『iPhone Air』は薄く、軽く、そして“違う” 『17 Pro』の代わりに10日間使った感想とカメラ性能の徹底比較レビュー
実際に使ってみた違いは? 『iPhone 17 Pro』との比較から見える差
ただ、これまで述べてきた内容は、私のようなマニアにとっては重要なポイントとなるだろうが、多くのiPhoneユーザーには興味のない話だ。それよりメインカメラしかなくて大丈夫なのか? モノラルスピーカーは? バッテリーの持ちは実際のところどうなのか? こうしたポイントの方が気になるはずだ。そこで実際に『iPhone 17 Pro』との違いを検証してみた。
カメラ性能はさすがに『17 Pro』の方が高性能 使い方次第では気にならないかも?
メイン/超広角/望遠のカメラを搭載している『iPhone 17 Pro』や、メイン/超広角のカメラを搭載している『iPhone 17』と違い、『iPhone Air』はメインカメラ1つしか搭載していない。スペック的には48M Fusionカメラで同じなのだが、超広角や望遠がないと実際の撮影にはどう影響するのだろうか。実際の作例で検証してみよう。
こちらは『iPhone 17 Pro』で撮影した写真だ。0.5倍/1倍/2倍/4倍/8倍のズームオプションで、フルサイズ換算13mm/24mm/48mm/100mm/200mmのレンズ焦点距離に相当する画角で撮影できる。
こちらは『iPhone Air』で撮影した写真だ。メインカメラしか搭載していないのでズームオプションは1倍と2倍のみで、フルサイズ換算26mm/52mmのレンズ焦点距離に相当する画角で撮影できる。
『iPhone Air』はメインカメラのみだが、望遠に関しては、Fusionカメラによって2倍の光学ズームが使えるし、デジタルズームを使えば10倍まで望遠撮影が可能になる。ただ、デジタルズームのため画像が荒くなる点には注意が必要だ。
望遠側はズームでなんとかカバーできるが、超広角に関しては対応策がない。風景写真などワイドなアングルが必要なら『iPhone Air』では力不足だ。
- 『iPhone 17 Pro』で撮影
- 『iPhone Air』で撮影
同じ8倍でも『iPhone 17 Pro』は光学ズームだが、『iPhone Air』はデジタルズームになるので画質はこの通り荒くなる。
もう1つ、『iPhone Air』では撮れないのがマクロ写真だ。テーブルフォト程度ならメインカメラの2倍ズームで対応できるが、小さなものをクローズアップして撮りたい場合は、『iPhone Air』では対応できない。
- 『iPhone 17 Pro』で撮影
- 『iPhone Air』で撮影
『iPhone 17 Pro』ならマクロ撮影でここまで寄れるが、iPhone Airはマクロ撮影ができないので最大に寄ってもここまでだ。これ以上、近づくとピントがボケてしまう。
ただし実際の日常写真で考えれば、大抵の撮影はメインカメラだけで十分カバーできるはずだ。いつもiPhoneで写真を撮るとき、「.5(0.5倍)」や「4(4倍)」などに切り替えて撮影していなければ、メインカメラだけで十分と言えるだろう。『iPhone Air』を検討しているなら、自分の撮影スタイルを確認してみることをお勧めする。
- 『iPhone 17 Pro』で撮影
- 『iPhone Air』で撮影
夜間での撮影はこの通り、『iPhone Air』でも『iPhone 17 Pro』と遜色ない画質で撮影できる。
その他、空間写真やProRawでの写真撮影も『iPhone Air』ではできないが、これは普通にiPhoneを使っているユーザーならあまり重要なポイントにはならないだろう。
ビデオ撮影に関しても、浅い被写界深度でビデオ撮影(最大4Kドルビービジョン、30fps)ができるシネマティックモード、空間ビデオ撮影(1080p、30fps)、最大4K、120fpsのProResビデオ撮影、ProRes RAWなど『iPhone 17 Pro』ではサポートしている機能が『iPhone Air』では使えない。ただこれも一般ユーザーなら重要ポイントにはならないはずだ。
セルフィー写真を撮る時に使うフロントカメラ(インカメラ)に関しては、『iPhone 17 Pro』や『iPhone 17』とまったく同じ18MPセンターフレームフロントカメラを搭載しているので、性能面での不足はない。フロントカメラでのビデオ撮影に関してはシネマティックモード(最大4Kドルビービジョン、30fps)や最大4K、外部ストレージ記録時の60fps ProResビデオ撮影などに非対応だが、通常のセルフィーを撮る分には大きく困ることはないだろう。
フロントカメラは『iPhone 17 Pro』と同じなので、フロントカメラでセルフィーを撮る際、横に人が入ってくると自動的にフレーム内に収まるようにズーム調整してくれる。シャッターボタンの上に表示しているボタンで縦位置/横位置の切り替えも可能だ。
モノラルスピーカーは“個人的には気にならない”
前述の通り、『iPhone Air』のスピーカーはモノラル仕様。ステレオスピーカーでないと、どれだけ不便なのだろう。実際に体験してみたが、筆者は普段から動画再生や音楽を聴く時は『AirPods』を使用しているため、「iPhone」単体での音は、“こんなものだろう”という印象だった。
たしかに『iPhone Air』ではボディ上部からしか音が聞こえないが、iPhoneを縦位置に持っていると意外に違和感はなかった。さすがにiPhoneを横位置にすると片側からしか音が聞こえないのでモノラルだとはっきり感じる。しっかりとステレオで聴きたいのなら、イヤホンやヘッドフォンを使えばクリアできる問題だと個人的には思う。
実は『iPhone 16 Pro』と同等のバッテリー容量
『iPhone 17 Pro』には4,252mAhのバッテリーが搭載されており、仕様的には最大33時間のビデオ再生、最大30時間のビデオ再生(ストリーミング)を謳っている。
一方、『iPhone Air』のバッテリーは3,149mAhと約26%少なく、ビデオ再生は最大27時間、ビデオ再生(ストリーミング)は最大22時間となっている。数値を見れば確かに違いはあるが、この『iPhone Air』の数値は、1つ前の『iPhone 16 Pro』と同じだ。つまり、これは『iPhone 17 Pro』のバッテリー性能が高いが故に差が目立つだけと言える。
実際に外出先でのメールやメッセージチェック、「マップ」での経路検索や、「Safari」でのWEBブラウジング、「電話」での通話など、一通りの使い方を試してみたが、普通に使っている分にはバッテリー駆動時間が短いと感じたことは一度もなかった。
試しにバッテリーを100%に充電した状態で、同じYouTubeの動画をループ再生してみたところ、5時間で『iPhone 17 Pro』は76%、『iPhone Air』は64%まで残量が減っていた。搭載しているバッテリー容量が違うので、この差は当然だ。ユーザーによってiPhoneの使用頻度や使用用途が異なるので一概には言えないが、『iPhone Air』のバッテリーは日常使いなら十分な容量だと筆者は思う。
筆者はこのまま『iPhone Air』をメイン端末として使うことに決定!
今回、『iPhone 17 Pro』を約2週間使った後に、『iPhone Air』に持ち替えて10日間ほど使ってみたが、正直なところ個人的には『iPhone Air』でまったく問題なく過ごせてしまった。
確かに超広角や望遠カメラ、マクロ撮影が使えないデメリットはあるが、その撮影が絶対に必要だとは言い切れない。正直、あれば使うが、なくても問題ないレベルだった。スピーカーに関してもイヤホンやヘッドフォンでカバーできる問題だし、バッテリーに関してもまったく不自由はなかった。
こうした「デメリットと思われていた点」よりも、『iPhone Air』の薄さや軽さ、そしてデザインの美しさというメリットが私の中で上回ったという感じだ。
正直、実際に『iPhone Air』を手に取るまでは中途半端なモデルと思っていたが、そんなことはなかった。この感覚は、実際に手にして初めて分かることだ。『iPhone Air』が気になっている人は、仕様の数値や単純なスペック比較だけで足踏みするのではなく、実際に手に取ってみることをお勧めする。きっと魅了されるはずだ。