16インチなのに気軽に持っていける ASUS『Zenbook SORA 16』が変えたノートPCの距離感

16インチのパソコンって持ち運べる?

 ノートPC選びには、多くの人がどこかで折り合いをつけてきた。大画面で作業したいなら、重さは我慢する。軽さを優先するなら、画面サイズは諦める。そうしたトレードオフは、ユーザーにとって長らく当たり前のものだった。

 しかし、その前提は徐々に崩れつつある。筐体に軽量素材を使ったり、低消費電力のプロセッサによってバッテリーを小型化できるようになったことで、大型画面を搭載しながらも、1kg前後と軽量なノートPCが一部のメーカーから登場してきている。

 ASUSが4月8日に発売した新型ノートPC『Zenbook SORA 16』も、従来の「大きな画面を持つノートPCは重い」という前提を崩しにきた期待のモデルだ。16インチの大型画面を搭載しながらも、重量は約1.2kgと14インチ級のノートPCとほぼ同じくらいに収まっている。

 発売に伴い、実機を数日間持ち歩いて使ってみた。普段は14インチのノートPCを持ち歩いている筆者にとって、『Zenbook SORA 16』という存在はどのようなものなのか。実際に使いながら、その変化を探っていきたい。

16インチを持ち歩くという体験は、どこまで現実的になったのか

 ASUSの『Zenbook SORA』は、日本の通勤・通学シーンをヒントに開発されたノートPCだ。日本向けには「空(そら)」のような軽やかさをイメージして「SORA」という名前が付けられている。

 昨年に発売した14インチの初代モデルが学生やライトユーザーから好評だったことを受け、今年はより大きな16インチの画面を搭載した『Zenbook SORA 16』が追加された格好だ。

 本モデルの最大の特徴は、16インチの大画面を備えながら、重量が約1.2kgしかないこと。数字だけを聞いてもイメージしづらいかもしれないが、参考として筆者が使っている14インチのノートPCの重量は約1.5kg。画面も筐体も大きいのに、重量は筆者のノートPCよりも明らかに軽い。

 カバンに入れて持ち歩いているうちに、「16インチを持っている」という感覚が薄れていく。気づけば、いつもの14インチと同じように扱っている自分がいた。

 目的地に到着して、カバンの中から『Zenbook SORA 16』を取り出すときにも、「よっこらせ」と声が出ることはない。片手でヒョイっと取り出すことができてしまうのだ。それでいてカバンから出てくるのは、いつもより大きなノートPCで、一瞬頭が混乱してしまう。約1.2kgは、それほどインパクトがある重量だ。

 この軽さの実現に一役買っているのが、ASUSの独自素材「Ceraluminum(セラルミナム)」。セラミックの軽さと硬さ、アルミニウムのしなやかさを併せ持つ素材で、従来素材比で約30%軽く、3倍の強度を誇る。見た目も上質で、安っぽさがない。

 触ってみると、手触りはさらっとしていて、陶器のような温かみと硬さが感じられる。指紋も目立ちにくく、扱いに気を遣いすぎなくていい。毎日持ち歩く道具として、ラフに使える安心感がある。

 16インチの有機ELディスプレイは、解像度2,880×1,800ドット。ウインドウを複数並べても窮屈さがなく、これまで14インチでウインドウをギュウギュウに詰めてやりくりしていた作業を、そのまま余裕を持ってこなせる感覚だ。

 たとえば筆者は、SNSやメール、メッセージアプリを横に並べて確認しながら、資料を開いて原稿を書く、といった使い方をすることが多い。

 こうした使い方では、普段あまり動かさないメッセージアプリに返信が来たり、資料が増えたりすると、途端に画面が狭くなってしまう。

 しかし16インチであれば、ウインドウを1つ、2つと増やしてもレイアウトは崩れにくい。画面を整理し直す手間が減り、作業の流れを止めずに済む。

 また、最大120Hzのリフレッシュレートのおかげでスクロールがなめらかで、長時間のブラウジングでも目が疲れにくいというメリットも。外で作業するときに感じていた小さなストレスが、ひとつずつ消えていく。

「作業が止まらない」快適さと、1日使える安心感

 『Zenbook SORA 16』は、QualcommのARMアーキテクチャを採用した最新プロセッサー「Snapdragon X2 Elite Extreme (X2E94100)」を搭載し、48GBのメモリを搭載。Snapdragon搭載ノートPCでは、最速レベルのパフォーマンスを実現。

 複数のアプリを同時に立ち上げても動作は安定しており、ブラウザでタブを増やしても、引っかかる感じはほとんどない。記事に使うためにRAW写真をLightroomで編集したり、Photoshopでモザイク処理を入れたりといった作業も処理待ちで手が止まるような場面はほとんどなく、筆者の普段の作業は一通り快適に動作していた印象だ。

 また、80TOPSの高速NPUにより、画像生成機能「Cocreator」や、オンライン会議などで背景をぼかせる「Windows Studio Effects」といったNPUに最適化された機能もかなりスムーズに動作する。発熱やファン音も控えめで、「裏で重い処理が動いている」という感覚はほとんどなかった。

 バッテリー持ちの良さも印象に残ったポイントだ。公称で約22時間。実際の使用でも、ブラウジングや記事原稿の作成などが中心であれば、朝から晩まで1日中使っても余裕があった。

 これまでなら充電器を持っていく場面でも、『Zenbook SORA 16』なら置いて出られる。充電器も荷物を重くする要因ではあるため、持たずに外出できれば持ち運びがより快適になるはずだ。

 『Zenbook SORA 16』を使う上で、PCに詳しいユーザーの中にはArm版Windowsのソフトウェアの互換性が気になる人もいるのではないだろうか。

 昨今はブラウザやOffice系アプリなど、多くの主要ソフトでネイティブArm版の提供が行われており、プラットフォームの違いを意識せずとも使えるようになってきている。実際に使っている範囲では困る場面はほとんどなかった。

 ただし、一部の専門ソフトや古いプリンタードライバーなどではトラブルが発生する可能性があるため、事前に互換性を確認しておくと安心だ。

『Zenbook SORA 16』は「無理せず持ち運べる16インチ」を実現

 これまで筆者は、大型のノートPCを使っている記者仲間に対して、「作業がしやすくて羨ましい」と思いつつも、その大半の人が「重くて毎日大変」「今日は荷物が多いから持って来られなかった」と苦労を口にするのを聞いて、大画面で快適に作業するにはその分、体に負荷をかけるしかないのだと思い込んでいた。

 しかし、自分が使っている14インチのノートPCよりも軽い『Zenbook SORA 16』を数日使ってみて、「大画面ノートを持ち歩く」という行為がここまで現実的な選択肢になったことに素直に驚きを感じている。

 軽さによって持ち出すハードルが下がり、大きな画面によって作業の余裕が生まれる。その両方が揃うことで、どこでも普段通りの作業ができる環境が自然と手に入る。「持っていくかどうか」を考えること自体が減り、ノートPCとの距離感がより一段近くなるはずだ。

 一方で、約34万円とゲーミング用途ではないノートPCとしてはすこし手を出しづらい価格帯であるのが気になるところ。

 ただ、実際に使ってみると、この「大画面を持ち歩ける」という体験そのものに価値を感じる場面は多い。日常的にPCを持ち歩き、場所を選ばず作業する機会が多いビジネスマンやクリエイターにとっては、その価格に見合うだけの魅力を備えていると感じた。

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