連載「わたしをつくるデスク」第10回:tahe

iPad→板タブ→液タブへ 遠回りで見つけたイラストレーター・taheの“理想の制作環境”

 机は自分だけの理想空間。仕事をするもよし、遊ぶもよし。どこに何を置くか、手に取ったもの一つひとつが“自分”を作っていく。

 連載「わたしをつくるデスク」第10回は、イラストレーターのtaheさんにインタビュー。メイン機材の変遷と、巣窟のような空間作りについて聞いた。

【連載:わたしをつくるデスク(第10回)】

tahe
イラストレーター。キャラクターイラストを中心に制作。『サマナーズウォー ワールドアリーナチャンピオンシップ(SWC)東京大会』の公式グッズ用イラストなどを担当。ファンアートからオリジナル作品まで幅広く制作。

居心地のいい“魔窟空間”

ーーtaheさんのデスクは、デバイスや小物に囲まれていて秘密基地感がありますね。

tahe:一畳ほどのスペースに、座卓のPCデスクと座椅子を置いています。決して広くはないのですが、“自分だけのお城”みたいな感じで、その狭さが心地いいんです。デスク周りに、好きな作家さんの作品やグッズ、自主制作した作品など、お気に入りのものを配置していくうちに、全体的に混沌とした空間になりました。デスクを見た人からは、「要塞」とか「魔窟」って言われることもあります……(笑)。

ーーtaheさんはイラストレーターとして活躍されていますが、デスク周りで工夫しているところはありますか?

tahe:使いたいものに、すぐ手が届くようにしています。ペン立てや替芯、付箋、ケーブルは、座ったまま取れる場所に配置していますね。

 あとは、Razerの『Tartarus Pro』のキーカラーを、推しの色にしています。こういうささやかなカスタムが、地味に仕事のモチベーションになったりするんです。

ーーメイン機材はどういったものを使っているのでしょうか?

tahe:メインで使っているのは、XP-PENの『Artist Pro 19』という液タブと、『iPad Air M2(13インチ)』です。あとは、先ほど紹介した左手デバイスの『Tartarus Pro』です。

 デスクライトはBeaNetの『BNT-DEL08』なのですが、これは友だちが誕生日プレゼントでくれたんです。角度や明るさ、色温度も調整できるので気に入っています!

どん底に舞い降りた贈り物

ーーtaheさんは、メイン機材をiPadから液晶タブレットへ移行されていますが、iPadはどのくらいの期間使用していたのでしょうか。

tahe:昔は、漫画家さんのアシスタントや、Webデザインの仕事をしていたんです。でも事情により数年イラストから離れていて、その後は趣味としてイラストを描くようになりました。制作を再開した当初は、ベーシックな“無印”iPadを使用していたのですが、イラストのサイズやレイヤーが増えていくにつれてだんだん限界を感じるようになって。

 コンテストに向けて制作をしていたときは、10分おきくらいにアプリが落ちてしまうこともありました。でも無事に最優秀賞を受賞し、賞金もいただけたので、そのタイミングで『iPad Air M2(13インチ)』を購入したんです。

ーー長年、iPadを使い続けていた理由は何だったのでしょうか。

tahe:使用感ですかね。『iPad Air M2(13インチ)』に買い替えたときは、画面の広さも動作の安定感も、それまで使っていた無印iPadとは比べものにならないほど快適で感動しました。対応するApple Pencilも新しくなり、ペンをギュッと握るだけでツールの表示や取り消し操作ができる「スクイーズ機能」がとても便利だったんです。それに、コンテストで結果を出して購入したという経緯もあって、思い出深いデバイスになっています。

 ただ、iPad非対応のアプリでも作業をしたいと思うようになり、2025年にPCを購入しました。そのタイミングでiPadからペンタブレットに切り替えたのですが、直接描き込めるiPadの感覚が恋しくて、PCを購入したあとも結局iPadを使っていたんです。

ーー視線の先が変わると、感覚もかなり変わってきますよね。

tahe:そうなんです。それでいつか液晶タブレットを買おうと貯金をし始めた矢先に、フォロワーの方からXP-PEN『Artist Pro 19』をいただいたんです。

ーーそうなんですか!? それはすごいですね。

tahe:前の晩にお酒を飲んでいたので、酔った勢いで購入したのかと思い、かなり焦りました(笑)。実はその時期、もう絵は辞めてしまおうかと思い詰めていたころでもあったんです。でもそのことがきっかけで、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちになりました。

ーー素敵なエピソードですね。ペンタブレットはなかなか扱うのが難しかったとのことでしたが、液晶タブレットの使い心地はどうでしたか?

tahe:デフォルトの状態でも画面がサラッとしていて、しかも4Kで発色が鮮やかなので、何もしなくても使い心地がいいですね。スリムペン用のフェルト芯も気に入っていて、iPadにペーパーライクフィルムを貼ったときの描き心地に近いなと思っています。

ーーiPad歴が長かったからこそ、移行時に苦労があったのではないでしょうか。

tahe:慣れるまでには少し時間がかかりました。いまは、液晶タブレット専用のスタンドを導入し、iPadで描いていた頃と同じ30度の角度に合わせて使用しています。長年iPadの画面サイズに慣れていたこともあり、19インチの大きな画面に、最初はなかなか馴染めませんでした。

 そこで試行錯誤を重ね、サブメニューを左右に配置することで、作業スペースがiPadで描いていた頃と近い見え方になるよう調整しています。Apple Pencilの描き心地もかなり気に入っていたので、液晶タブレットのペンシルにグリップを装着して、気に入った描き心地に近づけて使っています。

ーー最後に、今後アップデートしていきたいところがあれば教えてください。

tahe:デスク環境にはわりと満足しています。強いて言うなら、座り心地をもう少し良くしたいですね。昇降デスクにも興味があるのですが、自分のお気に入りを詰め込んだこの狭さも気に入っているので、悩ましいところです(笑)。

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