運営スタッフは全員ボランティア ユーザー主導のスマブラ大会『篝火』、異例の幕張メッセ開催を叶えた原動力

スマブラ大会『篝火』運営インタビュー

赤字覚悟で幕張メッセ開催を決めた理由は「チームの成長のため」

──今回『篝火#15』を幕張メッセでやることになったのはどういう経緯だったのでしょうか。

ぬくぬく:2025年5月の『篝火』が盛り上がったのがきっかけで、僕が「今度のGWは別の会場でやりませんか」と言い出しました。幕張メッセは会場として有名ですし、近年は同一の会場での開催が続いていたのもあり、コミュニティに良い意味での刺激があればいいかなと。

てんぷら:運営チームの成長という観点でも、新しい会場で大会を運営する経験がチームを育てることにつながると思っています。新しい会場のために、新しく図面を引き直す工程など、いつものルーティン以外のことをやる経験は「チームにとって良い」という判断もありました。

──そういえば、ぬくぬくさんは自身のXで「500万円ほどの赤字が出てしまうかも」と発言していましたが……大丈夫なのでしょうか。

ぬくぬく:現在はそんなに大きな赤字にはならないかなとは思っています。その後、みんなが削れるところは削ってくれて、参加者も増えたので。まあ……多分ですが。正直自分自身はざっくりした計算しかしていないです。この『篝火』が終わった後も開催を続けていれば徐々に黒字になっていく見通しがあるので、今回は赤字でも良いかなと。

wawon:ここまでのインタビューで察していただいたかと思いますが、こうやって、ぬくぬくさんが「とりあえずやろうぜ」なタイプなので、いつもこんな感じになっちゃいます(笑)。僕とてんぷらさんからは、事前に「これ相当な赤字になるかもしれないけど……本当にやるの?」という話をしました。『篝火』は営利活動ではなく、利益が取れそうだからやるとか、赤字になりそうだからやらないみたいな、ビジネス的な意思決定があるわけではないので、まずは「開催する」ことを決めてから、後からつじつまを合わせにいくことが多いです。

 ただ、実のところ「幕張メッセでやらざるを得ない」という事情もあったんです。2025年の『篝火#14』の時点で参加者が2300名ほどでした。いつもの所沢の会場が2000平米なので、もうキャパが限界。関東近辺だと会場が取れないこともあって、これ以上の大きい会場がありませんでした。よって、幕張メッセになりました。

──どのような理由であれ、コミュニティ大会が幕張メッセを借りるというのは、異例かと思います。どうやって実現できたと振り返りますか。

wawon:『篝火』の力だけでは、幕張メッセ開催は実現できませんでした。スマブラ界隈全体に「自分たちで大会をやりたい」という気持ちがあったからこそ、実現できたことだと思います。

『篝火』運営インタビュー(写真=秋月健太郎)

苦労を越えて、また幕張メッセに「帰ってこられた」

──幕張メッセでの開催といえば、奇しくも6年前の『EVO Japan 2020』(スマブラが採用された最後の『EVO Japan』)と同じ会場です。また、ゴールデンウィークという同じ時期に、東京ビッグサイトでは『EVO Japan 2026』が開催されます。さらには現状の参加者数としては当時の『EVO Japan 2020』のスマブラ部門のエントリー数を超えた形となります。国内最大規模の対戦格闘ゲーム大会と言われる『EVO Japan』について、皆さんはどう捉えていますか。

てんぷら:僕らとしては、特に『EVO Japan」のことは意識していません。ただ、コミュニティのイベントとして、幕張メッセを借りられるとは思っていなかったので、そこについての感慨深さはあります。僕らがあのとき、幕張メッセで開催された2020年の『EVO Japan』で得た感動や衝撃を、コミュニティの力だけで、同じ場所で実現できる日がくるとは思っていませんでした。コロナ禍での苦労を乗り越えて「また帰ってこられた」という感じがあって、それは感慨深いですね。

wawon:コロナ禍の『篝火』は毎日が闘いでした。社会情勢に合わせてスケールを調整したり、中止もあったり、参加者の半分がキャンセルしてしまった回もありました。様々な壁を乗り越えるなかで、規模を大きくして、幕張メッセでの開催を実現できたのは、積み重ねの結果だと思っています。

──最後に、なぜ『篝火』はここまで人を惹きつけるイベントになったのでしょうか。自身のコミュニティ大会を『篝火』のように育てたい主催者はたくさんいるかと思います。

てんぷら:僕らが優れたリーダーだからみんながついてきているという話ではなくて、『篝火』以外の大会のおかげで『篝火』が成り立っています。地域のオフライン大会やコミュニティの中で「次の『篝火』に向けて頑張ろうぜ」と思ってくれていて、最終的に多くの人が『篝火』に集まってくれています。公式大会がないからこそ、ボトムアップの精神が育ったというか、僕らもリーダーとしてやっているという感じではなくて、あくまでスタッフの一員というスタンスです。

wawon:あくまで立ち上げメンバーとして、ここの3人がインタビューを受けているというだけなのだと考えています。僕らはあくまで『篝火』を構成する一要素でしかないんです。

ぬくぬく:僕らは鍋を用意しているだけなんですよ。『篝火』って寄せ鍋みたいなもので、みんなが好きな食材を持ってきて鍋に突っ込んで、みんなで食べるみたいな感じのノリです。今回は、とりあえず幕張メッセという「鍋」を用意したという感覚です。

──ありがとうございました! 実は今回のインタビューをぬくぬくさんに打診させていただいたとき「1人ではなく、この3人で受けたい!」と要望をいただいて、正直、記事としては主催者1名のほうがわかりやすい内容になるのではないか……と懐疑的だったのですが、今回のインタビューで腑に落ちました。

ぬくぬく:そうなんです。できれば、いまこのスマパ会場にいるスタッフ全員を呼んで、インタビューに出演させたいぐらいです。それぐらい全員が主催のようなものなので。

『篝火』運営インタビュー(写真=秋月健太郎)

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