールなどがファンの熱量をさらに加速させ、TikTokを介して世代を縦断するコミュニティが自発的に形成された。授賞式のコンセプト「このトレンドから、新しいカルチャーがはじまる。」を最も体現していると評価され、大賞受賞に至った。授賞式後のインタビューでメンバーのケンケンが「TikTokありきのモナキ」と話していたほど、モナキはTikTokで爆発的な人気を獲得し、今がある。
- シークレットゲストとしてCOWCOWも登場
- おヨネに似ていると話題のCOWCOW・多田健二
授賞式にてケンケンがバズった理由を「もう、おヨネですよね」と分析していたのには確かに納得がいくが、ケンケンの“虚無ピンク”(メンバーカラーとたまに見せる無の表情をかけ合わせたあだ名)といったように、メンバーそれぞれがTikTokを楽しみながら個性を花開かせていたこと、それにモナカマからUGC(ユーザー生成コンテンツ)が多く生まれ、さらなる熱を生んでいったこともバズの理由と言えるだろう。
サカナクションの「夜の踊り子」は、発売から14年経ち、ストリーミングチャートの頂点へと駆け上がる異例のヒットとなった。インドネシアの伝統的なボートレース「パチュ・ジャルール」の様子を撮影した映像と組み合わせたショート動画がミーム化し、TikTokを中心にトレンドが拡大。サカナクションの山口一郎と加藤小夏もトレンドを再現した動画を投稿し、話題はさらに広がった。2026年5月時点でTikTok関連動画の総再生数は11億回を突破。世代と国境を超えるトレンドを巻き起こした象徴的な事例として評価されている。
@sakanaction_jp #夜の踊り子 #サカナクション #sakanaction #加藤小夏 @lotte_theday ♬ 夜の踊り子 - サカナクション
山口はビデオメッセージにて「宝くじに当たったような気持ち」とコメントしていた。14年前の楽曲が突如脚光を浴び、バンド自体も大きく推進させていくのだから、アーティスト本人にとっては思いがけない幸せだ。サカナクションだけでなく、近年ではHALCALI「おつかれSUMMER」をはじめ、YUI「SUMMER SONG」、andymori「すごい速さ」といったTikTok発のリバイバルブームが毎年のように起こっている。HALCALIは今夏開催の『SUMMER SONIC 2026』で約14年ぶりにライブ活動を再開する。それほどの大きなパワーをTikTokは秘めているのだ。
昨年より開催されている国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』では、「最優秀バイラル楽曲賞」が設けられている。TikTokでの動画・投稿に使用されたことをきっかけにバイラルし、世間一般に浸透してヒットしたと評価できる楽曲を讃える賞だ。「おつかれSUMMER」のほか、『TikTok上半期トレンド大賞2025』でミュージック部門賞を受賞したCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」、さらにM!LK「イイじゃん」「好きすぎて滅!」もノミネートされている。
『TikTok上半期トレンド大賞2026』にてミュージック部門賞を受賞したM!LKは、「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」の2曲が並走して振付投稿の連鎖を生み、TikTok海外トップアーティストまでもがダンス動画を投稿する国境を越えたトレンドに発展。「好きすぎて滅!」はTikTok音楽チャートで9週連続1位を記録、2026年5月時点でのTikTok総再生回数は36億回を突破し、TikTokユーザーをアーティスト自身が巻き込む“共創型トレンド”の方程式を確立した。
松屋が“食×エンタメ×コマース”のかけ合わせで提示した、新たな消費行動
また今回特筆すべきは、ヒットアイテム部門を受賞した「【公式】松屋オンラインショップ」だろう。昨年、6月30日よりアプリ内で商品の販売から購入が可能となるEC機能「TikTok Shop」が提供開始となった。そんな中、松屋はショート動画とLIVE配信を掛け合わせながら、商品の魅力を“見てわかる・その場で欲しくなる”体験へと転換し話題に。“食×エンタメ×コマース”の新たなヒットモデルを築いた。
TikTok LIVEクリエイターの神社あゆは、毎朝5時からLIVE配信を行い、料理家、そして5児の母として、身近な食材で誰でも美味しく作れるおうちごはんレシピを発信。今年2月にラスベガスで開催されたグローバル表彰イベント『TikTok LIVE Global Awards Ceremony』にも参加し、LIVEクリエイターの新しい活躍モデルとして評価され、ブレイクスルー部門賞を受賞した。神社あゆは現地でセレモニーに参加した際のことを振り返り、「TikTok LIVEの人だ!」と指を差されたことでライブ配信の盛り上がりを感じたと話していた。
音楽のトレンド形成、商品マーケティング、そしてクリエイターの発見の場といったように、瞬間的な盛り上がりにとどまらない新たなカルチャー、価値観を創出し続けているのがTikTokというプラットフォームの現在地だ。2020年から始まり、今年で6年目の開催となった『TikTok上半期トレンド大賞2026』。来年はまた予想もつかないアーティストやクリエイターがステージに顔を見せることだろう。