「ツールを覚える」時代の終わり? AdobeがCreative CloudにAIアシスタントを一斉投入へ
Adobeは18日、Creative Cloudに作業を代行するAIアシスタント機能を導入すると発表した。利用者が「こういう仕上がりにしたい」と言葉で伝えるだけで、AIが複数のアプリをまたぎながら必要な編集を順番にこなしていく。まずはPhotoshop、Premiere、Illustrator、InDesign、Frame.ioの5アプリでベータ版の提供を始める。
この機能を支えるのが、Adobe独自の「クリエイティブエージェント」と呼ぶAIだ。同社は4月、CCの各アプリを横断して作業する「Firefly AIアシスタント」をFirefly上で公開していたが、今回はそのエージェントを各アプリの中に直接組み込んだ。利用者は対話形式で指示を出し、途中で自分の手を加えながら仕上げられる。
あわせて、Firefly上のAIアシスタント自体も強化された。SNSで発信する個人クリエイターや小規模事業者を意識した機能が中心だ。「ブランドキット作成」は、店名や雰囲気、使いたい色を伝えると、ロゴやブランドの世界観、配色をひとそろい生成する。「商品動画の作成」は、商品写真をもとに、照明や動き、音、ブランドの統一感まで備えた短い動画に仕上げる。
このほか、複数の映像クリップをセリフやナレーション、映像の流れに合わせて自動でつなぐ「Quick Cut」、アイデアを場面ごとの絵コンテに起こしてそこから動画を生成する「ストーリーボード」機能も加わった。
さらにAdobeは、生成と編集を一つの画面に集約した新しいFireflyの作業環境も、一部の利用者向けのテスト版として公開した。目玉は「Elements」と「Projects」の2つだ。Elementsは、一度作ったキャラクターや背景、小物を保存し、別の画像や動画でも繰り返し使える。同じキャラクターを違う場面やポーズで描いても見た目を保てるため、シリーズものやキャンペーンで扱いやすい。Projectsは、関連する素材や生成物を一カ所にまとめ、FireflyとCC全体で共有できる。
各アプリでできることも具体的に示された。Premiereでは、素材の仕分けやクリップの一括リネーム、インタビュー映像からの質問箇所の特定、編集の起点づくりなどを任せられる。Photoshopでは、背景の差し替えや投稿先に合わせたサイズ調整、レイヤー整理を、仕上がりを伝えるだけで画像全体に適用する。
Illustratorは、表計算データから50種類のパターン違いのファイルを作ったり、印刷前に色設定の誤りやフォントの不足を点検したりできる。InDesignでは、ブランドガイドラインのPDFや既存テンプレートをもとに、文章や体裁、印刷用チェックを含めてレイアウト全体を更新する。Frame.ioは、制作の方向性を伝えるだけで、撮影素材の整理や修正点の集約、補助的な映像(Bロール)の生成を助ける。
このほか、After Effectsでも限定的なテスト版としてAIアシスタントが使えるようになった。Adobeは今後、写真や動画、モーションデザインなど他のCCアプリにもエージェント機能を広げるとしている。
Firefly上のAIアシスタント(ベータ)の新機能は、18日からFireflyのWebアプリで利用できる。新しいFireflyの作業環境は、ウェイトリストに登録した利用者向けのテスト版として提供する。Premiere、Photoshop、Illustrator、Frame.io、InDesignのAIアシスタントは、同日からベータ版で使える。