スマートグラスとは何か? AI・AR・オーディオ、日本上陸が進む「次世代メガネ」の最前線
サングラスや眼鏡のブランドとして知られているRay-Ban(レイバン)やOAKLEY(オークレイ)とMeta(メタ)が協業したスマートグラスが2026年5月21日に日本でも発売された。スマートグラスとはただの眼鏡ではなく、スピーカーやカメラを搭載しスマートフォンの相棒としても使うことのできる、新しいカテゴリの製品だ。今回の新製品で何ができるのか、そもそもスマートグラスとは何なのか、今回は簡単に紹介しよう。
「スマート(賢い)」な「メガネ」=スマートグラス
スマートグラスとは簡単に説明すると眼鏡やサングラスにデジタル機能を搭載した製品だ。通常のメガネやサングラスはそのまま目にかけて使うことができるが、スマートグラスはバッテリーを内蔵しているので、充電操作が必要となる。もちろん充電しなくともメガネとして使えるが、スマートグラスの機能をフルに使うためには充電が必須だ。
では充電することで何ができるのだろうか? それは主にスマートフォンとワイヤレスで接続して、スマートフォンの機能を拡張することができるのである。スマートグラスと呼ばれる理由はここにあるのだ。ではどんな機能が拡張できるのだろうか?スマートグラスには、実にたくさんの種類の製品があるのだ。
1)オーディオグラス:ワイヤレスイヤホン
オーディオグラスとは、眼鏡のテンプル(つる)の部分、耳の当たるあたりにスピーカーを内蔵した製品だ。スマートフォンと接続してワイヤレスイヤホンとして使うことができるのである。スピーカーはもちろん外には音がなるべく漏れないような設計になっている。ワイヤレスイヤホンを耳の中にはめるのが苦手な人や、普段メガネをかけていて、それ以外に小型機器を持ちたくない人などにお勧めだ。
またオーディオグラスにはスマートフォンで通話するときのためにマイクが搭載されている製品もあるが、最近ではスマートフォンのAI機能に話しかけ、回答を音で聴くことができる製品もある。日常の情報を聞いたりお店の検索をしたりと、日常生活に活用できる。オーディオグラスはファーウェイなどのスマート機器メーカーだけではなく、眼鏡メーカーのOWNDAYSなどから様々な製品が販売されている。
2)ARグラス:スマホやゲーム機の外部ディスプレイ
ARグラスは様々な製品がすでに販売されている。ARとは「Augmented Reality(拡張現実)」のことで、現実の世界にデジタル情報を重ねて表示する技術だ。ただし現在販売されているARグラスは、眼鏡にスマートフォンやポータブルゲーム機器、パソコンなどの画面を投影する、外部ディスプレイとして使われる製品が大半だ。
そのためARグラスは本体からケーブルが伸びており、それをスマートフォンやゲーム機、PCに接続して使用する。接続すると目の前には大型TVのような大画面が広がるため、椅子に座ったりベッドに横になりながらでも、大きな画面で映画を見たりゲームをすることができるのだ。高性能なARグラスは一度に複数の画面を開き、それぞれに別々のアプリを表示することもできる。XREALなど日本でも複数メーカーがARグラスを販売している。
3)AIグラス:AIやカメラが使えるスマートなメガネ
そして今もっともホットな製品がAIグラスだ。AIは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略だが、すでに多くの人がチャッピー(ChatGPT)などAIサービスを日常的に使っているだろう。AIグラスはメガネから直接AI機能を使うことのできる製品なのだ。今回発表になった、Ray-Ban MetaスマートグラスやOAKLEY Metaスマートグラスは、このAIグラスである。
AIグラスにも実は3つのタイプが存在している。なおどの製品も音声を聞くためのスピーカーが弦の部分に内蔵されている。オーディオグラス同様、音はなるべく外に漏れない構造になっている。
・カメラあり、眼鏡に情報表示あり:ROKIDなどが製品化
・カメラ無し、眼鏡に情報表示あり:Even Realitiesなどが製品化
・カメラあり、眼鏡に情報表示無し:MetaやHTCが製品化
Metaのスマートグラスで何ができるのか?
今回はMetaを例に実際に説明しよう。Metaはインスタグラムやフェイスブックを運営している企業だ。そこが眼鏡ブランドのRay-Ban、OAKLEYと提携して、両者デザインのモデルとして販売するのがRay-Ban MetaスマートグラスやOAKLEY Metaスマートグラスなのである。そのため、どの製品も見た目は普通のめがねやサングラス、スポーツアイウェアにしか見えないのだ。このようなデザインなら、普段使い用として違和感なく使えるだろう。
それでは何ができるのか。まず一番活用できるのがカメラとしての使用だ。どちらのスマートグラスにも1200万画素のカメラが搭載されている。カメラの位置は眼鏡の右端だ。そして眼鏡をかけたまま「OK、メタ。写真を撮って」と声に出すか、右側のテンプルにあるボタンの前側を押すと、写真が撮れる。また「動画を撮って」あるいはボタンを長く押すと、1分/3分/5分の動画が撮れるのである。
しかしこれでは盗撮などプライバシー侵害の恐れがある。そこで写真撮影時や動画撮影中は眼鏡のランプが光って撮影中であることを知らせてくれるのだ。今回のスマートグラス投入に関しても、Metaの日本法人でFacebook Japan代表取締役の味澤将宏氏はプライバシー対策を重要視したと製品発表会で語った。もちろんユーザー側には撮影禁止の場所では撮影しない(法令やマナーを守る)、むやみに街中で他人の撮影をしないといったことを守る必要があるだろう。
カメラの利用で便利なのが、AI機能の活用だ。目の前にあるものが何か知りたいとき、その値段がわからないとき、さらに食材を見て何か料理を作りたくなったときなど、「OKメタ」につづけて「これは何?」「これの値段を教えて」「この食材で料理を教えて」と話しかけると、それぞれメタのAI機能を使って、回答を音声で知らせてくれるのだ。「このお茶に合うお菓子は?」といった、ちょっと踏み込んだ質問にも「これはダージリン紅茶ですね。それならあっさりしたお菓子がいいですよ」のような回答もしてくれる。
そしてAI機能として、「今日の午後の天気は?」といった一般的な質問にも回答してくれる。SNS系サービスの連携でインスタグラムやフェイスブックの通知の読み上げも可能で、今後LINEへの対応も予定されているという。このようにめがねをかけているだけで、あらゆる情報を入手できるのがメタのスマートグラスの優れたところなのである。
スマートフォンのワイヤレスイヤホンとしても使えるので、音声通話をスマートグラス経由で行うことも可能だ。スマートグラスがある生活に慣れると、スマートフォンを見る機会を減らすことができる上に、「スマートフォンを出すのが面倒」といったケースも少なくなるので、日常生活はさらに便利なものになるだろう。
ちなみに先に説明したようにAIグラスの種類の中で、「カメラあり、眼鏡に情報表示あり」という製品もある。これは眼鏡の内側に通知や翻訳の字幕、ナビゲーションの矢印を表示してくれる製品だ。メタも海外では実は対応製品を出している。より高度な機能がほしい人に向いた製品であるものの、現在はまだ製品種類は少ない。
Ray-Ban MetaスマートグラスとOAKLEYスマートグラスと同様の製品は他社からも販売されている。しかし製品のデザインは1種類、多くても数種類というものが多い。一方今回の両ブランドの製品は、フレームの色やカラバリなどを合わせ、10種類以上の製品がラインナップされている。自分の顔や髪型、ファッションなどにあわせて買えるのだ。つまり最新のIT製品ではなく、ファッション製品に最新技術が組み込まれたデジタルアイテムなのである。
価格は7万円台からで、Ray-Ban公式オンラインストア、Ray-Banストア、また一部の家電量販店やメガネ店でも購入できる。度付きレンズへの交換も可能なので、視力に合わせた自分だけのスマートグラスを手に入れることも可能だ。眼鏡を変える、眼鏡をかけるだけで生活が一変するスマートグラス、気になった人はぜひ店舗へ行って実物を試してみてほしい。